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王舟と夏目知幸のフレンドシップ。アドバイスで心の花を咲かせ合う

王舟と夏目知幸のフレンドシップ。アドバイスで心の花を咲かせ合う

王舟『Big fish』
インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:垂水佳菜 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)

新作にむけて動き出していた王舟は、ひと知れず悩みを抱えていた。本人いわく「曲が書けない」。しかし、実際のところ王舟は次々と曲を書いていた。いや、それどころか近年の彼はneco眠るのBIOMANと共作したインスト盤『Villa Tereze』を発表した他、いくつかのCM音楽や劇伴を手掛けるなど、ソングライターとして目覚しい活躍ぶりを見せていたじゃないか。

いや、多分そういうことじゃないのだ。過去2作の手応えを踏まえて、王舟は次のステップを見据えていた。しかし、これがいくら曲を作れども、次作のイメージが一向に固まらない。そこで彼はその苦悩を打ち明けることにした。その相手とは、シャムキャッツの夏目知幸。

夏目とのやりとりから王舟はついに突破口を見つけた。そして、彼はその勢いのままに3rdアルバム『Big fish』を完成。本作のレコーディングに夏目は一切タッチしていないが、そのクレジットには夏目の名前がアドバイザーとして記載されている。それほど王舟は彼の言葉に救われたのだ。

さて、当然ここで気になるのがアドバイスの内容である。果たして夏目は、王舟にどんな言葉をかけたのだろう。そして、王舟はその言葉をどう受け止めたのか。早速ふたりに聞いてみることにした。

きちんとしたアドバイスがほしかったのかっていうと、そういうわけでもない。(王舟)

―夏目くんのツイートによると、王舟さんと阿佐ヶ谷rojiで呑んでいたときに「曲が書けない」と打ち明けられたのが、今作にアドバイザーとして携わるきっかけだったと。でも、実際はまったく書けてないということでもなかったようですね?

夏目のツイート

王舟:そう、曲自体はいっぱい作ってたんです。ただ、そこからどういうアルバムを作ればいいのか、ぜんぜん思いつかなくて。いいなと思ってる曲はいくつかあったんですけど、それを全部入れると変なアルバムになっちゃうので、なにか道筋がほしかったというか。

やっぱり、アルバムを作る以上は「自分は今これがいいと思ってる」みたいなものを提示したいんですよね。でも、そこがなかなか絞りきれなくて。そんなことを考えていたら、だんだん煮詰まってきちゃったんです。

―それで夏目くんに助言を求めたと。

王舟:そうですね。というか、誰かに曲を聴いてもらって、勝手にこっちがきっかけにしちゃえるような感想がもらえたらなと。

夏目:てか、もう出会って10年くらい経つんだけど、王舟はずっと言い続けてるんですよ。「曲が書けない」って。そんなことを言いながら、もうアルバム3枚も出してますからね。なので「こいつ、また言ってるな」と。

左から:王舟、夏目知幸
左から:王舟、夏目知幸

―(笑)。

夏目:ただ、たしかにその気持ちもわかるなーと思ってて。僕の場合はバンドでやってるから、メンバーからリアクションがあるんですよ。でも、ひとりでやってるとそれがないからね。だから、王舟にもリアクション役みたいな人がいるといいのかなって。

王舟:そうそう。ずっとひとりで壁にボールを投げてると、戻ってくる球の軌道の予想がついちゃうんですよ。だから、それがキャッチボールになってくれたら、もうそれだけで助かるんです。きちんとしたアドバイスがほしかったのかっていうと、そういうわけでもないというか。

王舟(おうしゅう)<br>2014年7月、デビューアルバム『Wang』をリリース。バンド編成やソロでのライブ活動のほか、CMへの楽曲提供、他アーティスト楽曲へのゲスト参加、プロデュースなどもおこなっている。
王舟(おうしゅう)
2014年7月、デビューアルバム『Wang』をリリース。バンド編成やソロでのライブ活動のほか、CMへの楽曲提供、他アーティスト楽曲へのゲスト参加、プロデュースなどもおこなっている。

夏目:わかる。俺も曲作ってるからさ。意味のあるアドバイスとないアドバイスの違いはわかってて。

―その違いというのは、具体的にいうと?

夏目:たとえば、たまに「こういう曲を作ったら?」みたいなことを言ってくる人がいるんですけど、そういうのってぜんぜん意味なくて。俺は別に目標を与えてほしいわけじゃないし、むしろ目標は俺のなかですでにいっぱいあるんですよね。それなら、もっと具体的な言葉を投げてもらったほうがいいなって。

王舟:強制的な言葉は響かないってことだよね?

夏目:そうそう。別に作品作りって、誰かに頼まれてやってるわけでもないしね。とはいえ、俺らも食ってかなきゃいけないんで。やっぱり色気がないとね、都会で生きてくためには。野菜を育てて食っていけるような環境じゃないから。でも野菜育てるのも大変だし、都会で売ろうとしたら色気いるよね。

俺は、心に花の咲かせ合いをしたいんですよ。(夏目)

―じゃあ、意味のあるアドバイスというのは?

夏目:心がウキウキできれば、それは僕にとってすべてアドバイスです。意味のあるアドバイスって、心がウキウキしてくる。逆に言うと、そうじゃないアドバイスはだいたいイラっとする(笑)。そこから奮起していい方向へ行くパターンもたまにあったけど。

―たしかに。問題点を突けば言われた側がすっきりするかっていうと、そういうものじゃないんですよね。

夏目:そうそう。それよりも俺の心に花を咲かせてくれよと。実際にそれは目標の達成にもつながっていくと思うし。だから、俺はウキウキすることを言われたいし、人にアドバイスを求められたら、なるべくウキウキする方向にもっていきたいかな。直接なんか言われると腹立つし。

時々言われる言葉で「今日、疲れてますか?」みたいなのがあるんですけど、あれもマジ意味ないなと思う。疲れてると思われてたら、こっちも気分悪いし。

夏目知幸(なつめ ともゆき)<br>シャムキャッツのボーカル、ギター。2009年デビュー。2018年11月21日、5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』を発売した。
夏目知幸(なつめ ともゆき)
シャムキャッツのボーカル、ギター。2009年デビュー。2018年11月21日、5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』を発売した。

王舟:もし疲れてても、教えたくないよね(笑)。でも、相手が元気なさそうなときはどう声をかけるのがいいんだろう。

夏目:やっぱり「そろそろ焼肉食いに行こうよ」がいちばんいいよね。

―なるほど!

王舟:夏目くんは本当にうまいですよね(笑)。

―そういう言葉のかけ方って、どういう考えから辿り着いたんですか?

夏目:うーん。やっぱりなるべく関わる人全員がハッピーになりたいじゃないですか。なにか問題が発生したときにそこをつつくのは簡単だけど、それだけじゃなにも変わらないから。

それなら、全体の雰囲気を変えられるところにアプローチしたいなって。気づかないうちにそっと、魔法のようにね。そう言わずしてそうさせるには、どうすればいいかっていう。てか、そもそも音楽って、そういう力を持ってるアートだと思ってて。

王舟:そうだね。

夏目:それも先輩たちから教わってきた感じがする。古里おさむさん(ウミネコサウンズ)とかトクマルシューゴさんとか、そういう先輩たちはみんな花を咲かせてくれたからね、俺の心に。そう、俺は心に花の咲かせ合いをしたいんですよ。

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王舟『Big fish』を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

『Big fish』(CD)
王舟
『Big fish』(CD)

2019年5月22日(水)発売
価格:2,700円(税込)
PECF-1171

1. Sonny
2. Lucky
3. 0418
4. Muzhhik
5. Tamurou
6. Come Come
7. Kamiariana
8. Rock'n River
9. Greenish
10. Higher Night
11. Family Museum

『Virgin Graffiti』(CD)
シャムキャッツ
『Virgin Graffiti』(CD)

2018年11月21日発売
価格:2,916円(税込)
TETRA-1012

1.逃亡前夜
2.もういいよ
3.完熟宣言
4.She's Gone
5.おしえない!
6.Stuffed Baby
7.カリフラワー
8.BIG CAR
9.俺がヒーローに今からなるさ
10.あなたの髪をなびかせる
11.まあだだよ
12.Cry for the Moon
13.このままがいいね (Album Mix)

イベント情報

王舟 『“Big fish” release party』

2019年7月5日(金)
会場:大阪府 CONPASS
料金:前売 3,500円

2019年7月14日(日)
会場:東京都 渋谷WWW
料金:前売 3,500円

プロフィール

王舟
王舟(おうしゅう)

2014年7月、多くのゲストミュージシャンを迎えてバンド編成で制作したデビューアルバム「Wang」をfelicityからリリース。2015年11月、12インチ重量盤シングル「ディスコブラジル」をリリース。B面には nakayaan(ミツメ)によるリミックス収録。「ディスコブラジル」のミュージックビデオは、UK のアーティスト、KINDNESSことアダム・ベインブリッジが監督。2016年1月、たったひとり、宅録で制作した2ndアルバム「PICTURE」をリリース。2016年9月、MOCKYによるリミックスが収録された7インチシングル「Moebius」をリリース。2018年5月、BIOMAN(neco眠る)と共作でインストアルバム「Villa Tereze」をイタリアにて制作、NEWHERE MUSICからリリース。バンド編成やソロでのライブ活動のほか、CMへの楽曲提供、他アーティスト楽曲へのゲスト参加、プロデュースなどもおこなっている。

シャムキャッツ
シャムキャッツ

メンバー全員が高校三年生時に浦安にて結成。2009年のデビュー以降、常に挑戦的に音楽性を変えながらも、あくまで日本語によるオルタナティブロックの探求とインディペンデントなバンド運営を主軸において活動してきたギターポップバンド。サウンドはリアルでグルーヴィー。ブルーなメロディと日常を切り取った詞世界が特徴。2016年からは3年在籍したP-VINEを離れて自主レーベルTETRA RECORDSを設立。より積極的なリリースとアジア圏に及ぶツアーを敢行、活動の場を広げる。代表作にアルバム『AFTER HOURS』『Friends Again』、EP『TAKE CARE』『君の町にも雨は降るのかい?』など。2018年、『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』に出演。そして2018年11月21日、5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』を発売した。

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