
ROTH BART BARONがファン代表と語る、コミュニティー作りの1年
ROTH BART BARON「P A L A C E」- インタビュー・テキスト
- 天野史彬
- 撮影:今井駿介 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2018年、ROTH BART BARONがリリースした3rdアルバム『HEX』は、バンドが新たな地平へと到達したことを示す傑作だったが、その『HEX』の制作に伴い始動したFacebookコミュニティー「P A L A C E」もまた、開設から約1年の月日が経ち、「オンラインでのつながり」という枠を超えた、新たなタームへと足を踏み入れているようだ。
そのひとつの成果として、9月14日には多摩六都科学館プラネタリウムドームにて単独ライブが開催される。このライブは「P A L A C E」に参加する有志たちが出資し合い、全面的なプロデュースまでも手がける公演。チケットは既にソールドアウトとなっているが、ここで生み出されるものがきっと、ROTH BART BARONを、そして「P A L A C E」をまた新たな場所へ連れていくだろうし、それはこの国のカルチャーにとっても、間違いなく価値のある一歩になるだろう。
そこで今回、三船雅也に加えて、「P A L A C E」のライブプロジェクトにおいて中心的に活動しているという栗原まゆみと伊與部絢子のふたりを「ファン代表」として招き、鼎談を実施。「P A L A C E」開設からの1年を振り返りながら、プラネタリウムライブについて、そして新曲“Skiffle Song”から見えてくる4thアルバムの展望、それに伴い展開される予定の新たなクラウドファウンディング案についてまで、じっくりと語り合ってもらった。
オンラインとオフラインのどちらかに偏ることもなく、ふたつのラインが並列に存在している面白い関係が作れた。(三船)
―今日はROTH BART BARONが主宰するFacebookのコミュニティー「P A L A C E」の現在について、三船さんと「P A L A C E」に参加されているメンバーのおふたりを招いた座談会という形で語り合っていただこうと思っています。まずは三船さんに、「P A L A C E」の立ち上げから1年が過ぎた今の手応えを伺いたいです。
三船:そもそも「P A L A C E」は『HEX』の制作に伴ってはじめたプロジェクトなんですけど、当初は自分たちでも見えないことが多かったし、かなり手探りでやっていたんです。
でも今年に入ってから、他のバンドの人から「『P A L A C E』みたいな活動って、どうやったらいいんだろう?」っていう相談を受けることが増えたんですよね。みんなが「どれどれ?」って覗きに来たくなっているのだとすると、かなり面白いことが起きているんだなと思います。実際、『HEX』がリリースされた2018年のうちに完結するはずだったものが、延長して、今現在も続いているので(参考記事:ROTH BART BARON×若林恵 21世紀のバンドはどうあるべきか?)。

ROTH BART BARON(ろっと ばると ばろん)
三船雅也(Vo,Gt)、中原鉄也(Dr)から成る2人組フォークロックバンド。2014年、米国フィラデルフィアで制作された『ロットバルトバロンの氷河期』でアルバムデビュー。2015年、2ndアルバム『ATOM』をカナダ・モントリオールにて制作。2017年、EP『dying for』英・ロンドンにて制作。2018年、3rdアルバム『HEX』を発表し、『Music Magazine』『The Sign Magazine』をはじめ多くの音楽メディアにて年間ベストにランクイン。2019年、ファンコミュニティー「PALACE」の有料版「PALACE Premium」が始動した。
―「P A L A C E」では、参加者とバンドの間で、かなり密なコミュニケーションがなされているんですよね?
三船:そうですね。『HEX』の制作中はバンドのレコーディング風景を生中継したり、ツアーでは「P A L A C E」メンバーにオープニングアクトで出演してもらったりました。それ以外でも、『フジロック』のベストアクトの報告会や、普段、僕がどんな曲を聴いているかとか、「最近、なんでシティポップが流行っているんだろうね?」みたいな素朴な疑問とか、僕の脳を移植するくらいの感じで「P A L A C E」内のタイムラインではいろいろ投げかけていて。そこで積極的に会話に入ってくる人もいれば、見ているだけの人もいるんですけど、そういう参加者のグラデーションも含めて面白いなって思います。
もちろん、「バンドの裏側を知られすぎるのはどうなんだろう?」っていう気持ちもありましたけど、そういうところも自分たちでブレイクスルーして、恐れずに自分が思いつく限りのことを試していくうちに、「P A L A C E」がどんどん日常に入ってくる感じがあって。今はもう、1日1回は「P A L A C E」を覗いていないと、ちょっと居心地が悪くなる感じにはなっていますね。
―日常にまで溶け出して作用しているような感じなんですね。
三船:「P A L A C E」で出会った人たちと一緒にイベント作りはじめたり、「絵が描けます」っていう子のアイデアから一緒に新しいグッズを作ったり。ネットのコミュニティーから生まれたものから、フィジカルなものが生み出される関係になっています。
三船:オンラインとオフラインのどちらかに偏ることもなく、ふたつのラインが並列に存在している面白い関係が作れたなって思います。ここにいる人たちとは、バンドが続く限り、音楽をやり続ける限りの長い付き合いになりそうだなっていう予感があるんですよね。
プロジェクト情報
- Makuake「ROTH BART BARON最新作『けものたちの名前』&パーシモン大ホール公演」
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ROTH BART BARON、2019年最新作4th Album『けものたちの名前』を Makuake クラウドファンディングにて先行予約、集まった資金で Music Video を3本作ります。また4th Album ツアーファイナルは2020年5月30日、めぐろパーシモン大ホールにて、応援して下さる皆さんと一緒にメモリアルな単独公演を開催します。今回、このプロジェクトでは ROTH BART BARON の最新アルバム(通常盤とスペシャルパッケージ盤)を Makuake にてプレオーダーし、Music Video の制作とめぐろパーシモン大ホールでの単独公演を応援してくださる方を募集致します。
詳細情報
- ROTH BART BARON「PALACE Premium」
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ROTH BART BARONによるファンコミュニティの有料版。「PALACE Premium」では、ROTH BART BARONライブの生配信や動画配信、バンドメンバーによるラジオ配信、デモ音源や写真の販売、ここでしか投稿されないトピックなど、「PALACE」では公開されない限定コンテンツをお届けします。有料版「PALACE Premium」でご支援いただいた資金は、バンドの活動資金、また新しいアルバムや Music Video の制作費に充てさせていただきます。制作のプロセスや使い方などもコミュニティの中で共有していく予定です。ROTH BART BARONをよりもっと深く楽しみたい方へ、新しいコミュニティ「PALACE Premium」をどうぞよろしくお願い致します。
リリース情報

- ROTH BART BARON
『Skiffle Song』(7インチアナログ盤) -
2019年8月21日(水)発売
価格:1,836円(税込)
PEKF-1176[SIDE-A]
1. Skiffle Song
[SIDE-B]
1. GREAT ESCAPE -Okada Takuro mix-
- ROTH BART BARON
『けものたちの名前』 -
2019年11月20日(水)発売
イベント情報
- 『ROTH BART BARON Tour 2019』
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2019年8月21日(水)
会場:東京都 渋谷 WWW X2019年8月23日(金)
会場:愛知県 名古屋 APOLLO BASE2019年8月25日(日)
会場:大阪府 心斎橋 CONPASS出演:
ROTH BART BARON
岡田拓郎
竹内悠馬
須賀裕之
大田垣正信
西池達也料金:一般3,500円 学生2,500円(共にドリンク別)

- 『“The PLANETARIUM”ROTH BART BARON's Acoustic Live at 多摩六都科学館・プラネタリウムドーム』
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2019年9月14日(土)
会場:東京都 西東京 多摩六都科学館出演:
ROTH BART BARON
岡田拓郎
竹内悠馬
大田垣正信
西池達也料金:
一般 前売4,000円 当日4,500円
学生 3,000円
- 『ROTH BART BARON単独公演』
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2020年5月30日(土)
会場:東京都 めぐろパーシモンホール 大ホール
プロフィール

- ROTH BART BARON(ろっと ばると ばろん)
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三船雅也(Vo,Gt)、中原鉄也(Dr)から成る2人組フォークロックバンド。2014年、米国フィラデルフィアで制作されたアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』でアルバムデビュー。2015年、2ndアルバム『ATOM』をカナダ・モントリオールにて制作。2017年、EP『dying for』英・ロンドンにて制作。2018年、3rdアルバム『HEX』を発表し、『Music Magazine』『The Sign Magazine』をはじめ多くの音楽メディアにて年間ベストにランクイン。2019年、ファンコミュニティー「PALACE」の有料版「PALACE Premium」が始動した。