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ROTH BART BARON×若林恵 21世紀のバンドはどうあるべきか?

ROTH BART BARON×若林恵 21世紀のバンドはどうあるべきか?

ROTH BART BARON
テキスト
天野史彬
撮影:タイコウクニヨシ 編集:山元翔一

今秋、3年ぶりとなる3rdフルアルバムのリリースをアナウンスしている、ROTH BART BARON。彼らが新たなプロジェクト「P A L A C E (β)」を始動し、それに向けてのクラウドファンディングを開始した。三船雅也は、「P A L A C E (β)」を「新しいアイデアを出し合いこの世界の疑問に立ち向かい、僕らの思いついた小さなアイデアをちゃんと生かして少しずつ世界を変えてゆくための学校のような場所」と説明するが、「バンドとリスナー」の関係を再定義することで生まれる「対話」の存在に可能性を見出しているのだろう。

そしてもうひとり、今、「対話」の重要性を感じさせる活動を行う人物がいる。元『WIRED』日本版の編集長、若林恵だ。テクノロジーを基盤に、常に人文学的な視点を持ち続け、現在は「二項対立」ではなく「三者対話」を標榜したイベント『trialog』も主宰する若林の目に、ROTH BART BARONの活動はどのように映るだろう? CINRA.NETでは、三船と若林の対談を実施。約2時間にわたった両者の対話は、この時代において、とても重要な問題提起を含むものとなった。

どういう形でなら自分たちの音楽を海外に売り込むことができるのか?……それを考えているのが、この3年でした。(三船)

若林:ROTH BART BARON(以下、ロット)は、「面白いバンドがいるな」と思って、何度かライブも観たし、ロンドンで録った去年のEP(『dying for』)も聴きました。嫌いじゃないんです。とはいえ、こちらももう大概おっさんなんで、ある世代から下の人たちがどうやってバンドをはじめるのか、その辺のことがもはやあまりわかってないんですよね。なので、その辺りからお伺いできるといいんですが、三船さんは、どんな感じでバンドをはじめられたんですか?

三船:僕の個人的な体験を言うと、高校を1年でドロップアウトして、やることがなくて引きこもりみたいなことをしばらくやっていたんです。で、引きこもるのも飽きたなって思って、地元のTSUTAYAで端から端までのDVDとCDを借りまくるっていうことをやりはじめて。僕、もともとは映画の勉強をしたかったんです。

左から:若林恵、三船雅也(ROTH BART BARON)
左から:若林恵、三船雅也(ROTH BART BARON)

ROTH BART BARON“dying for”を聴く(Apple Musicはこちら

三船:当時、毎週メンタルクリニックに通っていたんですけど、そこで仲よくなったおじいちゃんが、昔、東宝でスチールカメラマンをやっていた人で。「俺、ゴジラやりたいんです」なんて喋っていたら、そのおじいちゃんが「うちの若いのが映画撮ってるんだけど、お前、手伝うか?」って言ってくれたんです。当時、樋口(真嗣)さんが『ローレライ』(2005年)っていう映画を撮っていたんですけど、それがきっかけで撮影現場に入れてもらって。

若林:へぇ~、面白い。

三船:そのとき、特撮監督やりたいって東宝の人に話したら、「特撮はもうないね。いまはCGだからね」って言われて、「映画はダメかもしれない! 未来を考えなきゃ!」と思いました(笑)。結局それでも、映画を諦め切れずに映画系の大学に入って、それと同時にラップトップで音楽も作りはじめたんです。そうしたら、中学の同級生だった中原(鉄也)がドラムをやっていると知って、それで20歳くらいからバンドをはじめました。

ROTH BART BARON
ROTH BART BARON / 三船がバンド結成に至るまでを語った記事はこちら(記事を読む

若林:そのときに音楽的なモチーフとなっていたのは、どういうものなの?

三船:当時、自分が一番反応したのは、戦前のアコースティックなブルーズや民謡歌でした。そしたら、ちょうど2000年代の終わり頃、Bon IverやFleet Foxesのような、自分と同じ古いフォーク音楽を聴いている人たちがアメリカからも出てきたんですよね。しかも、ちゃんと現代版にアップデートされた音楽をやっていて。

さらに、The Nationalのメンバーがプロデュースした『Dark Was the Night』(2009年)っていうコンピレーションが出たんですけど、それはあのときアメリカで起こっていたことがマッピングされた作品で。それに出会ったときに、「アメリカではなにかが起こっている。これは宝の山だぞ!」って思ったんです。

Dirty ProjectorsやBon Iver、Feistらが参加している『Dark Was the Night』を聴く(Apple Musicはこちら

三船:そういう音楽にときめいちゃったから、日本のライブハウスの人たちとは話が合わなくなるんですよね。「武道館でやりたいっすね!」とか言われても、「う~ん、自分のやりたいことと違うなぁ」と(笑)。

若林:なるほど。そこから、バンドとして目指すべきゴールが具体的に見えてきた部分もあるわけですか? たとえば『コーチェラ』(アメリカの野外フェス『Coachella Valley Music and Arts Festival』)に出たい、とか。

三船:もちろん、『コーチェラ』のような憧れの舞台に立ちたい気持ちはあります。ただ、日本のバンドで海外進出が成功した例って、少年ナイフのような女性バンドか、髪の長い人たちがやるオリエンタルなサイケデリックバンドかが大半じゃないですか。「海外の人が求める日本人像」にハマらないと輸出できなかった歴史がある。僕らはそうじゃない方向で音楽をやって、海外の人たちとコミュニケーションをとりたいなって思うんですよね。

三船雅也(ROTH BART BARON)

三船:日本って、ゲームやアプリの分野ではできているのに、音楽に関しては海外に売り込むのが苦手じゃないですか。じゃあ、どういう形でなら自分たちは海外に売り込むことができるのか?……それを考えているのが、この3年くらいでした。

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プロジェクト情報

作品
『ROTH BART BARON「P A L A C E (β)」』

3年ぶりのフルアルバムを多くの人達に届けたい、バンドとあなたが繋がる新しい場所『P A L A C E』を作るプロジェクト。

ライブ情報

『ROTH BART BARON Live at FEVER』

2018年9月16日(日・祝)
会場:東京都 新代田FEVER
開場 16:15 / 開演 17:00
料金:前売り3,000円(ドリンク別)

バンドメンバー:
三船雅也(Vo,Gt)
中原鉄也(Dr)
岡田拓郎(Gt)
竹内悠馬(Tp,Perc)
大田垣正信(Tb,Key)
西池達也(Key,Ba)

リリース情報

ROTH BART BARON
『HEX』

2018年7月25日(水)配信

プロフィール

ROTH BART BARON
ROTH BART BARON(ろっと ばると ばろん)

三船雅也(Vo,Gt)、中原鉄也(Dr)から成る2人組フォークロックバンド。2014年、米国フィラデルフィアで制作されたアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』でアルバムデビュー。続く2015年のセカンドアルバム『ATOM』は、カナダ、モントリオールのスタジオにて現地のミュージシャンとセッションを重ねレコーディングし、「felicity」よりリリース。2018年現在は、待望のフルアルバムをこの秋にリリース。発表に向けたクラウドファンディングを開始し、バンドとお客さんの新しい世界を作る『P A L A C E (β)』プロジェクトを立ち上げた。

若林恵(わかばやし けい)

1971年生まれ。編集者。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業後、平凡社入社、『月刊太陽』編集部所属。2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。

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