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中村佳穂が歌う「祈り」のような感覚 『AINOU』以降の確信を語る

中村佳穂が歌う「祈り」のような感覚 『AINOU』以降の確信を語る

中村佳穂『LINDY』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人: 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

昨年11月にリリースされたアルバム『AINOU』が非常に大きな反響を呼んだ中村佳穂。『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)や『バズリズム02』(日本テレビ系)といった地上波の音楽番組、あるいはASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が主宰した『APPLE VINEGAR –Music Award- 2019』での大賞受賞などを契機としながらも、それが一過性の盛り上がりには終わらず、口コミで評判がジワジワと広がり続けたのは、中村佳穂BANDとともに作り上げられた楽曲の完成度の高さはもちろん、ライブにおける彼女の歌の圧倒的な存在感が、インパクトを与え続けたからに他ならない。

あれから8か月、満を持してリリースされる待望の新曲“LINDY”が到着した。「ゼロから始める民族音楽」をコンセプトに掲げ、自作の楽器であるエレキ六線を用いる馬喰町バンドの武徹太郎と織田洋介を新たに迎えることで、土着的なグルーヴと、『AINOU』のエディット感を高次元で融合。<全部あげる 私のものは>とストレートな言葉を投げかける中村の歌の強さも含め、さらなる新境地を切り拓いた1曲となっている。『AINOU』以降の歩みと現在のモード、歌の背景にある「祈り」の感覚について、中村に話を聞いた。

豊かであること、自由であることが肯定されて、心の根底を支えてくれる強さになった。

―昨年リリースされた『AINOU』は年を跨いで非常に大きな反響がありました。現在の状況について、どのように感じていますか?

中村:私はいつも瞬間を切り取って音楽を作っているので、「こういう作品になっていくだろう」みたいな予感を感じたことは一度もないんです。特に、『AINOU』はみんな(中村佳穂BAND)で作ったものなので、「自分のもの」という感覚がいい意味で薄くて、反響をいただくことで、「こんなポテンシャルがあったのか」と、作品を改めて知っていった感覚もあります。もちろん、作品に込めた想いはあるんですけど、「この作品は何なのか?」と言われると自分でもわからなくて、聴いた人たちの反響で補完されている感じというか。

―自分の作品ではあるんだけど、どこか客観的な目線もある?

中村:私の結論と相手の結論が常に同じではないと考えているので、「それもわかってるよ」っていう意味で『AINOU(=I know)』というタイトルをつけているんですよね。あなたと私は違うし、あなたの感動と私の感動が違うこともわかってる。そういう意味合いも込めた『AINOU』という作品がたくさんの人に認めてもらえている状況に対しては、「へー!」っていう不思議な気持ちです。

中村佳穂(なかむら かほ)<br>19歳まで絵を学び、進学先の京都精華大学で音楽活動をスタート。数々のイベント、フェスの出演を経て、その歌声、音楽そのものの様な彼女の存在がウワサを呼ぶ。ソロ、デュオ、バンド、様々な形態で、その音楽性を拡張させ続けている。ひとつとして同じ演奏はない、見るたびに新しい発見がある。2018年11月、2ndアルバム『AINOU』をリリース。2019年7月3日、配信シングル“LINDY”を発表。7月13日(土)には東京都・恵比寿で『LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY 中村佳穂』を開催する。
中村佳穂(なかむら かほ)
19歳まで絵を学び、進学先の京都精華大学で音楽活動をスタート。数々のイベント、フェスの出演を経て、その歌声、音楽そのものの様な彼女の存在がウワサを呼ぶ。ソロ、デュオ、バンド、様々な形態で、その音楽性を拡張させ続けている。ひとつとして同じ演奏はない、見るたびに新しい発見がある。2018年11月、2ndアルバム『AINOU』をリリース。2019年7月3日、配信シングル“LINDY”を発表。7月13日(土)には東京都・恵比寿で『LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY 中村佳穂』を開催する。

―歌がいい、サウンドがいい、その両方の組み合わせがすごい……人それぞれの感動があったんだろうなと思います。

中村:本当に「どれも正解」っていう感覚なので、いろんな回答を聞くことで、バンドがだんだん強くなってる感じがあります。「強固」というよりは、しなやかな、稲を束ねたような強さというか。単純に言ってしまうと、「自信がついた」ということかもしれないけど、それよりも「確信が増した」という感じですね。

音楽性そのもの以上に、豊かであること、自由であることが肯定されて、心の根底を支えてくれる強さになった。ライブの集客が増えたこともめちゃめちゃ嬉しいんですけど、バンドが強くなった気がするのはもっと嬉しいです。

中村佳穂『AINOU』を聴く(Apple Musicはこちら

―中村さんは「みんなで作っている」という意識が強いですよね。それは昨日のライブ(6月9日に新代田FEVERで開催)でも改めて感じたことで、ちゃんとメンバーを一人ひとり紹介して、ソロをフィーチャーする。もちろん、「中村佳穂BAND」という名前で、ある種の責任も背負っていると思うけど、「一人ひとり、意思を持った人たちの集まりなんだ」っていう意識をすごく感じます。

中村:ライブでそう感じてもらえたのなら嬉しいです。前よりさらに、人に委ねることに快感を覚えたというか、楽しさを感じている気がします。私はメンバーに対して「あなたが幸せでいてほしい」と常に思っていて、目立つことが必ずしも幸せだとは限らないですけど、誰かをフィーチャーして、そこに気楽に歌を乗せることで、より遠くまで歌を飛ばせる気がするんです。『AINOU』を作って、その感覚はさらに増しました。

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リリース情報

中村佳穂『LINDY』
中村佳穂
『LINDY』

2019年7月3日(水)配信

  • Apple Musicで聴く
  • イベント情報

    『LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY 中村佳穂』 ※SOLD OUT

    2019年7月13日(土)
    会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
    出演:中村佳穂BAND+special guest
    料金:前売4,000円 当日4,500円(共にドリンク別)
    ※高校生以下は身分証明書提示で1,000円キャッシュバック、未就学児無料

    プロフィール

    中村佳穂(なかむら かほ)

    「彼女が自由に歌うとき、この世界は輝き始める。」数々のイベント、フェスの出演を経て、その歌声、音楽そのものの様な彼女の存在がウワサを呼ぶ京都出身のミュージシャン、中村佳穂。ソロ、デュオ、バンド、様々な形態で、その音楽性を拡張させ続けている。ひとつとして同じ演奏はない、見るたびに新しい発見がある。今後も国内外問わず、共鳴の輪を広げ活動していく。2016年、『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演。2017年、tofubeats『FANTASY CLUB』、imai(group_inou)『PSEP』、ペトロールズ『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? -EP』に参加。2018年11月、2ndアルバム『AINOU』をリリース。2019年7月3日、配信シングル“LINDY”を発表。7月13日(土)には東京都・恵比寿で『LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY 中村佳穂』を開催する。『FUJI ROCK FESTIVAL』を含む全国各地の音楽フェスに出演予定。

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