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トップハムハット狂が半生を語る “Princess♂”のバズを経た胸中

トップハムハット狂が半生を語る “Princess♂”のバズを経た胸中

トップハムハット狂『Jewelry Fish』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:木村篤史 編集:タナカヒロシ、矢澤拓

昨年リリースした“Princess♂”のMVがYouTubeで1300万再生を超え、『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎がフェイバリットに挙げるなど、大きな注目を集めているトップハムハット狂。現在、YouTubeのチャンネル登録者数は16万人を超えているが、そのうち60%以上は海外のユーザーだという。

これまでネットを中心に活動してきたとはいえ、日本語でラップをしてきた彼は、なぜ海外から支持を集めることに成功したのか。一度は音楽をやめて就職しようと思ったという自身の経歴について、「段違いだった」という“Princess♂”でのバズ体験と、それを通して気づいたリスナーへの感謝の気持ちや、“Princess♂”の後日談が綴られた“Mister Jewel Box”を含む新作EP『Jewelry Fish』についてなど、これまでのターニングポイントと現在の心境を聞いた。

トップハムハット狂(とっぷはむはっときょう)<br>1988年12月24日生まれ、宮城県仙台市出身。現在は東京を拠点に活動するMC、トラックメーカー。ソロとしてインターネットを中心に活動後、FAKE TYPE.、RainyBlueBell、魂音泉などのユニットでも活躍。2018年のアルバム『BLUE NOTE』から再びソロでの活動を中心に行ない、以降3枚のEPを発表。2020年9月2日に最新EP『Jewelry Fish』をリリースした。
トップハムハット狂(とっぷはむはっときょう)
1988年12月24日生まれ、宮城県仙台市出身。現在は東京を拠点に活動するMC、トラックメーカー。ソロとしてインターネットを中心に活動後、FAKE TYPE.、RainyBlueBell、魂音泉などのユニットでも活躍。2018年のアルバム『BLUE NOTE』から再びソロでの活動を中心に行ない、以降3枚のEPを発表。2020年9月2日に最新EP『Jewelry Fish』をリリースした。

日本語ラップへの憧れと、友人との趣味のずれ。インターネットがホームになるまで

―最初に聞いておきたいんですけど、なんてお呼びしたらいいですか?

トップハムハット狂(以下、THHK):AOと呼ばれることが多いですね。もともとAOの名前で活動していたんですけど、僕らみたいなネットで活動するラッパーたちが、ニコニコ動画に活動の場を移すタイミングがあって、そのときに名前を変えるのが流行っていたんです。僕もそのときに名前を変えて「トップハムハット狂」になりました。

―もともとハム職人をされていたことも、名前の由来になっているんですよね?

THHK:そうなんですよ。ハム職人をやっていたことと、好きなキャラクターに由来していて。

―ハム職人には何がきっかけでなったんですか?

THHK:ぶっちゃけ、なんでもよかったんです。とりあえずの社会経験はしておきたかったのと、あとは高校の後半は遊びたかったので、早めに仕事を決めたかったのと。それで、たまたまハム職人の仕事を見つけて。

トップハムハット狂“HWB”はハム職人を題材としている

―ハム職人をしながらラッパーとしても活動していたと。ラップはいつから始めたんですか?

THHK:中学のときにブレイクダンスを教えてくれる知り合いがいて、その人がヒップホップを聴いていたのがきっかけです。当時はKGDR、RIP SLYME、KICK THE CAN CREWとかがメディアに出てきていたタイミングで、中学3年のときに『8 Mile』(2002年)という、エミネムの半生を基にした映画が公開されたこともあって、自分でもやりたいなと思ったんです。

トップハムハット狂

―インターネットを拠点に活動されてきていると思いますが、クラブなど外で音楽に触れることはしていましたか?

THHK:ほとんどしてなかったですね。地元のクラブではウェッサイ系のヒップホップが流行っていたんですけど、僕はMICROPHONE PAGERとかKAMINARI-KAZOKU.とか、当時から日本語ラップが好きだったので、ちょっと合わなかったんです。リアルの友達はラップ好きという感じではなかったし、自分の趣味を押し付けることもしたくなくて。地元に自分と似た好みを持つ人がいなかったから、インターネットに音楽を楽しむ場を見つけていました。だからホームはインターネットです。

音楽をやめて就職しようと思ったときに「ちゃんとお金になる動きをしてみない?」と引き止められた

―ネットで活動しながらハム職人を経て、上京したのは何かきっかけがあったんですか?

THHK:地元が仙台なんですけど、仙台から出たいとずっと思っていて、当時Underground Theaterz(ネット上の音源投稿サイト、現在は閉鎖)をメインに活動していたんですが、そこで知り合ったネット上の仲間が次々と上京して、「ズルい! 俺も行く!」みたいな感じで僕も上京したんです。

トップハムハット狂

―音楽で食べていこうと思って、ではなく。

THHK:音楽を仕事にしようとは思ってなかったですね。憧れはありましたけど、それより地元を出たい気持ちと、好きな仲間と音楽を楽しみたい、という気持ちで。実際、お金になることも全然やってなかったですし。だから24~25歳のときに、さすがにもう音楽はやめて就職しようと思ったんですよ。でも、そういう話を仲間にしていたら、DYES IWASAKIが「それはもったいないんじゃない?」「やめる前に、一回ちゃんとお金になる動きをしてみない?」って誘ってくれて、彼とFAKE TYPE.を結成したんです。

それで最初に自主制作のCDを出して、宣伝用にMVを公開したら、Rambling RECORDSから「一度お会いできませんか?」という連絡が来たんです。そんなことは初めてで、「もしかしてレコード会社からCDを出せるのでは?」と思って会いに行ったら、本当にそういう話をしてもらって。そこからバイトもする必要がなくなって、音楽で食べていけるのかも、という気持ちが少しずつ出てきました。

FAKE TYPE.“FAKE STYLE”MV。再生数は現時点で480万回を超えている

トップハムハット狂

―3年間FAKE TYPE.として活動をして、今はソロですよね。それはどういう経緯で?

THHK:ペースが合わなくなってきたことと、やりたいことを出し尽くした感がお互いに出ちゃって。このままダラダラ続けてもいいものができないんじゃないかと思ったんです。2017年に一旦休みましょうということになって、その1年後にソロでアルバムを出しました。

―ソロ活動は順調にできました?

THHK:そうですね。特に不満に感じることもなく。やっぱり自分のペースでやれるのがいちばんいいなって。音楽は好きなものなのに、その好きなものを介して苦しい思いをするのは嫌だなと思ったんですよ。だから、まわりからちょっとユルいペースだと思われようとも、自分のペースでやっていこうと決めてました。

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リリース情報

『Jewelry Fish』(CD)
トップハムハット狂
『Jewelry Fish』(CD)

2020年9月2日(水)発売
価格:1,980円(税込)
BCSW-1

1. Frisky Flowery Friday
2. Mister Jewel Box
3. Stress Fish
4. La Di Danimal
5. YOSORO SODA
6. Lofi Hanabi

プロフィール

トップハムハット狂(とっぷはむはっときょう)

1988年12月24日生まれ、宮城県仙台市出身。現在は東京を拠点に活動するMC、トラックメーカー。ソロとしてインターネットを中心に活動後、FAKE TYPE.、RainyBlueBell、魂音泉などのユニットでも活躍。2018年のアルバム『BLUE NOTE』から再びソロでの活動を中心に行ない、以降3枚のEPを発表。2019年11月発表の『Watery Autumoon』に収録された“Princess♂”のMVは、YouTubeで1300万回以上の再生数を記録し、海外からも大きく評価される。2020年9月2日に最新EP『Jewelry Fish』をリリースした。

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