インタビュー

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:廣田達也 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

安部がソロ活動をはじめたわけ。「生活の延長線上で作品をつくることができた」

―勇磨くんは6月末に初のソロ作品もリリースするじゃないですか。それはコロナで時間ができたことも関係しているんですか?

安部:コロナになる前から、自分の趣味とかバンドでやることじゃない音楽の分別が発生し始めていて。コロナになって時間ができたんですけど、昔みたいな頻度で人とも会わなくなったし、そこでネガティブなことを考えるようになってしまったので。それなら(ソロ作品を)つくったほうがスッキリしそうだなと思ってつくり始めました。それは本当によかったです。

Bose:ソロをつくってみて、ちょっとラクになった部分もあるの?

安部:すごくラクになりました。今回はソロでしたけど、やっぱり定期的になにかつくらないとモヤモヤしちゃうんだなと思いましたね。つくらないとストレスが溜まってイヤな気持ちになってきちゃう。

でも、ソロの曲で書いた歌詞をバンドで歌いたいかというとそれは違うなという気づきもあったりして。ソロの歌詞は、バンドメンバーと楽しくライブで演奏してる姿が想像できなくて。

スチャとネバヤン

安部:ソロを一緒にレコーディングしたメンバーは普段から遊んでた人たちなんです。(私生活と)イコールの感覚があるんですよね。

ネバヤンのほうはいろんなスタッフの方々に動いていただいて、ありがたいことに「こういう曲を提供してほしいです」という話をいただいたりすることもあって。その反動もあってソロをやってみようとなりましたね。

Bose:すごいミュージシャンっぽい発言だよ、もう(笑)。

安部:あははははは

―ソロ作品では細野晴臣さんがミックスを手がけた曲もあるんですよね。

Bose:そうなんだ! へぇー!

安部:4曲やっていただきました。

―デヴェンドラ・バンハートがギターで参加したり、シンプルにいま一緒にやりたい人と音楽をつくることができたんですかね?

安部:そうですね。そこは本当に運がよかったなと思います。一人で好きなように曲をつくってるなかで、ひょんなことからそういうことが実現するんだなって。

細野さんから「ただやりたいことをやってたら、自然とこうなったんだ」みたいな話を聞いたことがあって、「嘘つけ!」とか思ってたんですけど(笑)。

Bose:うんうん(笑)。

安部:でも、いまは「あ、こういうことなのか」ってちょっと思えて。バンドだといろんな人が動いてくれる分、自分が思い描いていたイメージと違う方向に進んでしまうこともあると思うんですけど、一人でやってみたらスムーズにいろんなことが進んでいって。

―生活の延長線上で作品をつくることができた。

安部:そう、本当にそういう感じです。ネバヤンを始めたときと近い感覚というか、気づいたらこんなふうになっていたみたいな状況が楽しかったです。

左から:安部勇磨、Bose

迷える安部にBoseが助言。外部からの要求を受け入れることと抗うことを繰り返して至る、30年の境地

―バンドの規模も大きくなっていくなかで、そういう場所がほしいと思うようになっていった?

安部:そうですね。自意識過剰に思われてしまうかもしれないけど、タイアップのお仕事もやらせてもらうようになって、ネバヤンのイメージが固定化して「こういう曲をつくってほしい」と言われることも増えてきて。

そういうリクエストをもらえる理由がわかる反面、「そうじゃない自分をどう出したらいいんだろう?」ってちょっと悩み始めたタイミングだったので。それでソロをやってみようと思ったというのもありますね。

Bose:クライアントはすぐに「こういうふうに歌ってほしい」って言うしね(笑)。それで安部くんがブチ切れたりね(笑)。

安部:Boseさん、なんでそういうこと言うんですか!(笑)

Bose:いや、でもそこでハッキリ言うと向こうも背筋が伸びて次からヘタなことは言わなくなるから、言ってあげればいいんだよ。

安部:そうですね。最近ようやく自分のなかで譲れないラインが整理できてきた感じです。

Bose:ある程度キャリアを重ねるとそういう時期に突入するよね。僕らも“今夜はブギー・バック”(1994年)を出した後は“ブギー・バック”みたいな曲を求められたりしたし。つい最近でもまだ「パーパラッパッパッパラみたいな曲(“GET UP AND DANCE” / 1994年『スチャダラ外伝』収録曲)あるじゃないですか」とか言われて。「30年前の曲だけど!?」みたいなさ(笑)。そういうことはずっと続くと思うんだよね。

Bose:それはそれでありがたいと思うところもありつつ、ネバヤンもそういう周期に入ったということだと思う。それをいなしたり、「と、見せかけて」とかやりつつ、繰り返していくんだと思うよ。

安部:なるほど~。

Bose:僕らもずっと求められてきたから「絶対にライブで“ブギー・バック”はやらねぇ」とか、そういう時期はありましたよ。

―その時期を経ていまがある。

Bose:そう。それを経て「はい、“ブギー・バック”どうぞ!」みたいな時期にまた突入していくという。「もう小沢健二は来ません!」ってちゃんと言うとか(笑)。

僕らが「“ブギー・バック”はやらねぇ」ってなってたのはまさにいまの安部くんの時期、ちょうど30歳くらいのときじゃないかな。ネバヤンもそういう時期に入ってるのかなと思う。

スチャとネバヤン

Bose:でも、それで安部くんのソロができて、今回僕らとやった曲も安部くんのソロを経て生まれた雰囲気なのかなと思うから。“ネバやんとスチャやん”(のデモ)を最初に聴いたときに「安部くんのいまやりたい感じが出てると思う、絶対にこれがいい!」と思ったよ。

Page 3
前へ 次へ

リリース情報

スチャとネバヤン『ネバヤンとスチャやん』
スチャとネバヤン
『ネバヤンとスチャやん』

2021年5月26日(水)配信

1. ネバやんとスチャやん
2. スチャやんとネバやん

プロフィール

スチャダラパー

ANI、Bose、SHINCOの3人からなるラップグループ。1990年にデビューし、1994年『今夜はブギー・バック』が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。デビュー25周年となる2015年にアルバム『1212』をリリース。2016年に『スチャダラ2016 ~LB春まつり~』を開催し、ミニアルバム『あにしんぼう』をリリース。2017年に『ミクロボーイとマクロガール / スチャダラパーとEGO WRAPPINʼ』、『サマージャム2020』の2曲を発売。2018年4月に日比谷野外大音楽堂で『スチャダラパー・シングス』を開催し、ライブ会場限定販売となる4曲入りCD『スチャダラパー・シングス』を発売。2019年11月に『ヨン・ザ・マイク feat. ロボ宙&かせきさいだぁ』を配信リリース。2020年4月8日、デビュー30周年記念アルバム『シン・スチャダラ大作戦』リリース。

never young beach(ネバーヤングビーチ)

土着的な日本の歌のDNAをしっかりと残しながら、USインディなど洋楽に影響を受けたサウンドと極上のポップなメロディ、そして地に足をつけて等身大の歌詞をうたった楽曲で、音楽シーンに一石を投じる存在として、注目を集めるバンド。2014年春に結成。2015年に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、様々なフェスやライブイベントに参加。2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。2018年に10inchアナログシングル「うつらない / 歩いてみたら」をリリース。そして2019年に、4thアルバム「STORY」を発表し、初のホールツアーを開催。また近年は上海、北京、成都、深圳、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内でもライブに出演。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及 1

    ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及

  2. 佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画 2

    佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画

  3. 記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着 3

    記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着

  4. スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士 4

    スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

  5. 羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う 5

    羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う

  6. 坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ 6

    坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ

  7. ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン 7

    ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン

  8. 青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント 8

    青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント

  9. 自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語 9

    自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語

  10. ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る 10

    ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る