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MONO NO AWAREが語る、この社会で言葉を覚えて、大人になること

MONO NO AWAREが語る、この社会で言葉を覚えて、大人になること

MONO NO AWARE『かけがえのないもの』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:池野詩織 編集:山元翔一 (CINRA.NET編集部)

そう、この感覚を知っている──MONO NO AWAREの音楽は、かつての自分がたしかに持っていたものを一瞬取り戻させる。その感覚は、10月16日にリリースされた3rdアルバム『かけがえのないもの』で一層磨きがかかっている。

「子どもから大人への成長」というテーマを軸に制作された本作は、ソングライターである玉置周啓の独自に磨かれた視座と作家性、オルタナティブで瑞々しいバンドサウンドの個性が過去最高に活き活きと融合している。「人間味に満ちた遊び心」を真ん中に宿すこの作品は、いかにして生まれたのか。MONO NO AWAREがたどり着いた地平について、玉置に話を聞いた。

玉置周啓(MONO NO AWARE)
玉置周啓(MONO NO AWARE)

ヒントは芥川龍之介『トロッコ』に。子どもの目線と感覚を、大人の言葉で歌にする

―前作の『AHA』(2018年)というタイトルも象徴的でしたけど、MONO NO AWAREの音楽には「この感覚、知ってる」というある種の呼び覚まされる感じが強くあるんです。そういうふうに今作『かけがえのないもの』を聴くと、大人になるにつれて社会によって平坦にされて、失ってしまった感覚をもう一度味わえるような心地がして。

玉置:いやぁ、その解釈はめっちゃ最高ですね。このアルバムに感じる気持ちよさ、達成感ってそういうところに起因しているのかもしれない。僕もいいアルバムができたなと思っていますし、そう言ってもらえてうれしいです。

今作は「子どもから大人への成長」というテーマを設定して作ったコンセプトアルバムなんですけど、今までの作品では伝えてなかった歌詞の意味をメンバーに共有したうえで制作を進めていったんです。そういうこともあってか、すごく手応えがあって。

MONO NO AWARE(もの の あわれ)<br>左から:柳澤豊、竹田綾子、加藤成順、玉置周啓<br>東京都八丈島出身の玉置周啓、加藤成順は、大学で竹田綾子、柳澤豊に出会った。その結果、ポップの土俵にいながらも、多彩なバックグラウンド匂わすサウンド、期待を裏切るメロディライン、言葉遊びに長けた歌詞で、ジャンルや国内外の枠に囚われない自由な音を奏でるのだった。2019年10月16日、映画『沈没家族 劇場版』の主題歌“A・I・A・O・U”、NHK『みんなのうた』の書き下ろし曲“かむかもしかもにどもかも!”を含む3rdアルバム『かけがえのないもの』をリリース。
MONO NO AWARE(もの の あわれ)
左から:柳澤豊、竹田綾子、加藤成順、玉置周啓
東京都八丈島出身の玉置周啓、加藤成順は、大学で竹田綾子、柳澤豊に出会った。その結果、ポップの土俵にいながらも、多彩なバックグラウンド匂わすサウンド、期待を裏切るメロディライン、言葉遊びに長けた歌詞で、ジャンルや国内外の枠に囚われない自由な音を奏でるのだった。2019年10月16日、映画『沈没家族 劇場版』の主題歌“A・I・A・O・U”、NHK『みんなのうた』の書き下ろし曲“かむかもしかもにどもかも!”を含む3rdアルバム『かけがえのないもの』をリリース。

―このアルバムは、『AHA』に収録されている“東京”と“センチメンタルジャーニー”ができたからこそたどり着いた作品でもあると思いました。あの2曲で地元の八丈島に思いを巡らせたうえで、今作はさらに自分自身の個に立ち返り、それが「成長」というキーワードに収斂されていったのかなと。

玉置:自分ではあまり意識してなかったですけど、そういう意味合いやニュアンスを持ってるアルバムだと思いますね。

MONO NO AWARE『AHA』を聴く(Apple Musicはこちら

玉置:テーマ的にも制作にあたって、母親に小学生のころに授業で使っていたものをダンボールごと送ってもらったんです。送られてきたものを見て、子どものころの感覚を思い出しながら歌詞を書いてみようと思い至って。でも実際やってみると、うまく書けなかった。やっぱり自分は大人になったんだなと思ったんですよね。でも、それであれば目線は子どもにして、大人の言葉で歌詞を書いてみようと思って。

―本来はもっと童心に帰るようにして書きたかった?

玉置:そうなんです。僕は芥川龍之介の『トロッコ』(1922年発表)という小説が好きなんですけど、あれって工事現場のトロッコを押している土工について遠くまで行ってしまう子どもの話で。

最初は土工と一緒で楽しかったけど、村から遠ざかっていくにつれてだんだん不安が募ってきて、結局帰りはひとりで帰らなきゃいけなくなって、外も暗いし、めちゃくちゃ寂しい気持ちが押し寄せてくる――そういうことが、子どもの視点で書かれているんですね。

芥川龍之介『トロッコ』を読む(<a href=https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/43016_16836.html target=_blank>青空文庫を開く</a>)
芥川龍之介『トロッコ』を読む(青空文庫を開く

玉置:僕、あの小説を小6くらいのときに初めて読んだことをめちゃくちゃ覚えていて。のちにその『トロッコ』が大学の授業で取り上げられたんです。芥川龍之介が『トロッコ』を書いたのは30歳のときなんですけど、授業で先生が「トロッコに乗って山奥に行くときのワクワクと帰ってくるまでの寂しさを、本当に子どもが感じるように描写して、読者にも子どものころの感覚を喚起させるところがすごい」と言っていて。

とはいえ、子どもが一人称の口語調で「寂しい」と語っているわけではなくて、すごく客観的な筆致でその心境や状況が描かれているんですよね。だから今作の歌詞を書くにあたって、子どもの言葉遣いでイチから成長を綴るのではなく、そこに客観的な視点を持ち込む──「小さかったころの俺を、今の俺が見守る」ようなイメージで書いたほうが自然だなと思ったんです。

MONO NO AWARE“新人類”を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

『かけがえのないもの』
MONO NO AWARE
『かけがえのないもの』(CD)

2019年10月16日(水)発売
価格:2,500円(税抜)
PECF-3242

1. 新人類
2. えんぴつ
3. かむかもしかもにどもかも!
4. 時間泥棒がやってくる
5. ゴミ
6. 普通のひと
7. テレビスターの悲劇
8. ヒトノキモチニナ~ル
9. ゲームは1日30分
10. 女子高生
11. 言葉がなかったら
12. LAST
13. A・I・A・O・U

イベント情報

MONO NO AWARE
『マジでかけがえのないものツアー』

2019年11月21日(木)
会場:京都府 METRO

2019年11月23日(土・祝)
会場:福岡県 the voodoo lounge

2019年12月6日(金)
会場:北海道 札幌 COLONY

2019年12月8日(日)
会場:宮城県 仙台 enn 2nd

2019年12月12日(木)
会場:大阪府 心斎橋 Anima

2019年12月13日(金)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2019年12月19日(木)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

料金:各公演 前売3,300円(ドリンク別)

プロフィール

MONO NO AWARE
MONO NO AWARE(もの の あわれ)

東京都八丈島出身の玉置周啓、加藤成順は、大学で竹田綾子、柳澤豊に出会った。その結果、ポップの土俵にいながらも、多彩なバックグラウンド匂わすサウンド、期待を裏切るメロディライン、言葉遊びに長けた歌詞で、ジャンルや国内外の枠に囚われない自由な音を奏でるのだった。2017年3月には、1stアルバム『人生、山おり谷おり』をリリース。2018年8月に2ndアルバム『AHA』発売、恵比寿LIQUIDROOMワンマン公演を含む初全国ツアーを開催した。2019年10月16日、映画『沈没家族 劇場版』の主題歌“A・I・A・O・U”、NHK『みんなのうた』に起用された“かむかもしかもにどもかも!”を含む3rdアルバム『かけがえのないもの』をリリース。

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