特集 PR

松本穂香が「変な役」も演じるわけ。『アスアブ鈴木』監督と語る

松本穂香が「変な役」も演じるわけ。『アスアブ鈴木』監督と語る

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:前田立 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

やっぱり、変な人を演じるのは楽しいなって改めて思いました。(松本)

松本穂香

―鈴木ララはある種、受けつけ難い感じもあるキャラクターですよね。実際に演じてみていかがでしたか?

松本:楽しかったです(笑)。全然やりづらいところもなくて、むしろ人として共感できる部分はあるなって思ったんです。やっていることはめちゃくちゃなんですけど、まったく理解できないような子ではなくて、劣等感みたいなものがすごく膨れ上がって、ちょっと変な感じになっちゃっただけの人だから。その気持ちはすごくわかりましたね。

―基本的に彼女は、常に苛立っていますけど、何に苛立っているんでしょうね。

松本:うーん、何なんですかね。やっぱり、自分に対する自信のなさが、周りへの当たりの強さになっていると思うんですよね。自信がないからこそ、周りの人にもつらく当たってしまうというか。それはすごく感じました。

あと、田舎暮らしで毎日退屈だし、自分と同じ顔をした双子の妹が東京の芸能界で活動しているっていうのも面白くないだろうし……やっぱりあの妹がいなかったら、たぶんここまでめちゃくちゃな人物になっていないと思うんですよね。

松本穂香

―物語の中盤から、鈴木ララの双子の妹である鈴木リリが登場して……しかも、それを松本さんが一人二役で演じているという。

松本:だんだん私だらけになっていくという(笑)。でも、それもそんなに苦はなかったです。一人二役なので台詞が多くなって、ちょっと大変だったぐらいで。まあ、姉よりは普通っぽいだけで、妹は妹でちょっと変な人ではあるんですけど。

―姉とは違う種類の変さがありますよね。

松本:そうですね(笑)。でもやっぱり、変な人を演じるのは楽しいなって改めて思いました。

松本穂香

脚本を書いている段階で僕が思っていたのは、いわゆる日本の青春映画的なものに対する当てつけ。(大野)

―実際にできあがった作品を見て、お二方はどんな感想を持ちましたか? まずは、YouTube版ですよね。

松本:これを見る人は、どういう感想を持つんだろうって気になりました。私自身、自分が出ているからとか関係なく、一視聴者として「これはどんな気持ちなんだろう」って思ったり(笑)。でも、私は普通に面白かったです。

―ちょっと胸がザワザワするような話ではありますよね。

松本:そうですね(笑)。監督はどうでしたか?

大野:僕のそれまでの作品は粘着質な作風だったので、自分の作品じゃない感じがしたというか、僕らしからぬポップな感じのする作品だなって思いましたね。

―で、それが劇場版として改めて再編集されて……1本の長編作品として見たときは、どうでしたか?

松本:劇場版は、また違った面白さがあると思いました。弟が妹の彼氏とケンカするシーンも、YouTube版(11話)だと、ほぼほぼそれだけでその回が終わっちゃうじゃないですか。「えっ、これで終わりなの?」みたいな(笑)。でも、それが劇場版になると、あのシーンを劇場で半ば強制的に見せられているような、何か変な感じがあって(笑)。見る環境によって全然面白さが変わる作品だなって、すごく思いました。

左から:松本穂香、大野大輔

―1本の作品として見ると、改めて浮き彫りになるところもあったように思うのですが、今作のテーマは、結局何だったんでしょうね。

松本:ふふふ、何だったんでしょう(笑)。

大野:うーん……何だったんですかね。

松本:自分に自信のない子がいて……でも、最終的に何かが劇的に変わったわけでもないじゃないですか。ただ、もがいてはいるというか。だから、テーマって言われると、何だったんだろうなって思って。

大野:そうですね……脚本を書いている段階で僕が思っていたのは、いわゆる日本の青春映画的なものに対する当てつけというか、嫌がらせみたいなモチベーションで書いてはいたんですけど。

―嫌がらせ(笑)。でもたしかに、キラキラした若者が登場したり、主人公がわかりやすく成長したりするような話ではないですよね。

大野:いわゆるカタルシスとかエモさは、極力排除しようと考えて書いていたとは思います。ただ、それを松本さんがやってくれたおかげで、また違う印象のものになったというか、やっぱり松本さんだからこそ体現できた鈴木ララ像にはなったと思うんですよね。

Page 3
前へ 次へ

リリース情報

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』ウルフなシッシーぶっこみエディション(Blu-ray+DVD)

2019年7月17日(水)発売
価格:6,264円(税込)
PCXP-50658

[Blu-ray限定特典]
封入特典:
・ララのアストラル・ポストカード5枚セット
・大野大輔監督映画「ウルフなシッシー」DVD(別DISC)

音声特典:
・本編アブノーマル・オーディオコメンタリー
出演:松本穂香(鈴木ララ役)、大野大輔(監督)、根矢涼香(特別出演)、直井卓俊(企画)

映像特典:
・「アスアブ鈴木」メイキング映像ロングver.(25分)

『アストラル・アブノーマル鈴木さん』(DVD)

2019年7月17日(水)発売
価格:4,104円(税込)
品番:PCBP-54032

※BD / DVDともに劇場上映用の「完全ディレクターズ・カット版」を収録しており、YouTubeドラマ版の収録はございません。
※DVDは本編DVDのみの通常ケース仕様となり、封入特典・映像特典・音声特典はございません。

発売・販売元:ポニーキャニオン
© 2018 ALPHABOAT・SPOTTED PRODUCTIONS

プロフィール

松本穂香(まつもと ほのか)

1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年主演短編映画「MY NAME」でデビュー。その後、出演したNHK連続テレビ小説「ひよっこ」の青天目澄子役の好演が話題になる。映画「恋は雨上がりのように」、「あの頃、君を追いかけた」などの映画に出演した他、日曜劇場「この世界の片隅に」(TBS)、「JOKER×FACE」(CX)などの連続ドラマの主演を務める。そのほか、広告ではauのCM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズへの出演や2018-2019 JR SKISKI メインキャストなどを務めている。2019年には主演映画「おいしい家族」「わたしは光をにぎっている」などの公開が控えている。

大野大輔(おおの だいすけ)

1988年・千葉県生まれ。映画美学校13期フィクションコース初等科修了後、映画制作チーム「楽しい時代」を結成。2016年、監督作『さいなら、BAD SAMURAI』がカナザワ映画祭でグランプリ。2017年、第2作となる「ウルフなシッシー」がTAMA NEWWAVEでグランプリ・最優秀男優賞・最優秀女優賞を受賞。K's cinemaにて単独公開される。続く松本穂香主演のYouTubeドラマ『アストラル・アブノーマル鈴木さん』が好評につきディレクターズ・カットの劇場版として公開された。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

カネコアヤノ“光の方へ”

カネコアヤノの新作『燦々』より、すでに先行配信もされている屈指の名曲“光の方へ”のスタジオライブ映像。Tシャツ一枚に素足の飾り気ない佇まいが、音源よりも強気な歌声が、遠くを見つめたり、マイクをすっと見据えたり、手元を確認したりする一瞬一瞬が、いちいちかっこいい。カネコアヤノは、常に、今が一番最高なアーティストだと思う。(山元)

  1. 桑島智輝が妻・安達祐実を毎日撮影、写真集『我我』刊行 記念トークも 1

    桑島智輝が妻・安達祐実を毎日撮影、写真集『我我』刊行 記念トークも

  2. 女性の身体の柔らかさ 森瀬の個展『えっちすぎる ... 展』高田馬場で開催 2

    女性の身体の柔らかさ 森瀬の個展『えっちすぎる ... 展』高田馬場で開催

  3. 『ワンピース』ナミが17歳の高校生に カップヌードル「HUNGRY DAYS」新CM 3

    『ワンピース』ナミが17歳の高校生に カップヌードル「HUNGRY DAYS」新CM

  4. 乃木坂46と学生約300人が大合唱、「ファンタ坂学園」特別映像公開 4

    乃木坂46と学生約300人が大合唱、「ファンタ坂学園」特別映像公開

  5. フォーリミ・GENの本音。自らの手で時代を作るための葛藤と原点 5

    フォーリミ・GENの本音。自らの手で時代を作るための葛藤と原点

  6. 『The Covers』スカパラ特集に奥田民生&高橋一生が登場、スカパラとコラボ 6

    『The Covers』スカパラ特集に奥田民生&高橋一生が登場、スカパラとコラボ

  7. 『エイス・グレード』公開間近、春名風花の応援ロングコメントが到着 7

    『エイス・グレード』公開間近、春名風花の応援ロングコメントが到着

  8. 田中圭が花屋の店主役、今泉力哉監督『mellow』1月公開 共演に岡崎紗絵ら 8

    田中圭が花屋の店主役、今泉力哉監督『mellow』1月公開 共演に岡崎紗絵ら

  9. 『天気の子』展が銀座で開催、背景画など約400点 気象現象の再現装置も 9

    『天気の子』展が銀座で開催、背景画など約400点 気象現象の再現装置も

  10. 吉田ユニ展『Dinalog』ラフォーレミュージアム原宿で開催 新作や創作過程も 10

    吉田ユニ展『Dinalog』ラフォーレミュージアム原宿で開催 新作や創作過程も