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fhána佐藤が語る、1990年代から続く世界と自分の孤独な戦場

fhána佐藤が語る、1990年代から続く世界と自分の孤独な戦場

fhána『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:石毛倫太郎 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

2018年、メジャーデビュー5周年を迎えたfhánaが発表した、ベストアルバム『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』(以下、『STORIES』)。本作は、インターネットを出自に持ち、アニメソングという基盤を持ちながら、常にそれらの「外側」を見るような、批評的な視点を作品に落とし込んできた彼らの5年間の軌跡をまとめたベストアルバムだが、同時にこの『STORIES』という作品は、fhánaの現在地を指し示す、紛うことなき「新作」でもある。

以下のインタビューの冒頭で語られることだが、バンドの中心人物である佐藤純一自身がディレクションを手がけた本作のジャケットデザインには、佐藤の作家としての、ひとつの原風景とも言えるような世界観が刻まれている。この、今まで以上にダイレクトに、生々しく表出したパーソナルな質感が、これから先のfhánaの世界観の大きな部分を形成していくのではないか?――そんな気もしてくる。佐藤への単独インタビューで、その現在地に迫った。

1990年代~2000年代前半に比べると、今は世の中が不安定で、1年後にはどうなっているかなんて、わからないですよね。

—メジャーデビュー5周年を記念するベストアルバム『STORIES』がリリースされましたが、まず、アートワークがとても美しいなと思って。このアートワークは、佐藤さんがアートディレクションされたんですよね?

佐藤:そうですね。このアートワークになったのも、いろいろ理由があります。イメージとしては、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)だったんですよね。あの映画のキービジュアルって、田園風景のなかに少年がひとり佇んでいるのを俯瞰で見ているような感じだったじゃないですか。冒頭のシーンも、そんな感じだった。そのイメージがあったんです。

fhána
fhána

佐藤:それこそ以前、CINRA.NETで作詞の林(英樹)くんと対談したときにも『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、『エヴァ』)と小沢健二(以下、オザケン)の名前を出して、「fhánaの歌詞は、あの世界観をずっと引きずっている」なんていう話をしたんですよ(参考記事:孤独とは? オザケンや『エヴァ』ともリンクするfhánaの歌詞談義)。『リリイ・シュシュ』も、『エヴァ』も、それにオザケンも、どこか共通している部分があると思っていて。

—具体的に、どんな部分が共通していると思われたのでしょう?

佐藤:去年、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』の映画(監督は行定勲)が公開されて、オザケンの新曲が主題歌になったりもしましたけど、『リバーズ・エッジ』も、自分が中高生の頃にすごく影響を受けたもので。『リリイ・シュシュ』も『エヴァ』もそうですけど、主人公の少年少女たちが、「自分って何なんだろう?」「自分の存在意義は?」って葛藤している……「実存を懸けた戦場」を描いた話っていう点で、共通していると思うんです。

日本だけじゃなくて海外に目を向けても『ファイト・クラブ』(1999年公開、監督はデヴィット・フィンチャー)とか、これって、1990年代~2000年代前半くらいの時代の空気感というか、その頃の作品によく出てくるテーマだと思うんですけど。当時、中高生で、そういうものに影響を受けてきた僕は、2019年にもなって、それを未だに引きずっているんだな、と。

佐藤純一(fhána)
佐藤純一(fhána)

佐藤:でも今になって思うと、「少年少女の実存を懸けた戦場」みたいなテーマって、「平和ボケしているな」とも思うんです。当時、「終わりなき日常」なんていう言葉もありましたけど、今ある日常が、この先、変わることなく延々と続いていくであろう……そんな大前提があるからこそ、「自分って何なんだろう?」なんて呑気に悩んでいられた部分もあったと思うんです。

あの頃に比べると、今は普通に世の中が不安定で、1年後にはどうなっているかなんて、わからないですよね。今とまったく変わらない日常が延々と続いてくことに対して、絶望感を抱けるような時代ではない。でも自分は、そんな平和ボケした悩みを、未だにに引きずっている……。そういうことを考えながら、このアートワークは作ったんです。

fhána『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』初回限定盤ジャケット
fhána『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』初回限定盤ジャケット(Amazonで見る

—佐藤さんはなぜ、「実存を懸けた戦場」を、ずっと引きずり続けているのだと思いますか?

佐藤:どうしてだろう……。根本的には、不安だからだと思うんですけどね。「この先どうなるんだろう?」とか、「未来が怖いな」って常に思っている。それは、世の中全体を見て「未来が怖い」っていう気持ちもあるし、世の中はさておき、自分自身の人生レベルで「未来が怖い」とも思うっていうことなんですけど。

……でも、不安に思っている人のほうが、世の中には多いんじゃないかと思う。「みんなを勇気づけるために!」みたいな気持ちは別にないけど、不安だからこそ、音楽に「救い」みたいなものがちょっとでもあれば、楽になれるんじゃないかなって思っているし。

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リリース情報

fhána『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』初回限定盤
fhána
『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』初回限定盤(2CD+BD)

2018年12月12日(水)発売
価格:5,616円(税込)
LACA-35765

[CD1]
1. ケセラセラ
2. tiny lamp
3. divine intervention
4. いつかの、いくつかのきみとのせかい
5. 星屑のインターリュード
6. ワンダーステラ
7. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
8. 虹を編めたら
9. calling
10. 青空のラプソディ
11. ムーンリバー
12. Hello!My World!!
13. わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~
14. STORIES

[CD2]
1. 星屑のインターリュード(fhána What a Wonderful World Line Tour 2016より)
2. Relief(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
3. What a Wonderful World Line(fhána What a Wonderful World Line Tour 2016より)
4. lyrical sentence(fhána 1st Live Tour「Outside of Melancholy Show 2015」より)
5. little secret magic(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
6. 青空のラプソディ(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
7. 街は奏でる(fhána 1st Live Tour「Outside of Melancholy Show 2015」より)
8. 光舞う冬の日に(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
9. kotonoha breakdown(深窓音楽演奏会 其ノ壱より)
10. Cipher(fhána What a Wonderful World Line Tour 2016より)
11. The Color to Gray World(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
12. Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~(fhána Looking for the World Atlas Tour 2017より)
13. white light(fhána 1st Live Tour「Outside of Melancholy Show 2015」より)

[Blu-ray]
『fhána World Atlas Tour 2018』ツアーファイナルZepp DiverCity(Tokyo)公演の映像

fhána『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』通常盤
fhána
『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』通常盤(CD)

2018年12月12日(水)発売
価格:3,240円(税込)
LACA-15765

1. ケセラセラ
2. tiny lamp
3. divine intervention
4. いつかの、いくつかのきみとのせかい
5. 星屑のインターリュード
6. ワンダーステラ
7. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
8. 虹を編めたら
9. calling
10. 青空のラプソディ
11. ムーンリバー
12. Hello!My World!!
13. わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~
14. STORIES

イベント情報

fhána
『fhána 5th Anniversary SPECIAL LIVE』

2019年1月27日(日)
会場:東京都 中野サンプラザ
料金:7,800円

プロフィール

fhána
fhána(ふぁな)

佐藤純一(FLEET)+yuxuki waga(s10rw)+kevin mitsunaga(Leggysalad)のインターネット3世代によるサウンドプロデューサーと、ボーカリストのtowanaによるユニット。2013年夏、TVアニメ『有頂天家族』のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」に至るまで、13作品ものアニメで主題歌を担当し、タイアップ曲では作品の世界観に寄り添いながらも、アニソン/J-POP/J-ROCK/日本/海外などの垣根を超えた軽やかなスタンスで、音楽への挑戦を続けている。2018年12月12日、ベストアルバム『fhána 5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」』をリリース。

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