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社会の抑圧を肌で感じるペンギンラッシュが、音楽で自由を表す

社会の抑圧を肌で感じるペンギンラッシュが、音楽で自由を表す

ペンギンラッシュ『七情舞』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:南阿沙美 編集:久野剛士、矢島大地(CINRA.NET編集部)

名古屋を拠点に活動する男女混成の4人組、ペンギンラッシュが2ndアルバム『七情舞』を完成させた。ジャズ、ファンク、R&Bなどを基調としたクロスオーバーなポップスであることはそのままに、1曲1曲の個性がより明確になり、前作『No size』から格段に飛躍した印象を受ける。「トレンドの一角」には留まらないだけの作家性とポテンシャルを証明する作品だといえよう。

「ジャンルや形に囚われない」ことを示した『No size』に続く、「喜怒哀楽」だけではない「喜怒哀楽愛悪欲」を示す「七情」を用いたタイトルにも表れているように、彼女たちの活動は「限定しない / されたくない」という価値観に貫かれている。それはまだ現役の大学生であるボーカル / ギターの望世が学校生活やSNSなどを通じて感じる社会からの抑圧に対する疑問とも関係しているように思うが、彼女たちの音楽は旧来的な「カウンター精神の発露」というより、「始めから限定されていない世代の自由な表現」なのであり、そこが実に魅力的だ。バンドの創設メンバーである望世とキーボードの真結に話を聞いた。

決められてるわけじゃないのに、みんな自然と同じ考えになっていくのは……不思議でならない。(望世)

―『七情舞』は前作以上に挑戦的で、非常にスリリングな作品になったと感じました。

真結(Key):前作はいろんな人に広めるために、自己紹介じゃないですけど、「こういう曲があります」っていう、幅広くバリエーションを入れた作品だったんです。今回は自分たちのやりたいことがより明確になって、ペンギンラッシュのもっと深い部分を知ってもらえる作品になったんじゃないかと思います。

―前作はデビューまでの歩みが詰まった初期ベスト的な色合いもあったのに対して、今回が真の始まりというか、そんな手応えもあるなと。実際、どんな意図を持って制作に取り組んだのでしょうか?

望世(Vo / Gt):バンドで「こういうのを作ろう」みたいな話し合いはあんまりしなくて、曲のベースは個々が自由に作っていくんです。最初こそ「なにかコンセプトを持ってやろうか」っていう話も出たりはしたんですけど、結果的には「作っていったら、こうなった」っていう感じですね。

ペンギンラッシュ<br>左から:浩太郎、望世、真結、Nariken<br>名古屋出身。2014 年、高校の同級生だった望世(Vo / Gt)、真結(Key)を中心に新たなJ-POPの開拓を目指し結成。2017年にサポートをしていた浩太郎(Ba)とNariken(Dr)が加入し現4人体制に。2ndシングル『yoasobi』は、タワーレコードが未流通&デモ音源をウィークリーランキング形式で展開する「タワクル」企画にて、名古屋パルコ店で2017年4月から1年以上TOP5に毎週チャートイン。『SAKAE SP-RING』では2018年、2019年と2年連続で入場規制が掛かるなど地元の名古屋にて多くの支持を集めている。2019年6月6日に2ndアルバム『七情舞』をリリース。
ペンギンラッシュ
左から:浩太郎、望世、真結、Nariken
名古屋出身。2014 年、高校の同級生だった望世(Vo / Gt)、真結(Key)を中心に新たなJ-POPの開拓を目指し結成。2017年にサポートをしていた浩太郎(Ba)とNariken(Dr)が加入し現4人体制に。2ndシングル『yoasobi』は、タワーレコードが未流通&デモ音源をウィークリーランキング形式で展開する「タワクル」企画にて、名古屋パルコ店で2017年4月から1年以上TOP5に毎週チャートイン。『SAKAE SP-RING』では2018年、2019年と2年連続で入場規制が掛かるなど地元の名古屋にて多くの支持を集めている。2019年6月6日に2ndアルバム『七情舞』をリリース。

―歌詞に目を向けると、<形ばかりを必要とするなら 要らないわ そんなもの これっぽっちも魅力じゃないの>と歌う“悪の花”や、<時代は進み変化するのに 生き耐えながら生きるのか>と歌う“モノリス”などからは、ある種の抑圧を感じます。前回のインタビューでジャズが好きになった理由として、自由度の高さを挙げていたと思うんですけど(参照記事:『ペンギンラッシュが表現する、ジャズも文学も苛立ちも歌に変えて』)、やはり「こうあるべき」という抑圧に対しては非常に敏感なのかなと。

望世:そうですね。私はいまちょうど大学4年生なので、周りがみんな就活中なんですけど、高校卒業や大学卒業のような人生の分岐点で、ひとつの考えしかない人が多いなっていうのは思います。「大学を卒業したら、次は就職」っていうのが当たり前。それはそれでひとつの道ではあると思うけど、それしか会話に出てこない。別に決められてるわけじゃないのに、みんな自然と同じ考えになっていくのは……不思議でならない。

―もちろん、主体性を持ってその道を選んでるなら全然いいわけですけどね。

望世:そもそも私の通ってる大学は専門的なことを学ぶところで、私は文章を書くことに重きを置いてる学部なんです。だから当然「文章が好き」とか「文学が好き」っていう子たちばっかりかと思いきや、意外とそうでもない人も多くて。

真結:私も建築を学ぶ学校だったんですけど、やっぱり「なんとなく」っていう人が多くて、「そもそも建築に興味がない」みたいな。私もそういう考えはよくわからない。

左から:真結、Nariken
左から:真結、Nariken

―“モノリス”はまさに大人になることによって知らず知らずのうちに定型にハマってしまうことについて書いた曲ですよね。“悪の花”はどんな発想から書いたのでしょうか?

望世:この曲は、固定観念の強い人に怒鳴られたときの気持ちが忘れられなくて、それがさっきいった「明るいリズムに、そうじゃない曲調」っていうアイデアと結びついたんです。年上の人からいわれることって、どうしても凝り固まってると感じることが多いので、自分が若いうちに曲にしておきたいなって。

あとはいま女性が発言できる機会が増えてきているので、そういう意味も含まれた歌詞にしたいと思いました。ただ、あえて具体的にはしてなくて。聴いた人それぞれの怒りや反骨精神があると思うから、その人のフィルターを通じて、その人なりの解釈が生まれれば嬉しいです。なので、ミュージックビデオも吉田監督の思う楽曲の解釈で作ってもらっています。

左から:望世、浩太郎
左から:望世、浩太郎

―女性が社会からの抑圧に対して行動を起こしたり、自らの姿勢を音楽で表明する機会も増えましたけど、望世さん自身はそれを声高に叫ぼうとは思わない?

望世:私はそういう面での抑圧はそれほど感じてないというか、なにかあればいっちゃうタイプなんで(笑)。

真結:むしろ、「いわせない」みたいな(笑)。

望世:だから、あんまり感じないんですよね。ただ、私は大学で「10代の性教育」を中心に研究してるんですけど、取材をした若い子たちの中には知識がなくて、相手にいわれるがまま抑圧を受けている子もいるので、思うところはあります。

そういう子たちは、親からだったり、学校生活の中で抑圧を感じてるとも思うし。その感じ方も人それぞれだとは思うので、音楽に直結させようとはならないですけど、いまの女性が置かれている立場とか、そういう解釈もできるものであればいいなっていうのは、常に思ってるかもしれないです。

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リリース情報

ペンギンラッシュ『七情舞』
ペンギンラッシュ
『七情舞』(CD)

価格:1,944円
NCS-10227

1. 悪の花
2. アンリベール
3. 契約
4. 能動的ニヒリズム
5. モノリス
6. 晴れ間
7. 青い鳥

イベント情報

『「七情舞」東名阪レコ発ツアー“七情に舞う”』

2019年6月27日(木)
会場:愛知県 名古屋 新栄APOLLO BASE
出演:
けもの

2019年7月5日(金)
会場:東京都 代官山SPACE ODD
出演:
集団行動
showmore

2019年7月12日(金)
会場:大阪府 心斎橋CONPASS
出演:
Lucky Kilimanjaro
RAMMELLS

ワンマンライブ『Rush out night 2019』

8月18日(日)名古屋 新栄APPLO BASE
OPEN 17:30/START 18:00

プロフィール

ペンギンラッシュ
ペンギンラッシュ

名古屋出身。2014年、高校の同級生だった望世(Vo / Gt)、真結(Key)を中心に新たなJ-POPの開拓を目指し結成。2017年にサポートをしていた浩太郎(Ba)とNariken(Dr)が加入し現4人体制に。2ndシングル『yoasobi』は、タワーレコードが未流通&デモ音源をウィークリーランキング形式で展開する「タワクル」企画にて、名古屋パルコ店で2017年4月から1年以上TOP5に毎週チャートイン。『SAKAE SP-RING』では2018年、2019年と2年連続で入場規制が掛かるなど地元の名古屋にて多くの支持を集めている。2018年8月の1stアルバム『No size』は、J-WAVE8月のSONAR TRAXに続き、「東海アーティストレコメンド2018」、「@FM ROOKIEAWARD」、「Eggsマンスリープッシュ」などに選出。そして2019年6月6日、2ndアルバム『七情舞』をリリース。

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