
角舘健悟の『未知との遭遇』永井博編(後編)
角舘健悟の『未知との遭遇』- テキスト・編集
- 金子厚武
- 撮影:小林光大 編集:川浦慧、今井大介(CINRA.NET)
Yogee New Wavesの角舘健悟がいま会ってみたい人と出会い、対話を試みる『未知との遭遇』。前編では、イラストレーター・永井博のアトリエを見学後、角舘の愛車に乗り込みドライブに出かけた。
この後編では、横浜・大黒ふ頭に到着後、美しい夕日を眺め、喫茶店で一休み。帰りの車中では、好きなソウルやファンク、映画やアートなどの話題で縦横無尽に盛り上がり、お互いに対する理解をさらに深めていく。
連載:角舘健悟の『未知との遭遇』
「Yogee New Waves」のボーカルとして活躍する角舘健悟が「未知との遭遇」をテーマに、様々な世界の未知なるアーティストと出会い、ものづくりや表現について対話し、「FUSION」することで、新しい創作物を生み出します。その過程をドキュメントし、カルチャーを愛する皆さんと一緒に応援し、楽しんでいく連載企画です。
この連載の取材では、2人に誰も関与しません。カメラマンが近づいて撮影をする場面はありますが、編集者も、マネージャーも、ライターも、基本的には別行動で、2人のやり取りはピンマイクでの録音にのみ収められます。通常のインタビューとも、対談取材とも異なる、クリエイター同士のおしゃべりを、そのままお楽しみください。
大黒ふ頭で夕焼けを見ながら
永井:この辺結構来るの?
角舘:人といる時は来るっすけど、一人で来てたらやばいやつですよ(笑)。
永井:でも俺クリスマスの頃って、わざわざ遠回りしてさ、港の見える丘公園のウニャウニャしてるところ、あそこを通って帰ってたわ。
角舘:わかります、わかります。港の見える丘公園の夜景で、きれいなところがあるじゃないですか。あそこ行きますよね、ベタだけど、すごいきれいだから好きだな。あ、富士山がランドマークで隠れちゃってる。
永井:あのあたりにあるの?
角舘:あの奥に山の影があって、実は見えてるんです。湘南の方から車で戻るとよく見えますけどね。
永井:『グエムル』っていう映画知ってる? あれ思い出すな。
角舘:俺まだ見てないんですよ。面白いんですか?
永井:面白い。韓国は行ったことある?
角舘:あります。ツアーで2度ほど。一回この辺に座りましょうか。よっこいしょっと。
永井:よっこいしょなんて言うなよ。
角舘:あはは。若いんだからって?
永井:うん。
角舘:あー、きれいだな。

角舘健悟(かくだて けんご)
1991年生、東京出身。2013年にバンド、Yogee New Wavesを結成、ボーカルを担当。2014年4月にデビューe.p.『CLIMAX NIGHT e.p.』でデビュー。昨年、3rdアルバム『BLUEHARLEM』、12月に『to the MOON e.p,』をリリース。最新作は今年7月にシングル『White Lily Light』を発表。全国各地の野外フェスの出演やアジアを中心に海外公演を重ねる。バンド活動の傍ら、テレビ番組・TVCMのナレーションなど活動の場を拡げる。音楽、ファッションの両面で厚く支持されている。
永井:なんで下のほうが黒いんだろうね?
角舘:夕焼けですよね? スモッグとかなんじゃないかな? でも日本的な色ですけどね。
永井:そういえばね、この前ギャラリーに行って息子と話してたら外国人が来たから、俺の絵のなにいいの? って聞いたら、「色が東洋的だ」って言われたの。
角舘:俺もね、それ言おうと思ってました、今日。
永井:本当?
角舘:なんか日本画をベースにしてるように感じる。
永井:向こうの風景描いてるのにね。
角舘:俺、母さんが横浜出身だったから、花火とか見にいく時にこういう景色をいちいち見せに来てもらって、キャッキャキャッキャ言ってましたね。いま見てもテンション上がる。すっげえきれいだな。グラデーションが。
永井:よく覚えといて。こういう色合いにしないと。陰影を。ピンクをまず塗っておいて、それで最後ホワイトを吹いて、上からブルーを置いてるわけ。そのブルーの種類を変えて、ちょっと紫っぽいブルーにする場合と、本当のブルーでいく時と。そうすると、青黒い空の時とピンク色の空の時と、2種類。
角舘:でもあのピンクピンクしい色合いって、西海岸とかアメリカの色味に近いですよね。
永井:ピンクにするとね、みんなヴェイパーウェイヴだって言うんだよね。

永井博(ながい ひろし)
1947年12月22日、徳島市生まれ。グラフィックデザイナーを経て、1976年よりイラストレーターとして活躍。大滝詠一の『A LONGVACATION』『NIAGARA SONG BOOK』などのレコードジャケットや広告ビジュアルは今もなお、語り継がれているほか、現在も、幅広く愛される普遍的な作品を生み出している。DJ、音楽評論など、多岐にわたる活動も展開。
永井:ヴェイパーウェイヴの絵があるところに俺のが入ってるんだけどさ、他のはみんなダサいんだよね。
角舘:CGのですね。
永井:そう。なんだかわけのわからない石膏像みたいな、あれなんなの?
角舘:あれは昔のWindowsとかに入ってる、CGメーカーみたいなのでわざわざ作ってるって聞いたことあります。でも手描きがいちばんだと思うけどな、俺は。どんなときも。
プロジェクト情報
- 連載:角舘健悟の『未知との遭遇』
-
「Yogee New Waves」のボーカルとして活躍する角舘健悟が「未知との遭遇」をテーマに、様々な世界の未知なるアーティストと出会い、ものづくりや表現について対話し、「FUSION」することで、新しい創作物を生み出します。その過程をドキュメントし、カルチャーを愛する皆さんと一緒に応援し、楽しんでいく連載企画です。
プロフィール
- 永井博(ながい ひろし)
-
1947年12月22日、徳島市生まれ。グラフィックデザイナーを経て、1976年よりイラストレーターとして活躍。大滝詠一の『A LONGVACATION』『NIAGARA SONG BOOK』などのレコードジャケットや広告ビジュアルは今もなお、語り継がれているほか、現在も、幅広く愛される普遍的な作品を生み出している。DJ、音楽評論など、多岐にわたる活動も展開。
- 角舘健悟(かくだて けんご)
-
1991年生、東京出身。2013年にバンド、Yogee New Wavesを結成、ボーカルを担当。2014年4月にデビューe.p.『CLIMAX NIGHT e.p.』でデビュー。昨年、3rdアルバム『BLUEHARLEM』、12月に『to the MOON e.p,』をリリース。最新作は今年7月にシングル『White Lily Light』を発表。全国各地の野外フェスの出演やアジアを中心に海外公演を重ねる。バンド活動の傍ら、テレビ番組・TVCMのナレーションなど活動の場を拡げる。音楽、ファッションの両面で厚く支持されている。