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Miliが語る、移住のススメ。「世界各国に1000人ずつファンがいる」

Miliが語る、移住のススメ。「世界各国に1000人ずつファンがいる」

Mili『Intrauterine Education』『雨と体液と匂い / Static』
インタビュー・テキスト
柴那典
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

2020年は、おそらくたくさんの人たちにとって「仕事」や「暮らし」のあり方を見直すターニングポイントの1年になっているのではないだろうか。

新型コロナウイルスの感染拡大は一旦落ち着きを見せたが、外出自粛の期間に在宅勤務やビデオ会議の慣習は一気に広まりを見せた。今後もリモートワークを継続する企業も多く、この潮流はしばらく続きそうだ。

そんな中、とても興味深い動きを見せている音楽制作集団が、Miliだ。

Miliは、コンポーザーのYamato Kasai、彼とネットを介して出会ったカナダ人ボーカリスト・Cassie Wei、イラストレーター / アニメーターのAo Fujimoriら5名からなるユニット。台湾の企業が運営する音楽ゲームアプリ『Deemo』に楽曲が起用されたことをきっかけに国内外で知名度を広め、その幻想的な音世界の魅力でインディペンデントな体制ながら各国にファンを増やしている。先日にはNetflixにて全世界配信されたアニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045』にエンディングテーマ“sustain++;”を書き下ろし、6月10日には同曲を収録したニューシングル『Intrauterine Education』と『雨と体液と匂い / Static』を2枚同時リリースする。

KasaiとCassieは、今年初頭から長野県に移住し、東京や愛知など他の場所に居住するメンバーやスタッフと遠隔でコミュニケーションをとりつつクリエイティブを進めているという。新作について、そして新たな日常について、Yamato Kasaiに話を聞いた。

制作環境がめちゃくちゃいいんですよ。なにより、社会の中で他人から受けるストレスがない。

―2月に長野に移住されたということですが、今はどんな感じで暮らしてらっしゃるんでしょうか?

Kasai:ここは長野の山の方で、標高1000メートルくらいあって、周りにも森とかしかないところです。

―SNSでも写真を投稿されてますけど、一歩外に出たら自然が広がってるような環境なんですよね。

Kasai:そうですね。家を出たらすぐに小川があって、いろんな鳥が鳴いていて。1メートルくらいの大きさの鳥がストーンって目の前に降りてきたりするんですよ。なので、引っ越してきたからもう何か月か経ちますけど、何回外に出ても新鮮ですね。

Yamato KasaiのTwitterより

―具体的にはいつ頃に移住を決めたんですか?

Kasai:去年の10月くらいかな。引っ越したきっかけというのは、そもそも僕が田舎好きでいつか自然の中で曲を作りたかったというのがあるんです。それで、去年に事務所から独立したのもあって、「だったら東京にいなくてもいいんじゃないか」ということになったんですね。もともと愛知で活動していたんですけど、そこでもちゃんと仕事はやれていたので、「仕事のために東京に居続けなきゃいけない」という恐怖もなかった。「じゃあ行こうか」みたいな感じでした。今、制作環境がめちゃくちゃいいんですよ。なにより、社会の中で他人から受けるストレスがない。そもそも人と接触しないので。

―事務所を辞めて独立されたのはどんな理由だったのでしょうか。

Kasai:もともと僕らとしては事務所に入るつもりはなかったんです。ただ、誘ってくださった方が「一緒に二人三脚でやりたい」ということで、いわゆるメジャーな音楽事務所にありがちな契約とは違う形をとってくれたんですね。ある程度僕らの自由を保障してくれていたんです。

それでも物事が大きくなっていくと、それなりに制約や理不尽なことも増えてくる。そうなると、事務所との契約にこだわる必要もないということになって。もともと自分たちだけでやってたので、それに戻った感じです。

Mili(みりー)<br>クラシカルなサウンドを土台に幅広い作曲を手掛けるコンポーザーYamato Kasai(Gt)、天使の歌声を持ちトリリンガルで作詞も担当するカナダ人ボーカリストCassie Wei(Vo)、高度なテクニックでMiliの音楽を支える実力派プレイヤーYukihito Mitomo(Ba)、Shoto Yoshida(Dr)、Miliの世界観を視覚的に表現するクリエイターAo Fujimori(Illustrator, Animator)の5名からなる世界基準の音楽制作集団。2017年、2018年の2年連続で『SUMMER SONIC』に出演、中国・台湾・シンガポール等の海外公演、2020年には世界的なSFアクションの金字塔として知られる『攻殻機動隊』シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』エンディングテーマを担当するなど、活躍の場を広げ続けている。
Mili(みりー)
クラシカルなサウンドを土台に幅広い作曲を手掛けるコンポーザーYamato Kasai(Gt)、天使の歌声を持ちトリリンガルで作詞も担当するカナダ人ボーカリストCassie Wei(Vo)、高度なテクニックでMiliの音楽を支える実力派プレイヤーYukihito Mitomo(Ba)、Shoto Yoshida(Dr)、Miliの世界観を視覚的に表現するクリエイターAo Fujimori(Illustrator, Animator)の5名からなる世界基準の音楽制作集団。2017年、2018年の2年連続で『SUMMER SONIC』に出演、中国・台湾・シンガポール等の海外公演、2020年には世界的なSFアクションの金字塔として知られる『攻殻機動隊』シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』エンディングテーマを担当するなど、活躍の場を広げ続けている。

―結果、2月というタイミングは絶妙でしたよね。コロナウイルスの感染拡大で世の中が変わる直前に、東京を離れてオンラインのコミュニケーションで物事を進める拠点を作った。そうしてみたら「こっちの方が心地よい」という手応えもあったと思うんです。そのあたり、ここ2~3か月の自分たちを振り返ってどうでしょうか?

Kasai:心地よさはありますね。自分たちが住みたい場所、曲作りをしたいと思う場所でやれているので。東京にいるとどうしても防音設備を徹底しなきゃいけないし、音が出せないからヘッドホンで作曲してる方もたくさんいる。でも、そういうことを気にせずに音が出せる、楽器を鳴らせるって、音楽を作る上ではとても健康的なんですよね。その環境はアイデアにも影響すると思うし、そういったストレスから解放されてる状況はすごくいいですね。

Yamato KasaiとCassie Weiが暮らす家の中の様子。ここに立っているのがCassie Wei

―ミュージシャンでも、この環境を羨ましいと思う人はたくさんいると思います。

Kasai:やっぱり、自分が一番曲を作りやすい環境を求めるというのは、アーティストとしてはひとつの当然の姿勢だと思うので。他の方でも、東京にこだわりがないのであれば、あまり怖がらなくても意外とどうにかなるんじゃないかなとは思いますね。僕らとしては、今までやってきた流れもあるし、お仕事をくださる方の協力も当然あるとは思うんですけども、従来からYouTubeやSNSをメインにしてやってきたから東京にこだわりがないというのがあって。

ただ、こういうことは僕らがこの生活をずっと続けられて初めて言えることでもあるので。今の段階で「こっちの方がいいよ」と言っても、また状況が変わっちゃうこともあるとは思うんです。でもまあ、そうなったらそうなったで、また考え直せばいいじゃんって(笑)。

僕らにとっては日本国内で10万人のファンがいるよりも、世界各国に1000人ずつファンがいる方が理想なんですよね。

―たしかに、そういう意味ではMiliの活動は最初から発想が違いますよね。一般的なバンドやアーティストは「東京進出」とか「海外進出」みたいに、どこかに進出するという発想で動いている人が多い。でもMiliの場合は最初から地方を拠点にして、インディペンデントな体制で、かつグローバルなマーケットを意識して活動してきた。そういう違いは大きいと思います。

Kasai:それはあるかもしれないです。最初から、僕らにとっては日本国内で10万人のファンがいるよりも、世界各国に1000人ずつファンがいる方が理想なんですよね。国内の知名度だけではなく、YouTubeなりストリーミングのリスナーを世界全体の母数で見ることができれば、持続的な音楽活動の可能性に繋がる。そうすれば、音楽制作もマイペースに続けられる。変に周りに気を使わなくても、自分たちのやり方を保ちながら、制作していくことができる。それは最初から思っていたことだったので、まずはそれを自分たちのゴール地点に定めたんです。なので、東京とか中心を目指そうという欲望がない。

MiliのYouTubeのコメント欄は、常に様々な言語が混ざり合っている

―かつ、Miliのメンバーもネットを介して出会っているわけですし、名前が広まる最初のきっかけも台湾のゲームアプリとのタイアップだったわけですよね。最初からインターネット以降の発想というか、国境を超えているし、いわゆる音楽業界とは別のコネクションで話が始まっている。

Kasai:僕としては、そもそも当時から作ってる音楽性が一般層に受ける自信がなかったんですよ。だから響く人に直接届けた方がいいと思ったし、事務所やメジャーレーベルに入るという考え方はなくて。無所属でも直接会社と仕事できたらいいなと思って、直接連絡取ったりしていましたね。

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リリース情報

Mili『Intrauterine Education』
Mili
『Intrauterine Education』(CD)

2020年6月10日(水)発売
価格:1,430円(税込)
VTCL-35322

1. sustain++;
2. Petrolea
3. War of Shame
4. sustain++;(instrumental)
5. Petrolea(instrumental)
6. War of Shame(instrumental)

Mili『雨と体液と匂い / Static』
Mili
『雨と体液と匂い / Static』(CD)

2020年6月10日(水)発売
価格:1,430円(税込)
VTCL-35321

1. 雨と体液と匂い
2. Static
3. 雨と体液と匂い(instrumental)
4. Static(instrumental)

プロフィール

Mili
Mili(みりー)

クラシカルなサウンドを土台に、幅広い作曲を手掛けるコンポーザーYamato Kasai(Gt)、天使の歌声を持ち、トリリンガル(3か国語)で作詞も担当するカナダ人ボーカリストCassie Wei(Vo)、高度なテクニックでMiliの音楽を支える実力派プレイヤーYukihito Mitomo(Ba)、Shoto Yoshida(Dr)、Miliの世界観を視覚的に表現するクリエイターAo Fujimori(Illustrator, Animator)の5名からなる世界基準の音楽制作集団。Yamato Kasai とCassie Wei が創り出す幻想的で物語性がある楽曲は聴いた者を一瞬で虜にする。全世界で大ヒットしている音楽ゲームアプリ「Deemo」に多数の楽曲を提供し、人気のアーティストとしてその認知度を広め、YouTube のチャンネル登録数(ファン数)はインディーズシーンでは異例の31万人を超える。リリースしたCDは全3作ともオリコンインディーズチャート1位を記録、ライブでは2017年、2018年の2年連続で『SUMMER SONIC』に出演、中国・台湾・シンガポール等の海外公演等を行い、人気のアーティストとしてその認知度を広め、2020年には世界的なSFアクションの金字塔として知られる『攻殻機動隊』シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』エンディングテーマを担当するなど、活躍の場をさらに広げていている。

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