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luteのビジネスモデルってどうなってるの?代表・五十嵐に訊いた

luteのビジネスモデルってどうなってるの?代表・五十嵐に訊いた

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

あのタイミングで電話をもらわなかったら、自分がどうなっていたかわからない。

—luteを立ち上げるまでの経歴も聞かせていただきたいのですが、そもそも五十嵐さんはなぜ音楽やカルチャーに携わる仕事を志したのでしょうか?

五十嵐:うちは祖父も父もレコード業界の人間で、祖父はいわゆるレコードを、父はCDを売る時代で、「正月は『紅白』があるから、家にいないのが普通」みたいな家庭だったんです(笑)。なので、自分も音楽やカルチャーをサポートする仕事をしたいなって、小さいときからずっと思ってました。

—高校・大学時代はニュージーランドで過ごされたそうですが、日本に戻ってきてからレコード会社に就職するまでには、どんなキャリアを経てきているのでしょうか?

五十嵐:当時は自分がなにをやりたいか、ピンポイントで定まってなかったし、まだ2009年とか2010年だったから、レコード業界がこれからどうなっていくかが見えなかったんです。CDが売れなくなるのは見えてたけど、Spotifyなどのサブスクリプションサービスもまだ出てきてなくて、単純に「違法ダウンロードが増えて、CDが売れなくなる」ということしか見えてなかった。

—それで最初は人材系のスタートアップ企業で働かれていたと。

五十嵐:ありがたいことに、先輩が立ち上げたところでお手伝いさせてもらうことになりました。自分でなにか新しいプロジェクトの立ち上げをやってみるという観点では、ベンチャーで働くのはアリだと思ったので、そこがキャリアの最初ですね。

五十嵐弘彦

—その後は株式会社メディアジーンに入社して、「lifehacker[日本版]」の編集部にいたそうですね。

五十嵐:徐々にSpotifyとかのサービスが出てきて、これから「デジタル×エンタメ」の世界になっていくんだろうなって思ったときに、そこを担うひとつは確実にメディアだと思ったんです。そのときはまだ2014年とかで、土壌的な意味で、レコード業界に入るよりメディア業界に入るほうがいいと思って、そこで勉強させてもらった感じです。

当時の直属の上司が、現在『WIRED』で副編集長をやっている年吉聡太さんで、そのうえにはサイバーエージェントで『SILLY』を立ち上げた尾田和実さんがいたり、カルチャーホリックでロックなお兄さんたちが周りにいっぱいいました(笑)。「lifehacker[日本版]」自体が、ロックなニュアンスのメディアを日本語化するライセンシーでもあったので、すごく楽しかったですね。

—そして、その後、エイベックスに入社されたと。

五十嵐:国内に決済権があって、面白いことにトライできそうで、かつ体力のある会社ってなると、レコード業界のなかで思い浮かんだのはエイベックスだったんです。入社してからはデジタルの部署でサブスクサービスの企画をやらせてもらいました。アプリで誰の楽曲をどう配信するかって、機能的な話なようで、メディア的でもあるんですよね。どの楽曲をどういう面出しで、どういうUXで聴いてもらうかっていう、そういう観点でやっていました。

—そういうお仕事をしながら、luteの構想を考えていたわけですか?

五十嵐:サービスが運用フェーズに入って、自分が業務から離れたときに、一回燃え尽きちゃったんですよね。そうしたら、仕事を通じてやり取りをするようになっていた当時代表取締役副社長の千葉龍平から、「お前、どうせ腐ってんだろ?」って、直電をもらって(笑)。

そのときの話が、新しい動画サービスをやって、新人開発もしたいという内容だったんですけど、そこで僕のほうから「実は、こういう企画を考えてるんです」ってお話ししたのがluteの原案でした。

五十嵐弘彦

—そこからluteがスタートし、いまは独立して、lute株式会社の代表になったと。現在31歳ということで、ここまでの話を聞くと、かなり順風満帆のようにも見えますが……。

五十嵐:そもそもニュージーランドに行ったのも、高校からドロップアウトしたからですし、大学卒業後の就活もミスったところで先輩が助けてくれた、という感じですからね(笑)。

あとエイベックスでも、千葉をはじめ諸先輩方にかわいがってもらいましたが、その反面何度も厳しく指摘をされて泣いたこともありました(笑)。千葉とか怖いですからねぇ、小便ちびるくらい……。でも、とても感謝していますし、あのタイミングで電話をもらわなかったら、自分がどうなっていたかもわからないですしね。

「こうすれば勝てる」というのがない時代なので、ほぼエラーばっかり。でも、その状況を面白がれると、すごく楽しい。

—この連載記事はCINRA.NETとCAMPFIREの合同企画なのですが、五十嵐さんはクラウドファンディングについて、どのような印象をお持ちですか?

五十嵐:途中のマネジメントの話に通じると思うんですけど、これまではレコード会社がやってきたことが分解されて、たとえば「ディストリビューションはTuneCoreさん、資金調達はCAMPFIREさん、映像を作るのはlute」みたいなことができるようになってきたということですよね。で、「みんなディストリビューションの話ばっかりし過ぎじゃない?」とは思うんですよ(笑)。

—ああ、確かに(笑)。

五十嵐:自分もサブスクリプションをやってたわけなんですけど、そうじゃないファンクションがデジタルの時代にどうなっていくのかって、超面白いじゃんと思っていて。

そのファンクションのなかに、僕らみたいな映像メディアもあれば、CAMPFIREさんみたいなクラウドファンディングもある。なのでCAMPFIREさんは、同時代の同胞だなって、僭越ながら思ってます。MacBookにluteのステッカーと、CAMPFIREさんのステッカーと、両方が貼ってあったら、「だよね!」って会話が生まれるみたいな感じになるといいですね。

五十嵐弘彦

—では最後に、音楽業界やエンターテイメント業界に入りたいと思っている人に対して、なにかメッセージをいただけますか?

五十嵐:さっきも言いましたけど、「いま超面白いよ」ってことですね(笑)。ディストリビューションに関しては、「こうなりそう」っていうのがなんとなく見えてきたけど、それ以外のファンクションでできることって、本当にいろいろあるじゃないですか?

それをうちやCAMPFIREさんでやるのもいいと思うし、自分で「このファンクション、まだデジタル化されてないな」って見つけて、トライするのもいいし。解決してない問題がいろいろあるから、すごくやりがいがあると思います。

—「若い人はどうしても先にリスクを考えちゃう」みたいにも言われますけど、そこでトライ&エラーがあるのは当然ですもんね。

五十嵐:定石というか、「こうすれば勝てる」っていうのがまったくない時代なので、ほぼエラーばっかりだと思うんですよ(笑)。でも、その状況を面白がれると、すごく楽しい。

エラーっていうのは、つまりは解決してない問題のことで、その事例1号に自分がなれるかもしれないって、超面白いじゃないですか? 失敗から学べることもいろいろあるし、「一番最初に失敗しました」っていうのも、それはそれで名誉だし(笑)。

五十嵐弘彦

—学生のうちに、どんなことをやっておいたほうがいいと思いますか?

五十嵐:自分と違うコミュニティーに飛び込むっていうことはやったほうがいいと思います。僕の場合、本当はすぐにでもカルチャーの仕事がやりたかったけど、海外に行ったり、一回人材系のベンチャーに入ったことはすごく大きかったんですよね。そこで学んだこともたくさんあるし、そこから自分のやりたい世界にもう一回振り向くと、より客観的に見えるようになる。そうすると、取り組むべき問題も見つけやすくなると思うんです。

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プロフィール

五十嵐弘彦(いがらし ひろひこ)

1985年東京生まれ。高校・大学時代をニュージーランドで過ごし、帰国後HR系スタートアップでの業務経験を経て、株式会社メディアジーンへ入社。lifehacker[日本版]編集部で編集・翻訳業務に従事する。その後エイベックス・デジタル株式会社に入社し、音楽サービス企画立ち上げ・運営に携わった後、自身が思い描いてきたコンテンツ重視型新規事業として、2016年にメディアレーベル「lute」を立ち上げる。2017年8月よりlute株式会社を設立し、日本初のInstagram Storiesメディア「lute / ルーテ」をローンチ。代表として、次世代を担うアーティストのMVやライブ映像、海外の音楽と社会状況を探るドキュメンタリーなど、様々な映像作品をリリースしている。

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