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2020年東京オリンピック以降を問う。美術家と建築家が見る景色

2020年東京オリンピック以降を問う。美術家と建築家が見る景色

『TOKYO 2021』
インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:八田政玄 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

「災害と祝祭」は歴史的に入れ替わりで繰り返されてきた。そこに並走するアーティストを「慰霊のエンジニア」ととらえ、2021年以降を創造する力につなげたい。(黒瀬)

建築展の後に始まる美術展は、黒瀬陽平がキュレーターを務める。彼は東京、そして日本に「災害と祝祭」を繰り返す歴史を見いだし、そこで文化や科学が新たな想像力や技術を生み出してきたと考察。その「慰霊のエンジニアリング」の営みには表現者たちも関わってきたとの視点から、日本現代美術史を再構成する。

―黒瀬さんが今回掲げた美術展のテーマ「un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング」について聞かせてください。

黒瀬:最初に考えたのは、やはりゼネコンの戸田建設と一緒に美術展をやる意味です。同社は東北の災害復興などにもインフラ面から貢献しているので、そこから、ポストオリパラにつながる視点を見いだせないかと考えました。

そうして出てきたのが「災害と祝祭」。両者は対照的ながら、歴史的にみると常に入れ替わりで繰り返されてきました。たとえば1964年『東京オリンピック』の前には第二次世界大戦と原爆投下が、今回の『東京オリンピック・パラリンピック』の前には東日本大震災があった。

黒瀬陽平(くろせ ようへい)<br>1983年、高知生まれ。美術家、美術批評家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。『思想地図』公募論文でデビュー。美術からアニメ・オタクカルチャーまでを横断する鋭利な批評を展開する。また同時にアートグループ「カオス*ラウンジ」のキュレーターとして展覧会を組織し、アートシーンおよびネット上で大きな反響を呼ぶ。著書に『情報社会の情念 —クリエイティブの条件を問う』(NHK出版)。
黒瀬陽平(くろせ ようへい)
1983年、高知生まれ。美術家、美術批評家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。『思想地図』公募論文でデビュー。美術からアニメ・オタクカルチャーまでを横断する鋭利な批評を展開する。また同時にアートグループ「カオス*ラウンジ」のキュレーターとして展覧会を組織し、アートシーンおよびネット上で大きな反響を呼ぶ。著書に『情報社会の情念 —クリエイティブの条件を問う』(NHK出版)。

黒瀬:多くの祝祭は厄災を乗り越えるべく開かれてきた歴史があります。さらに、その現場では建築家やアーティストも関わる。

そして慰霊は、宿命的に繰り返される災害から立ち直り、前進しようとする営みです。災害の内容も文明と共に変化するならば、対応する学術や技術も、また慰霊の行為も更新されてきたはず。今回はこうした視点を日本現代美術史と重ねた展覧会を考えています。

藤元明『幻爆 着弾ver.』2017年 寺田倉庫
藤元明『幻爆 着弾ver.』2017年 寺田倉庫

―紹介される作品は、霧のアートで有名な中谷芙二子が1970年代に水俣病の抗議運動を扱ったビデオ作品や、メーヴェ型飛行具で知られる八谷和彦が阪神・淡路大震災を機に生んだ初期の名作。またオウム事件以降に美術活動を休止した飴屋法水の語りや、宇川直宏が東日本大震災以前に災害をテーマに取り組んだ作品など、幅広いですね。

黒瀬:情報社会化の始まりである1970年代を起点とし、現在までつながる日本現代美術の系譜を提示できればと思っています。美術がいかに同時代の文化やテクノロジーを取り入れながら、作品をある種のシミュレーターとして、様々な災害記憶を扱ってきたのかを考えたい。

災害と祝祭を繰り返す歴史の中で、慰霊の行為とテクノロジーもパラレルに関わり合い、変化し続けています。今回は、時代と並走するアーティストたちの試みを「慰霊のエンジニア」としてとらえることで、2021年以降を創造する力につなげられたらと考えています。

黒瀬陽平
黒瀬陽平
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イベント情報

『TOKYO 2021 課題「島京2021」』

2019年8月3日(土)~8月24日(土)
会場:東京都 京橋 TODA BUILDING

『TOKYO 2021 un/real engine - 慰霊のエンジニアリング - 』

2019年9月14日(土)~10月20日(日)(毎週火曜日定休)
会場:東京都 京橋 TODA BUILDING
料金:無料(Peatixサイトより事前登録)

プロフィール

藤元明(ふじもと あきら)

1975年東京生まれ。東京藝術大学美術学部大学院デザイン専攻修了。FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学先端芸術表現科非常勤助手を経てアーティストとして活動。都市における時間的/空間的余白を活用するプロジェクト「ソノ アイダ」を主催。人間では制御出来ない社会現象をモチーフとして、様々な表現手法で作品展示やアートプロジェクトを展開。主なプロジェクトに「NEW RECYCLE®」、広島-New Yorkで核兵器をテーマに展開する「Zero Project」など。2016年より開始した「2021」プロジェクトは現在も進化中。

永山祐子(ながやま ゆうこ)

1975年東京都生まれ。1998年昭和女子大学卒業後、青木淳建築計画事務所を経て、2002年永山祐子建築設計設立。2005年JCDデザイン賞2005奨励賞を受賞した「ルイ・ヴィトン京都大丸店」にて注目を集める。2006年AR Awards(UK)優秀賞「丘のあるいえ」、2014年JIA新人賞「豊島横尾館」、2018年山梨県建築文化賞、JCD Design Award銀賞、東京建築賞優秀賞「女神の森セントラルガーデン」等国内外受賞多数。現在、ドバイ万博日本館(2020年)、新宿歌舞伎町の高層ビル(2022年)などの計画が進行中。

中山英之(なかやま ひでゆき)

1972年福岡県生まれ。1998年東京藝術大学建築学科卒業。2000年同大学院修士課程修了。伊東豊雄建築設計事務所勤務を経て、2007年に中山英之建築設計事務所を設立。2014年より東京藝術大学准教授。主な作品に「2004」、「O邸」、「石の島の石」、「弦と弧」、「mitosaya薬草園蒸留所」、「Printmaking Studio / FMC」主な著書に『中山英之/スケッチング』(新宿書房)、『中山英之|1/1000000000』(LIXIL出版)『, and then: 5 films of 5 architectures/建築のそれからにまつわる5本の映画』(TOTO出版)。

藤村龍至(ふじむら りゅうじ)

建築家。1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年藤村龍至建築設計事務所(現RFA)主宰。2010年より東洋大学専任講師。2016年より東京藝術大学准教授。2017年よりアーバンデザインセンター大宮(UDCO)副センター長/ディレクター、鳩山町コミュニティ・マルシェ総合ディレクター。2018年より日本建築学会誌『建築雑誌』編集委員長。住宅、集合住宅、公共施設などの設計を手がける他、公共施設の老朽化と財政問題を背景とした住民参加型のシティマネジメント、ニュータウン活性化、中心市街地再開発のデザインコーディネーターとして公共プロジェクトに数多く携わる。

黒瀬陽平(くろせ ようへい)

1983年、高知生まれ。美術家、美術批評家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。『思想地図』公募論文でデビュー。美術からアニメ・オタクカルチャーまでを横断する鋭利な批評を展開する。また同時にアートグループ「カオス*ラウンジ」のキュレーターとして展覧会を組織し、アートシーンおよびネット上で大きな反響を呼ぶ。著書に『情報社会の情念 —クリエイティブの条件を問う』(NHK出版)。

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