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パソコン音楽クラブが語る「生活」の音 非日常下で見つめた自然

パソコン音楽クラブが語る「生活」の音 非日常下で見つめた自然

AVIOT「TE-BD21j」
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

1980年~1990年代のシンセサイザーを駆使しながら現在進行形のポップミュージックを奏でる2人組、パソコン音楽クラブ。深夜のファミレスやコンビニエンスストア、河川敷の遊歩道など、日本に暮らす人なら誰もが目にする風景の、ふとした非日常的な瞬間にインスパイアされた楽曲の数々は、近未来的でありながらもどこか郷愁を誘う不思議な響きをたたえている。

二人が昨年8月にリリースした6曲入りのミニアルバム『Ambience』は、新型コロナウイルス感染拡大によるステイホーム期間中、自分たちの生活を取り巻く空気を描いたというインスト曲集。緊急事態宣言によって都市部はゴーストタウン化し、非日常的な光景が日常となってしまった世界で、彼らは当時どんなことに心動かされながら音楽活動を行なっていたのか。

CINRA.NETでは、AVIOTのワイヤレスイヤホン「TE-BD21j」の企画で、パソコン音楽クラブの西山と柴田へのインタビューを実施。『Ambience』の作品世界を紐解きながら、二人が今回新たに挑戦したこと、そしてずっと大切にしていることについて語ってもらった。

パソコン音楽クラブ<br>2015年結成。ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど80〜90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会を重ねながら、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソング、TVドラマ『電影少女 - VIDEO GIRL AI 2018 -」の劇伴制作、アニメ『ポケットモンスター』のEDテーマ制作などを手がける。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。2018年に1stアルバム『DREAM  WALK』、2019年9月4日に2ndアルバム『Night Flow』。そして2020年8月、ミニアルバム『Ambience』をリリースした。
パソコン音楽クラブ
2015年結成。ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど80〜90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会を重ねながら、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソング、TVドラマ『電影少女 - VIDEO GIRL AI 2018 -」の劇伴制作、アニメ『ポケットモンスター』のEDテーマ制作などを手がける。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。2018年に1stアルバム『DREAM WALK』、2019年9月4日に2ndアルバム『Night Flow』。そして2020年8月、ミニアルバム『Ambience』をリリースした。

コロナ禍で生じた日常のズレ。それでも自然は変わらない、という奇妙なギャップに心を動かされた2020年

―昨年8月にリリースされた『Ambience』は、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中、お二人の生活を取り巻く空気を描いた作品でした。あれから1年近く経ちますが、未だに予断の許さぬ状況が続いています。なので今回は、あの作品について改めて振り返ってみたいと思うのですが。

柴田:2年くらい前に『Night Flow』(2019年)というアルバムをリリースしたのですが、あれは「学生最後の長い休み」みたいな作品だったと思っていて。

たとえば深夜のコンビニに立ち寄ったり、朝までYouTubeの動画を見て過ごしたり、ってなかでふと感じる「美しさ」や「かけがえのなさ」を音にしたんですけど、そこから1年くらい経ったときに「あれってもう、ファンタジーじゃね?」って気持ちになったんですよね。ジュブナイル的な気の張り方をしてる当時の自分たちがもはや他人のように見えるというか。

西山:たった1年でね。

パソコン音楽クラブ『Night Flow』収録曲(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら) / 関連記事:パソコン音楽クラブの部活感の秘密。作家性や主張より大事なこと

柴田:そういうテーマに関してはもう「やりきった」感があって。今回はもうちょっと自分の生活に寄せたというか、身の回りのことに焦点を当てて描くのがいいのかなと。たまたまコロナが重なったけど、おそらくコロナになっていなくても、インストのリスニング寄りのサウンドって作風は変わっていなかったと思います。

西山:「インストのアルバムにしたい」という話も、コロナになる前からしていました。ただ、2020年を過ごすなかでどんどん溜まっていった「言葉にしにくい気持ち」を表現するのには、抽象度の高いインスト音楽は非常に向いていたんですよね。

―その「言葉にしにくい気持ち」とは、どういったものだったのでしょう。

西山:ちょっとわかりづらいかもしれないけど、『Ambience』のジャケットって「窓から見た風景」なんですよ。

ちょうどあのアルバムを作っていた頃に、世田谷美術館で『作品のない展示室』という、あえて空っぽの展示室を来館者に開放する企画が開催されていて。それがとてもいい内容で、何も飾らない美術館の大きな窓から砧公園の自然を見ていたときに、「これは作品のイメージにぴったりだな」と思ったんです。

世田谷美術館のInstagramより

パソコン音楽クラブ『Ambience』ジャケット
パソコン音楽クラブ『Ambience』ジャケット

西山:自分たちの世界がこんなにも変わってしまったのに、たとえば公園に行くと、草木や動物はコロナ以前と全く同じように存在しているんですよ。

そのギャップに違和感を覚えたというか。他にもいろいろな要素がないまぜにはなっているけど、自分たちの状況で一番奇妙に感じたのはそこだったのかなと。

―なるほど。コロナによって様変わりしてしまった世界の内側から、何ひとつ変わっていない自然の風景を眺めている。ジャケットで表現したかったのは、そんなイメージなのですね。

柴田:そうですね。「言葉にしにくい気持ち」というのは、自分たちの生活について訴えたいことがあるとか、社会的に強いメッセージを届けたかったとか、そういう気持ちの揺れではなくて。

どちらかというと、これまで普通に過ごしてきた日常がズレてしまったことに対する自分たちの視点みたいなものをひとつの作品にしたかったのだと思いますね。

パソコン音楽クラブ『Ambience』を聴く(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

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製品情報

AVIOT「TE-BD21j」
AVIOT「TE-BD21j」

BA(バランスドアーマチュア)型×2基、ダイナミック型×1基という、完全ワイヤレスイヤホンとしてはいまでも希少なハイブリッド・ドライバー構成のAVIOTのシグネチャモデル。 AVIOTの熟練エンジニアが長時間のリスニングテストを行って厳選し、0.1dBオーダーのチューニングを実施。中高音域の情報量を増やしながら、クロスオーバー帯域での歪み感を極限まで減らし究極の音楽性を追求している。

プロフィール

パソコン音楽クラブ(ぱそこんおんがくくらぶ)

2015年結成。ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど80〜90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会を重ねながら、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソング、TVドラマ『電影少女 - VIDEO GIRL AI 2018 -」の劇伴制作、アニメ『ポケットモンスター』のEDテーマ制作などを手がける。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。2018年に1stアルバム『DREAM WALK』、2019年9月4日に2ndアルバム『Night Flow』。そして2020年8月、ミニアルバム『Ambience』をリリースした。

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