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高城晶平の音楽に宿るまなざし 無自覚な「我」を角銅真実と探る

高城晶平の音楽に宿るまなざし 無自覚な「我」を角銅真実と探る

Shohei Takagi Parallela Botanica『Triptych』
インタビュー・テキスト
柳樂光隆
撮影:山本華 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)

ceroの高城晶平によるソロプロジェクトShohei Takagi Parallela Botanicaのファーストアルバム『Triptych』のリリースに合わせて、ceroのサポートメンバーであり、『Triptych』にも参加している角銅真実との対談がセッティングされた。角銅真実は今年2月に1stアルバム『oar』をリリースしたシンガーソングライターでもある。

ビジョンを定め、それに従ってディテールまで精緻に書き込みコンセプチュアルな作品を作る高城と、その音楽に導かれるように自身でさえも結末のわからない物語を描き、そのプロセスをパックするような角銅。その全く異なる音楽性や音楽観、世界観を持つ2人に『Triptych』をお題に語り合ってもらうとなったとき、彼らには音楽家としてではなく、創作者としての美意識や哲学が見えてくるような話をしてもらいたいなと僕は思っていた。さらに言えば、作曲や演奏に関する技術や手法、プロセスや情報ではなく、2人の創造力の根っこにあるものが見えるような話になればいいなと思った。正直に言うと、この2人に具体的に何の話をしてもらうかのプランは何も浮かばなかった。出たとこ勝負でいくしかないなと思って現場に行った。

この対談の司会に名前はあるが、僕は2人の会話をうなずいたり、相槌を打ったり、笑ったり、言葉を理解するために考え込んだりしていただけだ。僕の目の前では、角銅の(不思議な語り口から出てくる)言葉をきっかけに、高城の創作者としての、もしくは人間としての核心に迫るような言葉がどんどん出てきて、勝手に進んで、どんどん深まっていった。それはまるで即興演奏のセッションを見ているようだった。

※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。

この作品はお酒みたいだなって思いました。初めて飲むお酒ですね。いろんな国で味が違うラム酒みたい。(角銅)

―『Triptych』のコンセプトを教えてください。

高城:『Triptych』は三連祭壇画って意味で、3つのフレームで作る絵画の形式があるんです。その美術形態を音楽のアルバムでやってみようというのがコンセプトです。マディソン・スマート・ベルという作家の『ゼロ・デシベル』という短編集があるのですが、そこでは短編の間に「トリプティック #1」、「トリプティック #2」と短編が挟まれていて、それが面白くて。彼は文学で三連祭壇画をやっていると。この感じを音楽に置き換えてやったら面白いんじゃないかなと思ったんです。

三連祭壇画を宗教的なものというよりは、ポップアート的な感じで捉えて、同じモチーフを同じ絵の具で、アングルだけが違う、そういう方向性で作りました。アルバムを通して、同じ色味の一辺倒な内容でよくて、フレームだけがある。そのフレームに神が宿るようになればいいなと。

角銅:レコーディング前に飲んだときに3部作の話をしてくれて、「うぉー!なんてかっこいいんだ」と思って聞いてました。

高城:そのときにお互いの進行中の音源を送り合ったりして、角ちゃんの『oar』を聴きながら帰ったりして。

左から:高城晶平、角銅真実
左から:高城晶平、角銅真実

―角銅さんは『Triptych』を最初に聴いたときはどう感じましたか?

角銅:録音に参加したんですけど、でき上がってから初めて聴いたときに、ちょうどアルゼンチンから帰る飛行機の中だったんです。その環境もぴったりで、とにかくすごくよくて、それで高城さんに盛り上がったメールを送っちゃったんですけど、この作品はお酒みたいだなって思いました。初めて飲むお酒ですね。いろんな国で味が違うラム酒みたいだなって。

高城:お酒みたいっていうのは、裏テーマとして「陶酔感」みたいなのは欲しいなと思っていたから、それかもね。どっぷりいく感じっていうか、うっとり感みたいなものを出したいと思ってました。ceroでもPAやってくれてる得能(直也)さんに送ったら、「サイケだね。すごいサイケ!」って電話がかかってきて。角ちゃんと得ちゃんが言わんとしていることは同じことなのかも。

角銅:その中にいるんだけど、いないっていう感じがして。歌詞の言葉も、全部そのストーリーの中のことなんだけど、全部がアイテムっていうか。でも情報って感じじゃない。

高城:他のインタビューで、歌詞に「死」とか「実存」みたいないろんなものが見え隠れするんだけど、この歌の中に当事者としての高城晶平がいない感じがあるって言われて、たしかにそうだなと思ったし、俺が作る歌ってこれに限らず全部そうかもしれない。

Shohei Takagi Parallela Botanica『Triptych』を聴く(Apple Musicはこちら
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リリース情報

Shohei Takagi Parallela Botanica『Triptych』初回限定盤
Shohei Takagi Parallela Botanica
『Triptych』初回限定盤(CD+DVD)

2020年4月8日(水)発売
価格:3,850円(税込)
AICL-3880~1

[CD]
1. トワイライト・シーン
2. リデンプション・ソング
3. トリプティック #1
4. キリエ
5. オー・ウェル
6. トリプティック #2
7. ミッドナイト・ランデヴー
8. モーニング・プレイヤー
9. トリプティック #3

[DVD]
『Triptych interview and gig』

Shohei Takagi Parallela Botanica『Triptych』通常盤
Shohei Takagi Parallela Botanica
『Triptych』通常盤(CD)

2020年4月8日(水)発売
価格:2,750円(税込)
AICL-3882

1. トワイライト・シーン
2. リデンプション・ソング
3. トリプティック #1
4. キリエ
5. オー・ウェル
6. トリプティック #2
7. ミッドナイト・ランデヴー
8. モーニング・プレイヤー
9. トリプティック #3

Shohei Takagi Parallela Botanica『ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE』
Shohei Takagi Parallela Botanica
『ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE』(LP)

2020年4月22日(水)発売
価格:1,100円(税込)
KAKU-114

[SIDE A]
1. ミッドナイト・ランデヴー(7inch ver.)
[SIDE B]
1. PLEOCENE

角銅真実『oar』
角銅真実
『oar』(CD)

2020年1月22日発売
価格:3,300円(税込)
UCCJ-2176

1. December 13
2. Lullaby
3. Lark
4. November 21
5. 寄り道
6. わたしの金曜日
7. Slice of Time
8. October 25
9. 6月の窓
10. January 4
11. いかれたBaby
12. Lantana
13. いつも通り過ぎていく

プロフィール

高城晶平
高城晶平(たかぎ しょうへい)

ceroのボーカル / ギター / フルート担当。2019年よりソロプロジェクト「Shohei Takagi Parallela Botanica」を始動。その他ソロ活動ではDJ、文筆など多岐に渡って活動している。4月8日に1st Album『Triptych』をリリースした。

角銅真実
角銅真実(かくどう まなみ)

長崎県生まれ。東京藝術大学 音楽学部 器楽科 打楽器専攻 卒業。マリンバをはじめとする多彩な打楽器、自身の声、言葉、オルゴールやカセットテープ・プレーヤー等を用いて、自由な表現活動を国内外で展開中。自身のソロ以外に、ceroのサポートや石若駿SONGBOOK PROJECTのメンバーとしての活動、CM・映画・舞台音楽、ダンス作品や美術館のインスタレーションへの楽曲提供・音楽制作を行っている。2019年2月、都内カフェにて初めて「うた」にフォーカスしたワンマンライヴを開催。その5か月後には『FUJI ROCK FESTIVAL』に自身の名義で初出演を果たした。

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