特集 PR

光を求める三上ちさこが、クリエイター2名と自身の影に向き合う

光を求める三上ちさこが、クリエイター2名と自身の影に向き合う

三上ちさこ『re:life / ユートピア』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:寺内暁 衣装協力:White Mountaineering(三上ちさこ) 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

2018年、13年ぶりのフルアルバム『I AM Ready!』をリリースし、長い沈黙を破り活動を再開した元fra-foaのボーカリスト・三上ちさこが、5月22日にシングル『re:life / ユートピア』をリリースする。今作は、三上ちさこの内面に宿る「光と闇」をテーマに、「LIGHT And SHADOW」というコンセプトのもとに放たれる最初の作品。「LIGHT And SHADOW」の「LIGHT盤」として位置づけられた本作は、2作でひとつの形を成す「ジョイントシングル」の片割れであり、この『re:life / ユートピア』と対を成す「SHADOW盤」シングルが、年内にリリース予定となっている。

ビジュアル面も含めてコンセプチュアルに展開されていくという「LIGHT And SHADOW」プロジェクト。その全貌を探るため、三上ちさこ本人に加え、前作に引き続きプロデュースを担当する保本真吾(CHRYSANTHEMUM BRIDGE)と、このプロジェクトでアートディレクターを務める松田剛を招いた鼎談を実施した。

SEKAI NO OWARIやゆずなどのプロデュースを手掛けてきた保本や、Aimerや嵐、KANA-BOONのアートワークを手掛ける松田といった、日本の音楽シーンのトップランナーと作品を作り上げてきた猛者たちがなぜ、長いブランクから復活を遂げた三上ちさこというミュージシャンのもとに集まるのか?――その理由もきっと、この3人の対話から見えてくるだろう。

人が幸せを感じるのって、光も、影も、両方を濃く感じられるときだよなぁって改めて思い返しました。(三上)

—三上さんは去年、13年ぶりのフルアルバム『I AM Ready!』をリリースされて、今年の初めには全国ツアーも行いました。その次なるアクションとして、「LIGHT And SHADOW」というコンセプトを掲げた2枚のシングルのリリースがアナウンスされていますけど、このコンセプトに至る経緯とは、どのようなものだったのでしょうか?

保本:『I AM Ready!』は三上さんの復活作でしたけど、ここから先は「いまの三上ちさこ」を伝えるものにしなければいけないな、と考えていたんですよね。いつまでも「復活復活」ともいっていられない。三上さんとも相談していくうちに、彼女の内面を「光と影」というキーワードでアウトプットすることはできないだろうか? と思うようになって。

彼女の中にある「二面性」をひとつの作品に入れたいと思ったんです。それで、2枚のシングルを組み合わせることで完成する「ジョイントシングル」という形にしようと決めました。「ふたつでひとつ」の世界観を作ることで、いまの三上さんの内面性を表現できるだろうと思って。

左から:保本真吾、三上ちさこ、松田剛
左から:保本真吾、三上ちさこ、松田剛
『I AM Ready!』収録の三上ちさこ“Parade for Destruction”

—保本さんが三上さんの中に感じているのは、「光」だけでも「影」だけでもなくその両方だ、ということですよね。

保本:前向きで光を感じさせる状態に共感する人ももちろんいると思うけど、それと同じくらい、誰かの負の部分に共感する人もいると思っていて。fra-foa時代の三上さんは「負」の象徴だったと思うんですよ。彼女の影の部分に魅力を感じる人は多かったし、僕もそのひとりだった。でも、『I AM Ready!』で見せた三上さんの表情は、それとは違った、より前向きで、「光」を感じさせるものだったと思うんですよね。

もちろん、fra-foaと同じことをいまやろうとは思わないけど、子どもができたり、さまざまな人生経験を経て前に突き進もうとしているいまの彼女と、fra-foa時代から彼女が持っていた「負」の部分をもう一度見つめ直すことで生まれるものをジョイントさせたら、すごく面白い作品になると思ったんです。

保本真吾(やすもと しんご)<br>CHRYSANTHEMUM BRIDGEとして SEKAI NO OWARI、ゆず、井上陽水、家入レオ、androp、SKY-HI、でんぱ組inc.、Silent Siren、シナリオアート、Awesome City Club、GO-BANG’S等のアレンジやサウンドプロデュースを手掛ける。また、楽曲提供や劇伴、ライブ音源制作やコンサートのサウンドプロデュースなど幅広く手掛けている。
保本真吾(やすもと しんご)
CHRYSANTHEMUM BRIDGEとして SEKAI NO OWARI、ゆず、井上陽水、家入レオ、androp、SKY-HI、でんぱ組inc.、Silent Siren、シナリオアート、Awesome City Club、GO-BANG’S等のアレンジやサウンドプロデュースを手掛ける。また、楽曲提供や劇伴、ライブ音源制作やコンサートのサウンドプロデュースなど幅広く手掛けている。

—この保本さんの考えを、三上さんはどのように受け止めましたか?

三上:最近の私は「目標に向かって突き進んでいこう!」っていう前向きな気持ちになっていたんですけど、「影の部分も……あったよね?」っていう話を保本さんとしまして。保本さんがいうように、昔は自分の中の「影」の部分を深く深く掘り進めていく作業ばかりを、音楽を通してしていたと思うんですよね。でも最近は、植物のように「光の当たるほうに行きたい!」と思うがあまり、その頃の感覚を忘れていたような気がするんです。

ただ、植物だって土の中に根を伸ばしていく作業があるからこそ、光に当たることができるわけで。人が幸せを感じるのって、光も影も、両方を濃く感じられるときだよなって改めて思い返して。そういうときほど、実感や豊かさを得ることができるのかもしれないですよね。

三上ちさこ(みかみ ちさこ)<br>1998年仙台にてバンドfra-foa(フラホア)を結成、2000年トイズファクトリーからメジャーデビュー。全身全霊を振り絞るように歌う圧倒的なパフォーマンスで観る者を強烈に魅了し、旧赤坂BLITZにてワンマンライブを成功させるも、2005年にバンドは解散。その間、ソロ活動において2枚のアルバムと、自主制作で1枚のミニアルバムをリリース。SEKAI NO OWARIやゆず、井上陽水などを手がけたCHRYSANTHEMUM BRIDGE保本真吾と出会い、「今の音楽シーンを覆すような、最高のアルバムを作ろう!」と意気投合。fra-foaが解散してから、実に13年ぶりのフルアルバムアルバム『I AM Ready ! 』を昨年リリースした。
三上ちさこ(みかみ ちさこ)
1998年仙台にてバンドfra-foa(フラホア)を結成、2000年トイズファクトリーからメジャーデビュー。全身全霊を振り絞るように歌う圧倒的なパフォーマンスで観る者を強烈に魅了し、旧赤坂BLITZにてワンマンライブを成功させるも、2005年にバンドは解散。その間、ソロ活動において2枚のアルバムと、自主制作で1枚のミニアルバムをリリース。SEKAI NO OWARIやゆず、井上陽水などを手がけたCHRYSANTHEMUM BRIDGE保本真吾と出会い、「今の音楽シーンを覆すような、最高のアルバムを作ろう!」と意気投合。fra-foaが解散してから、実に13年ぶりのフルアルバムアルバム『I AM Ready ! 』を昨年リリースした。
三上ちさこ『I AM Ready!』

毒々しいもの、汚れたものの中に美しさを見出すような感覚がすごく好きなんです。(三上)

—「LIGHT And SHADOW」は、ビジュアルやアートワークにもこだわったプロジェクトになるんですよね。なので、今日はアートディレクターの松田さんにもお話に加わってもらう形になったんですけど、松田さんにお声がけしたのは、なぜだったのでしょう?

保本:「LIGHT And SHADOW」というコンセプトでジョイントシングルを作る、という発想を思いついたとき、自分の頭の中に漠然とシンメトリーな画が思い浮かんだんです。それをデザインとして表現するには誰がいいだろう? と思って調べていたら、松田さんの存在に行きあたったんですよね。

—三上さんと松田さんは初のタッグとなりますけど、三上さんから松田さんに対する印象はどうでしたか?

三上:私は、様式美のあるものとか、毒々しいもの、汚れたものの中に美しさを見出すような作品がすごく好きなんですけど、もしかしたら松田さんも同じような感覚を持っている人かもしれないなって思っていました。作品を見せていただいたんですけど、松田さんが手掛けられたAimerさんの『茜さす / everlasting snow』(2016年)のジャケットが特に好きで。「この人、実際に会ったらバチっとハマっちゃうんじゃないかな?」と思ったんですよね。で、実際にお会いして話したときに、すごく不思議な縁を感じたんですよ。fra-foaを聴いてくださっていたんですよね?

松田がアートワークを手がけたAimer『茜さす/everlasting snow』

松田:はい、高校生の頃にfra-foaの『宙の淵』(2001年)のジャケットに惹かれて、ジャケ買いしたんです。それで、実際に聴いてみたら曲にも惹かれていって。『宙の淵』は、自分が音楽にビジュアルをつけることに興味を持ったきっかけのひとつだったんですよね。もちろん三上さんが去年、再始動してアルバムを出したことも知っていたので、お話をいただいたときは驚きました(笑)。

松田剛(まつだ ごう)<br>アートディレクター。1983年横浜生まれ。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)を経て、2014年7月に独立。デザイン事務所「quia」を立ち上げる。CDジャケットを中心にMVのディレクション、広告なども手がける。『2014 NY/ONE SHOW DESIGN Merit賞』受賞。
松田剛(まつだ ごう)
アートディレクター。1983年横浜生まれ。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)を経て、2014年7月に独立。デザイン事務所「quia」を立ち上げる。CDジャケットを中心にMVのディレクション、広告なども手がける。『2014 NY/ONE SHOW DESIGN Merit賞』受賞。

—三上さんがいま、ご自身よりも若い世代のクリエイターと一緒にものを作ることができるのは、続けてきたからこそであり、復活したからこそですよね。

三上:そうですね。大人になることに対して希望を与えられるような存在でありたいとは思うんです。若い人たちから、「こういう生き方をしてもいいんだ」と思われる存在というか。だから、新しいことをいとわないでいたいですね。もちろん、それが自分に合っていることなのか精査は必要だけど、ちゃんと突き進む勇気は持っていたいと思います。

Page 1
次へ

リリース情報

『re:life / ユートピア』
三上ちさこ
『re:life / ユートピア』(CD)

2019年5月22日(水)発売
価格:1,296円(税込)
品番:SSSA1004

1.re:life
2.ユートピア
3.re:life(Instrumental)
4.ユートピア(Instrumental)

イベント情報

『CHISAKO MIKAMI presents Match Up 6! Beyond The LINE! 2019』

2019年6月8日(土)
会場:愛知県 ell.SIZE
出演:鹿の一族(Vocal&Guitar:松崎ナオ、Bass:鹿島達也、Drums:鹿野隆広)

2019年6月9日(日)
会場:大阪府 心斎橋FANJ
出演:Schroeder-Headz

2019年6月11日(火)
会場:福岡県 The Voodoo Lounge
出演:GOING UNDER GROUND

2019年6月30日(日)
会場:宮城県 FLYING SON
出演:海の底バンド(Vocal:平岡恵子a.k.a桃乃未琴、Drums:中幸一郎、Bass:上田ケンジ、Guitar:名越由貴夫、Keyboard:細海魚)

2019年7月2日(火)
会場:北海道 COLONY
出演:BUGY CRAXONE

2019年7月5日(金)
会場:東京都 下北沢CLUB Que
出演:メレンゲ

プロフィール

三上ちさこ(みかみ ちさこ)

1998年仙台にてバンドfra-foa(フラホア)を結成、2000年トイズファクトリーからメジャーデビュー。全身全霊を振り絞るように歌う圧倒的なパフォーマンスで観る者を強烈に魅了し、旧赤坂BLITZにてワンマンライブを成功させるも、2005年にバンドは解散。その間、ソロ活動において2枚のアルバムと、自主制作で1枚のミニアルバムをリリース。SEKAI NO OWARIやゆず、井上陽水などを手がけたCHRYSANTHEMUM BRIDGE保本真吾氏と出会い、「今の音楽シーンを覆すような、最高のアルバムを作ろう!」と意気投合。fra-foaが解散してから、実に13年ぶりのフルアルバムアルバム『I AM Ready ! 』を昨年リリースした。

保本真吾(やすもと しんご)

CHRYSANTHEMUM BRIDGEとして SEKAI NO OWARI、ゆず、井上陽水、家入レオ、androp、SKY-HI、でんぱ組inc.、Silent Siren、シナリオアート、Awesome City Club、GO-BANG’S等のアレンジやサウンドプロデュースを手掛ける。また、楽曲提供や劇伴、ライブ音源制作やコンサートのサウンドプロデュースなど幅広く手掛けている。

松田剛(まつだ ごう)

アートディレクター。1983年横浜生まれ。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)を経て、2014年7月に独立。デザイン事務所「quia」を立ち上げる。CDジャケットを中心にMVのディレクション、広告なども手がける。2014 NY/ONE SHOW DESIGN Merit賞受賞。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

  1. Vampire Weekendを紐解く6つの視点 オロノ、角舘健悟らが綴る 1

    Vampire Weekendを紐解く6つの視点 オロノ、角舘健悟らが綴る

  2. スピッツ『ロックロック』『ロックのほそ道』『新木場サンセット』今年も 2

    スピッツ『ロックロック』『ロックのほそ道』『新木場サンセット』今年も

  3. chelmicoが等身大であるわけ。自分に似合う服がわかってきた 3

    chelmicoが等身大であるわけ。自分に似合う服がわかってきた

  4. 松山ケンイチ×染谷将太『聖☆おにいさん 第I紀』再編集版、NHK総合で放送 4

    松山ケンイチ×染谷将太『聖☆おにいさん 第I紀』再編集版、NHK総合で放送

  5. 『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』実写ドラマ化、主演は小芝風花 5

    『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』実写ドラマ化、主演は小芝風花

  6. 松尾スズキ作・演出『キレイ』再々々演、生田絵梨花、神木隆之介ら出演 6

    松尾スズキ作・演出『キレイ』再々々演、生田絵梨花、神木隆之介ら出演

  7. 米津玄師の新曲“海の幽霊”6月3日配信、ジャケは五十嵐大介 PV先行上映も 7

    米津玄師の新曲“海の幽霊”6月3日配信、ジャケは五十嵐大介 PV先行上映も

  8. 『凪のお暇』が黒木華主演で実写ドラマ化、7月からTBSで放送 8

    『凪のお暇』が黒木華主演で実写ドラマ化、7月からTBSで放送

  9. 池袋のシネコン「グランドシネマサンシャイン」開業日は7月19日 9

    池袋のシネコン「グランドシネマサンシャイン」開業日は7月19日

  10. BTSが雑誌『CanCam』『anan』の表紙に登場 LAで撮影 10

    BTSが雑誌『CanCam』『anan』の表紙に登場 LAで撮影