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清竜人が語る、音楽シーンに足りない批評文化と音楽家の影響力

清竜人が語る、音楽シーンに足りない批評文化と音楽家の影響力

清竜人『REIWA』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
2019/05/15

平成元年に生まれ、この5月で30歳を迎える清竜人が、令和のスタートと同日にアルバム『REIWA』をリリースした。デビュー以来、作品ごとに大胆な変貌を遂げてきた彼は、時代の節目であるいま、何を思うのか。

自身がプロデューサー兼センターを務めた一夫多妻制アイドルユニット「清 竜人25」、ステージとの垣根をなくして観客も演奏に参加させた「清 竜人TOWN」を経て、ソロとしては約6年ぶりとなった本作。そのタイトルからも感じられるとおり、キーワードとなっているのは「時代」だ。

「苦しんでもの作りをするのはダサい」「J-POPをただ音楽として捉えるのは型遅れ」といった、10年の活動を経て変化してきたという音楽との向き合い方から、「批判すら悪みたいな風潮は文化を衰退させる」「ミュージシャンの求心力が下がっている」といった昨今の音楽業界に対する危機感まで、忌憚ない意見を聞かせてもらった。

ミュージシャンが苦しんで作り上げたみたいな、それはもう古いと思うんですよ。

—昨年、シングル『平成の男』でソロ活動を再開して、アルバム『REIWA』が完成しました。時代とともに移り変わる価値観が色濃く出た作品になったと感じているんですけど、ご自身の価値観が反映されたものなんですか?

:内省的なものではないというか、自分の気持ちをメッセージにしたようなアルバムではなくて。どちらかというと音楽的に上質なJ-POPを作るなかで、どういう歌詞が乗っているのか、いまの時代にどういう歌詞にするのが美しいかを考えたアルバムですね。

清竜人『REIWA』ジャケット
清竜人『REIWA』ジャケット(Amazonで見る
清竜人『REIWA』を聴く(Apple Musicはこちら

—作るなかで、苦しんだタイミングはありました?

:まだスランプは来てないですね(笑)。なんかスランプって、死語な気がしません?

—どうなんでしょう。ぼくは年々原稿を書くスピードが遅くなっている感じがして悩んでますけど(笑)。

:最近「スランプって言葉、聞かないよね」っていう話で盛り上がって、すごい死語感があるなと思ったんです。いまの時代は、自分の感性の泉から水がなくなっていったとしても、それを補うほどの情報もあるし、技術も発達しているし、スランプになりにくい環境が整っているじゃないですか。音楽以外の世界はわからないですけど。

—ボツになった曲とかはないんですか?

:今回に限らず、ボツ曲はほとんどないです。12曲入りだったら12曲しか作らない。もちろんストックのなかから選ぶ方もいると思うので、やり方は人それぞれでしょうけど。でも、20曲作って12曲しか使わなかったら、残りの8曲がもったいなくないですか?

—まぁ、そうですね。

:そんな世に出ない曲を作ってる時間があるなら、ぼくはディズニーランドに行きますね(笑)。たくさんのストックから選んでリリースするのも、クオリティーを上げるためのひとつの手法なんでしょうけど、ぼくは一曲入魂でやるほうがクオリティーが上がるタイプかなと思います。

清竜人『REIWA』収録曲“青春は美しい”

—じゃあ、今回の制作で想定外みたいなことはなかった?

:ソロのアルバムは6年ぶりくらいだったんですけど、本当にストレスフリーで、なんのトラブルもなく、気楽に制作できましたね(笑)。

ミュージシャンが苦しんで作り上げたみたいな、そのアーティストスタイルはもう古いと思うんですよ。それは太宰治とかを引きずっているのかなと思うんですけど、表現者は苦しんでもの作りをするもので、それがかっこいいっていう固定概念に囚われるのはダサいなと。もっと気楽に、パッと5分くらいで曲を書いて、遊園地に行ってるほうがぼくはいいと思います。

—苦しんだエピソードがあると、聴く側に思い入れができる、ということもあるとは思うんですよ。

:確かに思い返すと、自分にもそういう時期があったなとは思います。それがかっこいいかどうかは置いといて。でも、表現者とはそういうものだっていうのは、考え方として固すぎるし、視野が狭いと思います。アーティストスタイルとしても、前時代的な感じがするし。いまはそういうアーティストにあまり魅力を感じないですね。

—昔はそういうときがあったかもしれないけど、いまはそういうモードではない?

:そうですね。ぼくは音楽を作るクリエーターでもあるけど、見られるという意味ではタレントでもあると思うんです。そこはタレントとしてのイメージも関係してくるので、ライターさんみたいな制作だけをする人とは、違うところがあるかもしれないですけど。

—本当は苦労していたとしても、その姿を見せないほうがいい?

:極論を言えば、そっちのほうがいい気がしますね。苦労している姿を見ても、誰もかっこいいと思わないだろうし。そういうのは『情熱大陸』で5年に1回見せるくらいでいいんじゃないですか。

—『情熱大陸』はそれを見せる番組ですからね(笑)。

:やっぱり人間は誰しもギャップに弱いから。逆に、すごく苦労してそうな人を『情熱大陸』で見たらパッパラパーだったとかもいいかもしれないですよね(笑)。

—『情熱大陸』もディレクターが被写体の苦労している部分を必死に探しているかもしれないし、そう考えると何が本当かわからないですね。竜人さんも本当はめちゃくちゃ苦労しているかもしれないし。

:そうですね(笑)。アーティストからすると、こういうインタビューもパフォーマンスの一貫なので、本音をすべて話すわけでもないし。

清竜人(きよし りゅうじん)<br>大阪府出身、1989年5月27日生まれ。2009年3月、シングル「Morning Sun」で東芝EMIよりメジャーデビュー、その後6枚のシングルと6枚のアルバムをリリースする。
清竜人(きよし りゅうじん)
大阪府出身、1989年5月27日生まれ。2009年3月、シングル「Morning Sun」で東芝EMIよりメジャーデビュー、その後6枚のシングルと6枚のアルバムをリリースする。
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リリース情報

清竜人『REIWA』初回限定豪華盤
清竜人
『REIWA』初回限定豪華盤(CD+DVD)

2019年5月1日(水)発売
価格:7,560円(税込)
KICS-93791

[CD]
1. 平成の男
2. TIME OVER
3. 目が醒めるまで(Duet with 吉澤嘉代子)
4. 抱きしめたって、近過ぎて
5. 馬鹿真面目
6. サン・フェルナンドまで連れていって
7. 25時のBirthday
8. 青春は美しい
9. Love Letter
10. 私は私と浮気をするのよ
11. 涙雨サヨ・ナラ
12. あいつは死んであの子は産まれた

[DVD]
・平成の男MUSIC VIDEO
・目が醒めるまで(Duet with 吉澤嘉代子)MUSIC VIDEO
・サン・フェルナンどまで連れていってMUSIC VIDEO
・青春は美しいMUSIC VIDEO
・2018.11.17「清竜人ワンマンライブ2018 秋」@TSUTAYA O-EAST
1. Love Letter
2. TIME OVER 3. ヘルプミーヘルプミーヘルプミー
4. 馬鹿真面目
5. 涙雨サヨ・ナラ
6. サン・フェルナンドまで連れていって
7. All My Life
8. きみはディスティニーズガール
9. The Movement
10. LOVE&PEACE
11. あくま
12. 痛いよ
13. ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング
<ENCORE>
1. 抱きしめたって、近過ぎて
2. 私は私と浮気をするのよ
3. 平成の男

清竜人『REIWA』通常盤
清竜人
『REIWA』通常盤(CD)

2019年5月1日(水)発売
価格:3,000円(税込)
KICS-3791

1. 平成の男
2. TIME OVER
3. 目が醒めるまで(Duet with 吉澤嘉代子)
4. 抱きしめたって、近過ぎて
5. 馬鹿真面目
6. サン・フェルナンドまで連れていって
7. 25時のBirthday
8. 青春は美しい
9. Love Letter
10. 私は私と浮気をするのよ
11. 涙雨サヨ・ナラ
12. あいつは死んであの子は産まれた

イベント情報

『清竜人ハーレム♡フェスタ2019 10th ANNIVERSARY & 30th BIRTHDAY』

2019年5月25日(土)
会場:新木場 STUDIO COAST
時間:OPEN 16:00 / START 17:00

プロフィール

清竜人
清竜人(きよし りゅうじん)

大阪府出身、1989年5月27日生まれ。2009年3月、シングル「Morning Sun」で東芝EMIよりメジャーデビュー、その後6枚のシングルと6枚のアルバムをリリースする。2014年、レーベルをトイズファクトリーに移籍、一夫多妻制アイドルグループ『清竜人25』としての活動を開始。プロデューサー兼メンバーである清竜人とその妻達で構成されるアイドルの固定概念を覆す全く新しいエンターテインメントを披露。アルバム2枚、シングル6枚をリリースするも2017年6月17日、幕張メッセイベントホールにて行われた解散ライブをもって、約3年間の活動に幕を閉じた。2016年12月、清竜人25の活動と並行して『清竜人TOWN』の活動も開始。清竜人とリスナーとの関係性が、単なる演者と観客ではなく、同じ目線でライブを楽しむと言うコンセプトのもと会場では、ただ観るのも良し、歌うのも良し、楽器を演奏するのも自由と言うライブでたくさんのファンとの共演を果たす。2018年レーベルをキングレコードEVIL LINE RECORDSに移籍、ソロとしてのアルバム制作を約5年ぶりに開始する。

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