
タムくんとタイのキャラ作家が語る、タイのキャラクター文化事情
『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』- インタビュー・テキスト
- 島貫泰介
- 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
日本同様に、かわいくて個性的なキャラクターが人気の国タイ。そんなタイのキャラクターを紹介するイベント『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』が8月2日から始まる。
今回は、マムアンでおなじみのウィスット・ポンニミット(通称タムくん)、5人の動物たちが仲よく遊ぶ「Little Amiko(リトルアミコ)」を生み出したSweet Summerのアム&ボーイ、好奇心旺盛で猫みたいな女の子Meaw(ミャオ)の作者であるOH+Futonなど7名のクリエイターたちが紹介される。
タイだけでなく世界を飛び回って活躍する3組のクリエイターに、タイキャラのいま、創造の秘密を聞いた。
昔のマムアンに戻ろうかなって思ってる。(タムくん)
―タムさんには昨年もインタビューさせていただきましたが、最近のマムアンちゃんの活動はいかがですか?(参考:タムくんとタイの作家に訊く、タイのキャラクター文化急成長の訳)
タム:最近のマムちゃんは、甘い感じを控えめにしてるね。
―甘さを控えめ?
タム:うん。10年前のマムちゃんは、痛みやトゲがあるようなメッセージも送っていたんだけど、最近はかわいい感じになりすぎていたから、少しだけ昔のマムアンに戻ろうかなって思ってる。
タイ人って甘いのが好きなんだよね。Instagramなんかでタグ付けして、友だちに送って喜ばれるのが流行るんだ。日本人はシュールなものだったり意味深なのも好きなんだけど、タイはぜんぜんそうじゃない。「したくん」なんてまったくウケない(苦笑)。そういう反応の一つひとつを僕が気にしすぎちゃったのがよくなかったな、って最近は思っているんだ。
―それでマムアンちゃんのイメージを昔に戻そうと。
タム:最初のころの僕のマンガや作品って90%はシュールな感じだったから、たまにかわいい子が出てくれば気分転換にいいかも、くらいの気持ちでマムアンちゃんを描いてたんだ。ご飯に対するデザートというか。でも、最近はデザートばかりで甘すぎる。だからゆっくり変えていこうかなって。
―面白い変化ですね。SNSの影響も大きい気がします。
タム:そうそう。昔は本とか長い作品がメインだったけれど、SNSが出てきてから短くてシェアしやすいものが好まれるでしょ。それに合わせて、マムアンちゃんの出番が増えすぎちゃったんだ。使いやすいし、マムアンちゃんもなんでも仕事してくれるからさ(笑)。でも自分のやりたいことは、デザートばっかりじゃない。まだまだあるんだって思う。
―前回のインタビューでは「ペインティングをしたい」と言っていましたね。
タム:仕事が忙しくて本格的にはまだ始められてないけれど、きれいに絵を描くのは最近楽しい。だからまずは版画をやろうかなって思ってる。
―今年2月にはバンコクに「MAMUANG SHOP(マムアン ショップ)」も開店しました。それも多忙な理由?
タム:たしかに。マムアンちゃんは日本人のファンが多いんだけど、タイに来ても会える場所がなかったから、いつかオープンしたかったんだよね。いまはグッズ販売が中心だけど、それだけでも忙しい。日本人も毎日来てくれるから嬉しいよ。行くのにけっこう大変な場所にあるのに、みんなすごいよ。
イベント情報

- 『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』
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タイで注目の7キャラクターが集合する『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』。今年もタイから運ぶ貴重な作品の展示や充実のオリジナルグッズの販売、作家来日ワークショップなど盛りだくさん! この夏はタイキャラに会いに行こう!
2019年8月2日(金)~8月25日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズ アート&デザインストア
営業時間:11:00~21:00
主催:タイ国大使館商務参事官事務所

- 『シューシープのお絵描き会』
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ふわふわシュークリームのような見た目がトレードマークのひつじの「シューシープ」。作者のPoptodayが、本企画のために来日してライブドローイングを行います。シューシープといえば、ごはんが大好きな食いしん坊。イベントにご参加のお客様には、好きな食べ物をお聞きして、シューシープとともに描くスペシャルな一枚を差し上げます。
日時:2019年8月3日(土)、4日(日)の14:00~16:00
場所:東京都 六本木ヒルズ アート&デザインストア
料金:無料
定員:各日12名
プロフィール
- ウィスット・ポンニミット
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1976年、タイ・バンコク生まれ。愛称はタム。バンコク、シラパコーン大学デコラティブアート学部卒。1998年バンコクでマンガ家としてデビューし、2003年から2006年まで神戸に滞在。2009年『ヒーシーイットアクア』により文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞。現在はバンコクを拠点にアーティスト・マンガ家として作品制作の傍ら、アニメーション制作・音楽活動など多方面で活躍する。主な作品に「マムアン」シリーズ、『ブランコ』(小学館)、『ヒーシーイット』シリーズ(ナナロク社)など。2016年には、新刊『ヒーシーイットレモン』刊行、個展「ほっとすぽっと」開催、くるりの楽曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」PV制作を手掛けたほか、さいたまトリエンナーレ2016にも参加。
- Sweet Summer(すうぃーと さまー)
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14歳のとき旅行で訪れた日本でキャラクター文具にはまったAlissaraと、同じく日本の漫画や音楽が大好きなRathakorn(通称Boy)の二人がSweet Summerをスタート。冒険、旅行、世界、宇宙、自由、自然などのテーマをイマジネーションたっぷりに表現したキュートなステーショナリーがタイの女子中高生に大人気。
- OH+Futon(おふとん)
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スタイリスト・モデル・女優・ミュージシャンとして活動をスタートし、バンコクのシラパコーン芸術大学でアートを学ぶ。FENDIをはじめとするブランドとのコラボのほか、ホテルやイベントのデザイン、アパレルブランドのデザイン、絵本の制作など活動は多岐にわたる。インフルエンサーとしても活躍中。