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パスピエと映像作家・Pennackyが語る、今表現者に必要なユーモア

パスピエと映像作家・Pennackyが語る、今表現者に必要なユーモア

パスピエ『more humor』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:なかむらしんたろう 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

パスピエが結成10周年にして大きな変化を果たしたニューアルバム『more humor』を5月22日にリリースした。「手グセを捨てた」とさえ思わせるサウンドプロダクションや「生々しい人間関係を感じさせる」歌のあり方には、このアルバムで決定的な新局面に足を踏み入れようとするバンドの気概を強く感じさせる。

本作のリード曲になっている“ONE”はその変化や気概が顕著に表出している1曲であり、そしてこの楽曲のミュージックビデオ(以下、MV)がまた不穏で底知れぬユーモアが色濃く滲む中毒性の高い内容になっている。このMVをディレクションしたのは加速度的に注目を集めている謎多き映像作家、Pennackyだ。Omega SapienからYogee New Waves、きのこ帝国、V6まで振り幅の広いアーティストのMVを手がける彼とパスピエはどのようなポイントで共鳴し、今回のコラボレーションを着地させたのか。成田ハネダと大胡田なつき、Pennackyの3人に語り合ってもらった。

いろんな考えを持って活動しているんだけど、パブリックイメージが先行する部分がどうしてもあって。(成田)

―まず今回“ONE”のMVのディレクションをPennacky(ペンナッキー)さんにオファーした経緯から聞かせてください。

成田(Key):去年くらいから、アルバム曲のMVを誰に手がけてもらうかという話はしていて。そのタイミングで制作担当から、Balming Tigerの“Armadillo”のMVを教えてもらって。そこで、初めてPennackyさんの作品を見ました。すごくいい意味で形容しがたい何かを感じたし、PennackyさんのMV作品にある映像のサンプリング感は、今回のアルバムで僕らが目指した音楽性とも親和性が高いんじゃないかと思ったんです。

―ちょっとヒップホップ的な感覚というかね。

成田:そうそう。それでPennackyさんにお願いしてみたいという話になったんです。

パスピエ<br>2009年に成田ハネダ(Key)を中心に結成。バンド名はフランスの音楽家ドビュッシーの楽曲が由来。卓越した音楽理論とテクニック、70s~00sまであらゆる時代の音楽を同時に咀嚼するポップセンス、ボーカルの大胡田なつきによるミュージックビデオやアートワークが話題に。
パスピエ
2009年に成田ハネダ(Key)を中心に結成。バンド名はフランスの音楽家ドビュッシーの楽曲が由来。卓越した音楽理論とテクニック、70s~00sまであらゆる時代の音楽を同時に咀嚼するポップセンス、ボーカルの大胡田なつきによるミュージックビデオやアートワークが話題に。

―Pennackyさんはパスピエの楽曲を聴いたことはあったんですか?

Pennacky:僕は今22歳なんですけど、パスピエは高校生くらいからめちゃめちゃ聴いていました。かなり世代ですね。

iTunesで“シネマ”という曲が無料配信されていて、それが高校のクラスでけっこう話題になったんです。だから、今回のオファーをいただいたときに驚いたし、こんなことってあるんだなと思いましたね。

―Pennackyさんがこれまで手がけたMVで言えば、たとえばOmega Sapienの“Rich & Clear”のMVはアバンギャルドに遊びまくっているんだけど、他方でYogee New Wavesの“Bluemin’ Days”のMVはストーリー性にも重きが置かれていてMV然とした仕上がりになっている。さっきナリハネくんが「サンプリング」というワードを出していましたけど、ご自身のルーツとして、コラージュ的な感覚が根っこにあったりするんですか?

Omega Sapien“Rich & Clear”のMV

Yogee New Waves“Bluemin’ Days”のMV

Pennacky:映画が好きなので、好きな映画のワンシーンとか、自分の好きな世界観を勝手にミックスして作っている感じですね。たとえば、今回の“ONE”のMVは出会いがテーマなんですけど、スティーヴン・スピルバーグの『E.T.』にインスパイアされている部分もあって。未知の生物との出会いが友情に変化するとか。あとは『ガメラ3 邪神覚醒』とかもそうですね。森での未知の生物との出会いが恋愛につながるとか、そういう要素をこのMVにもうっすら入れられたらなと思いました。

成田:『ガメラ3』の話は初めて聞きましたけど、面白いですね。パスピエって、「こんなことをやりたいんだな」って音楽性で語られる前に、キャラクター性が強く出ちゃうバンドだなと思っていて。たとえば、大胡田の声が特徴的ということもあるし、大胡田が描くアートワークのイメージに起因しているところもあると思うんですけど。

今回のアルバムは今までのパスピエ像もベースにありつつも、去年1年で影響を受けたもの、刺激的だなと思った感覚をアウトプットしながら「パスピエってこういう一面があるんだ」という意外性を見せたいと思っていました。それはPennackyさんにMVをディレクションしてもらうこともそうだし。

―パスピエとPennackyさんがコラボレーションすることは、お互いの音楽性や作家性における本質はまったく違和感がないけど、パブリックイメージ的には意外性があるということですよね。でも、それってガワ(外側)の話であって。

成田:そうそう。僕らも本当はいろんな考えを持って活動しているんだけど、パブリックイメージが先行する部分ってどうしてもあって。それを理解したうえで、それなら、こういうふうに見せようという意図が生まれるところがありますね。

成田ハネダ
成田ハネダ
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リリース情報

『more humor』初回限定盤(CD+DVD)
パスピエ
『more humor』初回限定盤(CD+DVD)

2019年5月22日(水)発売
価格:3,500円(税込)
WPZL-31587/88

[CD]
1.グラフィティー
2.ONE
3.resonance
4.煙
5.R138
6.だ
7.waltz
8.ユモレスク
9.BTB
10.始まりはいつも

 

[DVD]
『パスピエ野音ワンマンライブ“印象H” 2018.10.6 at 日比谷野外大音楽堂』
1.OPENING SE~素顔
2.ネオンと虎
3.トロイメライ
4.(dis)communication
5.脳内戦争
6.マッカメッカ
7.ON THE AIR
8.MATATABISTEP
9.最終電車
10.S.S
11.正しいままではいられない

『more humor』通常盤(CD)
パスピエ
『more humor』通常盤(CD)

2019年5月22日(水)発売
価格:2,700円(税込)
WPCL-13027

1.グラフィティー
2.ONE
3.resonance
4.煙
5.R138
6.だ
7.waltz
8.ユモレスク
9.BTB
10.始まりはいつも

イベント情報

パスピエ
『パスピエ TOUR 2019 “more You more”』

2019年6月12日(水)
会場:東京都 渋谷 WWW X

2019年6月16日(日)
会場:広島県 HIROSHIMA SECOND CRUTCH

2019年6月20日(木)
会場:宮城県 仙台 darwin

2019年6月22日(土)
会場:新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE

2019年6月28日(金)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

2019年6月30日(日)
会場:福岡件 DRUM LOGOS

2019年7月6日(土)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE 24

2019年7月12日(金)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

2019年7月13日(土)
会場:大阪府 BIGCAT

2019年7月15日(月・祝)
会場:東京都 Zepp Tokyo

プロフィール

パスピエ
パスピエ

2009年に成田ハネダ(key)を中心に結成。バンド名はフランスの音楽家ドビュッシーの楽曲が由来。卓越した音楽理論とテクニック、70s~00sまであらゆる時代の音楽を同時に咀嚼するポップセンス、ボーカルの大胡田なつきによるMusic Videoやアートワークが話題に。11年に1st ミニアルバム「わたし開花したわ」でデビュー。その後、数々の大型ロックフェスにも出演、対バン形式の自主イベント“印象”シリーズや全国でのワンマンツアーを行い好評を博す。18年10月には、初の野音ライブ企画、パスピエ野音ワンマンライブ “印象H”を東京/日比谷野外大音楽堂と、大阪/服部緑地野外音楽堂で開催し成功を収める。

Pennacky(ぺんなっきー)

日本大学 芸術学部映画学科を卒業後、ミュージックビデオを中心に映像制作をしている。これまでに手掛けた主な作品はYogee New Waves 「Bluemin'Days」きのこ帝国「夢見る頃を過ぎても」 前野健太「今の時代がいちばんいいよ」等。

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