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「ユーロスペース」支配人が語るコロナ禍と、若者の街・渋谷の現状

「ユーロスペース」支配人が語るコロナ禍と、若者の街・渋谷の現状

YOU MAKE SHIBUYA
インタビュー・テキスト・編集
黒田隆憲
編集:柏井万作(CINRA.NET編集長)

1月は「良いスタートが切れた」と思っていただけに、その後の状況は考える力を奪っていきました。

―新型コロナウイルスの感染拡大は、「ユーロスペース」にどのような影響をもたらしましたか?

北條:最初に影響を感じたのは2月中旬、10年近く行っている特集上映『死刑について考える映画週間』の時でした。ラインナップには例年以上に自信があったのですが、近年の3割減になりました。その後、週を追うごとにお客さんが減っていき、政府による「自粛要請」「休校要請」があった2月下旬はさらに加速しました。今年1月の興行収入は、前年比107%で「良いスタートが切れた」と思っていただけに、その後の状況は考える力を奪っていきました。

―渋谷の雰囲気が「変わった」と感じた出来事はありましたか?

北條:志村けんさんの訃報が、一気に街の雰囲気を変えた気がします。その後、ミニシアター、シネコンともに動員が減っていき、ユーロスペースでも集客が1回数人、あるいはゼロということが起きてしまいました。劇場スタッフは「通勤途中で感染するのではないか」と口にするようになったのもこの頃です。いくつかのミニシアターが、自主的に休館措置をとり始め、「このままズルズルと上映を続けていてもいいものか」と、私たちの不安が限界近くになった4月7日、ついに「緊急事態宣言」が発令されました。

―翌日から全国の映画館が休館となりましたね。

北條:4月に営業できた7日間の興行収入は、前年比わずか3%でした。映画館が名付け親と言われている「ゴールデンウィーク」と春休みのある3~5月は「かき入れどき」ですが、売上のことだけでなく、勝負をかけて仕込んでおいた作品が初日を迎えられずに塩漬けになっていくことが、気持ちを憂鬱にさせました。

―全国のミニシアターも、ユーロスペースと同じような状況だったのでしょうね。

北條:劇場運営は「映画が好き」という気持ちだけで続けているところがほとんどで、蓄えも少なく、やっと操業しているところが圧倒的に多いですからね。諏訪敦彦監督らを中心とする「SAVE the CINEMA ミニシアターを救え!」プロジェクトや、クラウドファンディングによる「ミニシアター・エイド基金」は、いずれも「自粛要請」を出しながら損失に対する補填や支援が政府から全くないことに対する、民間の人たちの支援と応援の輪です。これがなければ、資金よりも先に、私たち運営者の心が崩壊していたと思います。

「SAVE the CINEMA ミニシアターを救え!」プロジェクトのメンバーにより、政府に対して損失補填と収束後の集客回復、復興のための支援を要請しました。「持続化給付金」や「雇用調整助成金」「感染拡大防止協力金」だけでは負債はまかない切れないし、今、そしてこれからも補償が必要です。

―現在は、コロナに対してどのような対策を行なっていますか?

北條:換気の徹底と、飛沫防止用ビニールを受付に展開すること、市松模様の座席販売(定員の50%)、お客さんへのアルコールなどの消毒、座席の消毒といったところでしょうか。クラウドファンディングなどはしておりません。

ユーロスペース3階受付。コロナ対策として、透明の間仕切りをしている
ユーロスペース3階受付。コロナ対策として、透明の間仕切りをしている

―特に困っていることはありますか?

北條:劇場にシニア層が戻ってこないこと、客席の半分しか販売できないことでしょうか。日に日に増える感染者数も心配です。

―アフターコロナの渋谷はどんなふうに変わっていると、北條さんは思っていますか?

北條:渋谷の変化についてはわかりませんが、私たち映画館以上にライブハウスやクラブ、舞台芸術のひとたちは大変です。渋谷の音楽を楽しむ人々がいなくなってしまい、本屋さんやCDショップ、飲食店やデパートもお客さんが減っています。渋谷にオフィスを構えていたIT産業の人たちも、テレワークで街から姿を消してしまいました。果たしてどう戻るのか、皆目見当がつきません。

―守りたい渋谷の魅力を、最後にお聞かせください。

北條:渋谷はいい具合に品があって若くて、自由な風が吹いていて、格式張っていないところが魅力だと思います。それを守るには、「守ろう」と思わず自然に人と会話して街の中に入っていくことじゃないでしょうか。

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サイト情報

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『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』

23万人の渋谷区民と日々訪れる300万人もの人たちが支えてきた渋谷の経済は“自粛”で大きなダメージを受けました。ウィズコロナ時代にも渋谷のカルチャーをつなぎとめるため、エンタメ・ファッション・飲食・理美容業界を支援するプロジェクトです。

プロフィール

ユーロスペース

1982年より渋谷・桜丘町で営業を開始した映画館。1980年代のミニシアターブームの一翼を担い、2006年に渋谷・円山町に移転。2014年には同ビル2Fでライブホール「ユーロライブ」をスタート。

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