
日暮愛葉は自分に飽きた 新しい血を流し込むGuruConnectとの創作
日暮愛葉『A』- インタビュー・テキスト
- 小野島大
- 撮影:カド翔真 編集:矢澤拓(CINRA.NET編集部)
日暮愛葉の2年半ぶりの新作『A』が4月15日にリリースされる。通算5枚目のソロアルバムとなる本作は、さきごろ新作『CHUNK』を発表したばかりのskillkills・GuruConnectと、ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文が共同プロデュースを手がけた。
日暮らしいポストパンク、オルタナティブロックでありながら、エレクトロニックR&Bやヒップホップのビートやグルーヴを取り入れており、大胆かつ繊細、フレッシュでエモーショナルな日暮本来の魅力が溢れている。GuruConnectのサウンドプロデューサーとしての力量も十分に発揮された快作だ。
ケンゴマツモト(Gt / THE NOVEMBERS)、ビートさとし(Ba / skillkills)、蓮尾理之(Key / siraph)、織田祐亮(Tp / TRI4TH)といった精鋭メンバーが参加、後藤も日暮とデュオを披露している。
先ごろ日暮が闘病中であることが伝えられ、残念ながらレコ発のライブは中止になってしまったが、久々に会った日暮は血色もよく、新作のでき映えにも強い手応えを感じているようだった。
※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。
デモがめちゃくちゃよかった。ああ、こんなよくなるんだ? この人天才じゃない、って思って。(日暮)
―2年半ぶりの新作ですね。skillkillsの人と作っているという話を愛葉さんからお聞きしたのは去年の8月くらいでした。
日暮:スグル(GuruConnect)が手をつけたのが6月くらいで、私は年始からやっていましたね。
―去年の頭から?
日暮:もっと前かな? ここ3年くらい体調が悪かったんですけどーー前作『YOUTH』(2017年)を作っている時もーーなぜか創作意欲だけはあって……というか、創作意欲以外はあんまりなくて、ちょこちょこ曲を作り始めていたの。その時点でゴッチ(後藤正文)に相談していて。というのも、前作をいたく好きだとゴッチが言ってくれたので、じゃあ何か一緒にやりたいねってことになったの。
―なるほど。
日暮:最初は前に一緒にやっていたオータケ(オータケコーハン / あらかじめ決められた恋人たちへ、LAGITAGIDA、sajjanu)とまたやろうかなと思っていたんだけど、今回はあんまり合わなかった。でも、ひとりじゃやりたくないから、SNSで一緒にできそうな人を調べて、声かけた人もいたんだけど、なかなか上手く噛み合わずで。ちょっとだけ悩んだ時間があったんだけど、よく考えたらスグルがいるじゃんと思いついて声かけたら、「やる!」って。制作期間に入るって決める前から、スグルがどんどん私の曲をアレンジしてくれて、それがすごくよかった。何の説明もしてないのに。
GuruConnect:とりあえず曲が送られてきたからアレンジしてみて、どうですか? って(返してみると)いう。
日暮:曲を送ったら、早い時には当日返してくれて(笑)。デモがめちゃくちゃよかった。ああ、こんなよくなるんだ? この人天才じゃない、って思って。私いい作品作れるかもしれないわと思った。

日暮愛葉(ひぐらし あいは)
Seagull Screaming Kiss Her Kiss Herのギターボーカル、作詞作曲、プロデュース。2020年4月にASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文が主宰するレーベル・only in dreamsからアルバム『A』をリリースする。
―渡したデモっていうのはどの段階のものですか?
GuruConnect:ギターと歌だけ、あとはギターとドラムとシンセだけとかすごくラフな感じでした。
日暮:あとは昔のとかね。昔作ったデモを掘り返していくと、ものすごい量の捨て曲があるんだよね。芸歴長いから(笑)。昔のものだから古い感じするかなとか、聴かせるのが恥ずかしいとか、そういう気持ちがあっても、どっか思い入れがある曲もある。自分では客観的に聴けないからとりあえずゴッチに聴いてもらうと、これは全然古くないし愛葉さんらしいし、すごく純粋なポップス、ロックですよって言ってくれて。ゴッチのOKが出たやつをスグルに聴いてもらって、アレンジしてもらいました。
リリース情報

- 日暮愛葉
『A』(CD) -
2020年4月15日(水)発売
価格:2,701円(税込)
ODCP-0221. Seven seas
2. Turn me on
3. Shining all over feat. Gotch
4. Child
5. Song A
6. Sympathy
7. Wonk
8. Je t’aime
9. HEAT
10. Tell me Call me
11. Shining all over(High school classic ver.)[Bonus Track]
プロフィール
- 日暮愛葉(ひぐらし あいは)
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SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERのギターボーカル、作詞作曲、プロデュース。1992年に初期SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERを始動(2002年に休止)。その後もYUKI(JUDY AND MARY)のソロデビューの楽曲提供とプロデュースを手がけるなど数々のアーティストへの楽曲提供や映画への書き下ろしなども手がけている。LOVES.、THE GIRLなど自身のバンドやソロプロジェクトでの活動を経て2014年1月1日に中尾憲太郎の声かけにより新生SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERを全く新しいメンバーにて始動。2015年には最新メンバーでの作品『ETERNAL ADOLESCENCE』もリリース。2020年4月にはASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文が主宰するレーベル・only in dreamsからアルバム『A』がリリースされる。
- GuruConnect(ぐるこねくと)
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ネクストレベルのビートを軸に凄まじき世界観を叩きだすバンドskillkillsのコンポーザーでありベーシスト。skillkills はアヴァン・ヒップホップ・レーベル「BLACK SMOKER RECORDS」より2011年12月24日に1stアルバム『skillkills』を、2012年12月26日に2ndアルバム『BLACK MUTANT』をリリース。その後自身のレーベル『ILLGENIC RECORDS』を立ち上げ、2014年1月22日に3rdアルバム『ILLGENIC』を発表。ジャンルをまたいだ様々なアーティストと共演し、世界でも類を見ない唯一無二のリズムセクションとウワモノのヒリつく掛け合いで各地のあらゆるイベントで衝撃を与え続けている。2020年2月26日に6thアルバム『CHUNK』をリリースした。