
神谷圭介×三浦直之 激変期だからこそ、表現者になるチャンスはある
『Directed by You –ソニーと創る「60秒フィルム」–』- インタビュー・テキスト
- 島貫泰介
- 撮影:鈴木渉 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
誰もがアーティストになれる時代と言われて久しい。たしかにそうかもしれないが、実際にはさまざまな偶然や出会い、ときには誤作動のような選択がなければ、人はアーティストやクリエイターになることを選べない。逆に言えば、背中をひと押しするような「何か」と出会えれば、人生の道筋は変わる。
渋谷モディ1階にあるソニーの情報発信拠点、ソニースクエア渋谷プロジェクトで、そんなきっかけになるかもしれないイベントが実施されている。7月10日から始まった『Directed by You –ソニーと創る「60秒フィルム」–』では、舞台セットのような空間のなかで、来場者は最新のスマートフォン「Xperia 1 II」を使ってショートフィルムの一部のシーンを監督・演出・撮影することができる。
それとプロフェッショナルのクリエイターが制作した既存映像を組み合わせることで、その人だけの60秒の作品を作り出すことができる。生活の中で「撮影」することが日常になった今、「撮影」をよりクリエイティブに、より楽しめる機会を提供しようというものだ。スマートフォンという誰もが手に取ることができるアイテムで、本格的な映像作品を制作する体験を通してクリエイティビティを拡げ、次世代のクリエイターになろうという企画である。
このために書き下ろされたシナリオは全部で6つ。7月10日からはコントユニット「テニスコート」の神谷圭介による「コメディ編」が3本、8月7日からは劇団「ロロ」の三浦直之による「恋愛編」が3本追加になり、これらの作品に参加できるのだ。いまや、押しも押されぬ人気の神谷と三浦だが、彼らにしてもいまの道に進むことになったのは、小さな「出会い」と「経験」だった。コロナウイルス流行以降の東京で、彼らのストーリーを聞く。
神谷・三浦が参加した、「創作のきっかけになるかもしれない」ソニーの新しい試み
―神谷さんと三浦さんは初対面ですか? 「初対面」と言ってもZoomなんですけど(笑)。
神谷:意外にもはじめてなんですよ。
三浦:そうなんですよ。ロロのメンバーとも神谷さんは共演しているので、誰かを介したらつながってるんですけどね。
神谷:ちょっと前に一緒に呑めるチャンスがあったんですけど、僕の都合で行けなくなってしまって残念でした。ずっとニアミスのふたりですね(笑)。
―そんなおふたりですが、ソニースクエア渋谷プロジェクトの新企画『Directed by You –ソニーと創る「60秒フィルム」–』にシナリオライターとして参加されています。ソニースクエア渋谷プロジェクトにやって来た来場者が監督となって、撮影、照明、美術、演技指導など作品を演出し、事前にプロのクリエイターとコラボレーションして制作した映像と組み合わせて世界にひとつのショートフィルムを作る、という企画ですが、参加してみていかがでしたか?
神谷:まずは「60秒で物語を作る」っていう時間の区切りが初挑戦だったので、楽しくもあり大変でした。芸人さんだったら60秒とか2分とかの尺に収めて作ることにも慣れてると思うんですけど、僕らテニスコートがやってきたコントで尺のことを意識することは、いままでにほとんどありませんでした。だから今回のは……一言で言えばいい意味で「修行」ですね!

神谷圭介(かみや けいすけ)
コントユニット「テニスコート」のメンバー。俳優 / シナリオライター / イラストレーター。テニスコートとしてナンセンスコメディーをベースとしたコント公演を重ねる。テニスコートとしてEテレ『シャキーン』に構成として参加。現在はコーナー出演。書籍、文章執筆のほか、デザイン、映像制作など多岐にわたり活動。主な著書『あたらしいみかんのむきかた』(小学館)。
三浦:修行(笑)。
神谷:とにかく尺が短いですから、登場人物の関係や状況を感覚的にわかるレベルまでどんどん端折るんです。それもあって、今回作った3本は、全部基本的に男女の会話劇になってるんです。
三浦:一目で伝わるキャッチーな設定、シチュエーション瞬発力が鍵ですよね。僕が担当する「恋愛編」は後半戦なので、神谷さんの書いた「コメディ編」を読ませていただけて、すごく参考になりました。
僕が個人的に大変だったのは「恋愛ネタがきた!」ってところですね(笑)。いままでもInstagramのストーリーズを使った短い恋の話を書いたりしていたんですけど、コロナの流行以降、そういった恋愛にまつわる作品制作が急増したんですよ。だから一人で「恋愛大喜利」みたいな状況で。しかも今回は「60秒以内で!」だから、自分にとってもチャレンジングでした。

三浦直之(みうら なおゆき)
ロロ主宰 / 劇作家 / 演出家 / シナリオライター。1987年生まれ、宮城県出身。2009年、主宰としてロロを立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当。古今東西のポップカルチャーを無数に引用しながら作り出される世界は破天荒ながらもエモーショナルであり、演劇ファンのみならずジャンルを超えて老若男女から支持されている。脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など、演劇の枠にとらわれず幅広く活動中。
神谷:恋の話でめちゃくちゃ打ち返してるんだから、三浦さんすごいですよ。
三浦:自分でも「恋」って文字を見すぎて、ゲシュタルト崩壊しつつあります(苦笑)。
イベント情報
- 「Directed by You –ソニーと創る『60秒フィルム』–」
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ソニースクエア渋谷プロジェクト内での撮影体験
期間:2020年7月10日(金)~2020年9月末
会場:東京都 渋谷モディ1階 ソニースクエア渋谷プロジェクトソニースクエア渋谷プロジェクトでは、まるで家の中のような舞台セットが登場。そこで参加者がショートフィルムの監督として作品を演出。ソニーの最新フラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」を使って撮影します。用意されたシナリオをどんな風に演じさせるかは参加者次第です。ライティングや小道具も選び、カメラの設定やカメラアングルを自由に変えながら撮影を行います。
撮影した映像には、プロのクリエイターがソニーのAI技術を使って制作したオリジナルのBGMが加わるとともに、監督として自分の名前がクレジットに入り、世界で一つのショートフィルムが完成します。完成した作品は、シアターエリアで上映されます。自分のスマートフォンに転送し、持ち帰ることもできます。
7月10日(金)からは、神谷さんの制作したコメディ編「トロフィー」「恩返し」「記念日」の3本からシナリオを選択、8月7日(金)からは、三浦さんの制作した恋愛編3本を含めた6本の中から選んで体験できます。
- 「Directed by You –ソニーと創る『60秒フィルム』–」オンライン編
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期間:2020年6月30日(火)~2020年9月末
「60 seconds -One room-」と題し、設定されたテーマに沿ってそれぞれが自由に60秒のショートフィルムを制作。シナリオ、演出、撮影方法は自由です。BGMを使用の場合は、ソニースクエア渋谷プロジェクト公式サイト内からダウンロードしたものをご利用ください。
作品が完成したら「#ソニーと創る60秒フィルム」と「#ソニースクエア渋谷」のハッシュタグをつけてTwitterもしくはInstagramでぜひ投稿してみてください。
投稿された作品は、ソニースクエア渋谷プロジェクト内シアターで上映。
また、シナリオライター、カメラマン、音楽プロデューサー等それぞれのクリエイターの目線から選ばれた作品は、渋谷モディ壁面の大型街頭ビジョン「ソニービジョン渋谷」で上映される他、プロのクリエイターから直接レビューを受け、ショートフィルムについて話すワークショップ(7月31日、9月4日に実施)に参加することができます。クリエイター選定作品対象期間
コメディ編:募集終了
恋愛編:8月7日(金)~8月下旬
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ワークショップの生配信や関連情報は、ソニースクエア渋谷プロジェクト公式Twitter(@SonySquareSP)で随時発信しています。
アンケート情報
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プロフィール
- 神谷圭介(かみや けいすけ)
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コントユニット「テニスコート」のメンバー。俳優/シナリオライター/イラストレーター。テニスコートとしてナンセンスコメディーをベースとしたコント公演を重ねる。テニスコートとしてEテレ「シャキーン」に構成として参加。現在はコーナー出演。書籍、文章執筆のほか、デザイン、映像制作など多岐にわたり活動。主な著書『あたらしいみかんのむきかた』(小学館)。
- 三浦直之(みうら なおゆき)
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ロロ主宰/劇作家/演出家/シナリオライター。1987年生まれ、宮城県出身。2009年、主宰としてロロを立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当。古今東西のポップカルチャーを無数に引用しながらつくり出される世界は破天荒ながらもエモーショナルであり、演劇ファンのみならずジャンルを超えて老若男女から支持されている。脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など、演劇の枠にとらわれず幅広く活動中。