特集 PR

『ラブライブ!』のプロジェクトはなぜ成功した? 木皿陽平の考え

『ラブライブ!』のプロジェクトはなぜ成功した? 木皿陽平の考え

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

日本のエンターテイメント業界の最前線で戦い続ける人物に話を聞く連載『ギョーカイ列伝』。今回登場するのは、アニメやゲーム関連の音楽を中心に展開しているレコード会社「ランティス」の制作本部チーフプロデューサー・木皿陽平。数多くのヒットアニメに携わり、SCREEN mode、大橋彩香などのプロデュースも手掛けている売れっ子プロデューサーだが、やはり特筆すべきは『ラブライブ!』の成功だろう。

『ラブライブ!』プロジェクトとして、CD、ライブ、アニメ、ゲームなど、幅広いメディアミックスを展開し、作品に登場するスクールアイドルグループとして実際のキャストが活動するμ'sは、2015年に『第66回NHK紅白歌合戦』に出場、翌年には東京ドーム公演を成功させるなど、一大ブームを巻き起こした。その核にあったのは、マイウェイを貫く木皿の媚びない姿勢だった。『ラブライブ!』のファンはもちろん、「アニメや声優には興味がない」という人にこそ、その人気と成功の秘訣を知っていただきたい。

仕事って人生の大半の暇つぶしみたいなものだし、だったら、やりたいことをやりたいじゃないですか。

―まずは木皿さんがエンタメ業界に入るまでの経緯をお伺いしたいのですが、学生時代はご自身で音楽活動をされていたそうですね。

木皿:僕、ロックは一切通ってなくて、ずっとクラシックをやっていたんです。楽器はチェロだったんですけど、オーケストラで指揮者の真似事みたいなことをやったこともあって。いろんな楽器の音を聴いて、バランスを取って、音楽を紡いでいくという、ディレクターの基本みたいなことを楽しんでいました。

ただ、才能がなかったので、その道を進むことは最初から考えていなくて。でも、仕事って人生の大半の暇つぶしみたいなものだし、だったら、やりたいことをやりたいじゃないですか。それでレコード会社に行こうと思って、新卒でエイベックスに入りました。

木皿陽平
木皿陽平

―アニメも昔からお好きだったんですか?

木皿:好きでした。ちょうど高校生の頃に『エヴァンゲリオン』がブームになっていたり、OVAも見ていて、『天地無用!魎皇鬼』とか、高橋留美子さんの作品とかが好きでしたね。古い漫画とかアニメが好きで、神保町に行って古雑誌を買ったり、ひたすらレーザーディスクを見たり。

当時のエイベックスは「J-POP」「ユーロビート」「ディズニー」が強いコンテンツだったなかで、「エイベックスのレーベルカラーを活かして、アニメをやるのは絶対に面白いと思います!」みたいなことを言ったら、アニメの部署に配属してもらえて。そこで制作・宣伝をやっていたんですけど、上手くいかず、1年で異動になってしまったんです(笑)。

―わずか1年で?

木皿:まあ、新人でいきなり制作を担当するのは、知識や経験が足りないから厳しかったんですよね。そうしたら、そのタイミングで映像の営業部署を立ち上げることになって異動して、そこからは水を得た魚のように頑張れたんですけど……やっぱり制作がやりたくなって。

木皿陽平

―木皿さんはランティスに入るまでに、何度も転職をされているそうですね。

木皿:そうなんです。エイベックスから、インターチャネルというゲームコンテンツ会社に移ったんですけど、そこでも上手くいかず(苦笑)。体を壊しちゃったのもあって、もう音楽の第一線からは距離を置こうと思い、ITの仕事に興味を持って、ドワンゴに入ったんです。そこでは、着うたフルの配信サイトの編成業務や渉外業務をやっていました。

―音楽に関わる仕事ではあったけど、制作からは身を引いたと。

木皿:でも、外回りをするようになったときに、たまたまランティスとがっつり関わるようになったんですね。そうしたら、すごくウェルカムな雰囲気を出してくださって、半ば社員状態になっていたんです。

そのときに、『涼宮ハルヒの憂鬱』とかをやってたプロデューサーで、今執行役員になっている斎藤(滋)と意気投合して、また音楽を作りたい気持ちが芽生えたんですよね。それで2010年7月に、ランティスに入りました。

ランティスの方針がいいのは、「いいものを作ることを最優先にしよう」という考えが強いところ。それは、会社を作った人たちが現場出身だから。

―ランティスに入ったのは、アニソン業界の盛り上がりを感じて、可能性を見出していたということでもあるのでしょうか?

木皿:僕は、あんまり「アニソン」という括りをしてなかったので、「アニソンをやりたい」っていうよりも、「アニメの音楽をやりたい」と思っていたんですよね。アニソンのマーケットが確立されつつある時期だったんですけど、まだそこまでだったし、僕はオーケストラをやっていたので、劇伴とかBGMのほうに興味があったんです。

―CDが売れなくなってきて、レコード会社の体力が落ちてきたなか、逆にアニメ業界は勢いを増していた分、制作環境がよかったということもあったのかなと。

木皿:確かに、相対的には売れてましたけど、ランティスの方針がいいのは、「いいものを作ることを最優先にしよう」という考えが強いところで。それは、会社を作った人たちが現場出身だからなんですよね。

会社を作った人たちがみなミュージシャンなので、現場に理解があって、すごく働きやすいんです。うちの会社の人間は、話していても「音楽が好きなんだな」って感じがするので、それもこの会社に来たいと思った理由でした。

Page 1
次へ

ウェブサイト情報

CAMPFIRE
CAMPFIRE

群衆(crowd)から資金集め(funding)ができる、日本最大のクラウドファンディング・プラットフォームです。

プロフィール

木皿陽平(きさら ようへい)

株式会社ランティス 制作本部チーフプロデューサー。『ラブライブ!』では音楽プロデューサーを務める。現在は、大橋彩香、SCREEN mode、HopStepSing!などを担当している。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

yahyel“TAO”

音楽と映像、そしてその相互作用によって完成するyahyelの芸術表現が完全に別次元に突入したことを証明するミュージックビデオ。クライムムービーとそのサントラのような緊迫感に終始ゾクゾクする。一体いつ寝てるんですかと聞きたくなるが、監督はもちろん山田健人。「崇高」という言葉を使いたくなるほどの表現としての気高さに痺れる。(山元)

  1. 安室奈美恵の引退日に1回限りのCM放送 安室の「笑顔」集めた60秒映像 1

    安室奈美恵の引退日に1回限りのCM放送 安室の「笑顔」集めた60秒映像

  2. 大野智がNHK『LIFE!』でダンス披露 『嵐にしやがれ』とのコラボ企画 2

    大野智がNHK『LIFE!』でダンス披露 『嵐にしやがれ』とのコラボ企画

  3. 三島由紀夫作の舞台『熱帯樹』に林遣都、岡本玲ら 演出は小川絵梨子 3

    三島由紀夫作の舞台『熱帯樹』に林遣都、岡本玲ら 演出は小川絵梨子

  4. TOSHI-LOWとフェス。アーティスト兼主催者目線で、現状を語る 4

    TOSHI-LOWとフェス。アーティスト兼主催者目線で、現状を語る

  5. 『ULTRA JAPAN 2018』開催。日本におけるEDM人気の立役者が5周年 5

    『ULTRA JAPAN 2018』開催。日本におけるEDM人気の立役者が5周年

  6. 渡辺あや脚本『ワンダーウォール』、静かに話題呼ぶ京都発ドラマ地上波再放送 6

    渡辺あや脚本『ワンダーウォール』、静かに話題呼ぶ京都発ドラマ地上波再放送

  7. 安室奈美恵の1994年からの歴代CM45本を一挙公開 AbemaTVの生放送特番 7

    安室奈美恵の1994年からの歴代CM45本を一挙公開 AbemaTVの生放送特番

  8. 平手友梨奈の「予測不可能」な生き様。初主演映画『響 -HIBIKI-』が公開 8

    平手友梨奈の「予測不可能」な生き様。初主演映画『響 -HIBIKI-』が公開

  9. 崎山蒼志が戸惑い混じりに語る、『日村がゆく』以降の喧騒の日々 9

    崎山蒼志が戸惑い混じりに語る、『日村がゆく』以降の喧騒の日々

  10. Amazon.co.jpが音楽イベントのストリーミング配信を開始。その狙いを訊く 10

    Amazon.co.jpが音楽イベントのストリーミング配信を開始。その狙いを訊く