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『ミリオンアーサー』のスクエニ岩野Pに訊く、ゲーム業界の実情

『ミリオンアーサー』のスクエニ岩野Pに訊く、ゲーム業界の実情

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

世界観やキャラクターの魅力を追求してきた弊社が、中国で勝負をしてみる価値は大いにあると思っています。

―進化のスピードが速いゲーム業界において、先行きを予測するのは難しいかと思いますが、市況的には横ばいになってきたというなかで、今後はどんな展開をお考えでしょうか?

岩野:先日『叛逆性ミリオンアーサー』を中国で配信することを発表したんですけど、今、中国のアニメテイストのゲームに対する盛り上がりって半端ないんです。向こうでは「二次元ジャンル」って言うんですけど、日本でウケてる要素が、そのまま中国で受け入れてもらえるんですよね。

これまでは、たとえば海外で銃を撃つゲームが主流になったときに、日本でもそれを作ろうと各社が目論んだんですけど、なかなか難しかった。その原因は、文化や感覚の違いだったと思うんです。ただ、今中国でアニメがウケているのって、僕らがハリウッド映画を楽しんでる感覚に近くて、「本場がやってきた」という感じになっているんですよ。

―かなりウェルカムな状況になっていると。

岩野:もちろん、中国の規制の関係もありますし、そう簡単にはいかないと思うんですけど、これから日本の人口が爆発的に増えるというのは考えられないですし、これまで積み上げてきたものをさらに展開させるためには、日本以外も含めて考えることが、非常に重要になってくると思います。

―中国のゲーム人口ってどれくらいなんですか?

岩野:すごいですよ。そもそも人口が13億人くらいいて、すでに中国は「ゲーム市場(PCゲームなども含む)」で見ると世界一と言われていますからね。本当にすごいですよね(笑)。とにかく、ポテンシャルがすごい。

アニメテイストのゲームも、売上ランキングのトップ10に入るくらいになってきているのですが、中国でなぜそこまでアニメテイストが人気なのかを考えると、やっぱり世界観とかキャラクターに対する思い入れだと思うんです。そもそも中国のゲーム文化は欧米の影響を強く受けていて、リアルテイストの世界観やキャラクターが定番だったので、新鮮さもあるのだと思います。加えてネットが発達して海外の文化に触れる機会も増えたことも大きいです。そういった状況のなかで、世界観やキャラクターの魅力を追求することに力を入れてやってきた弊社からすると、勝負をしてみる価値は大いにあると思っています。

岩野弘明

―言ってみれば、世界観やキャラクターの魅力の追求は、スクウェア・エニックスが『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』でずっとやってきたことだとも言えますよね。

岩野:そうですね。今いる社員はそういったゲームに憧れて入ってきた人が大半なので、やっぱりみんなそういうものを作りたいと思っているはずなんです。僕の場合はそれがアニメ方向にいったわけですけど、引き続き『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』を盛り上げていこうとしてる人もいれば、また別の方向性を模索してる人もいたり。

―今日ちょうど『ドラゴンクエストXI』の発売日が発表されましたね。

岩野:あれも試みとしてはとんでもなくて。PS4と3DSで仕様を変えて出すって、2本同時に作るようなものだから、「嘘だろ!?」って話なんですよ。社内から見ても、あれは『ドラクエ』ならではのやり方だなと思います。

これまでも『ドラクエ』のコンセプトって、「一番多くのお客様に遊んでいただける環境で出す」ということだと思うので、その意味では、今回の「PS4でも3DSでも出す」というのは、『ドラクエ』の理にかなっていると思うんです。でも、それはやろうと思ってできることではないので、本当にすごいなと。

どのタイミングで入ったとしても、面白いもの作りをできるのがゲーム業界なんです。

―この連載記事はCINRA.NETとCAMPFIREの合同企画なのですが、岩野さんはクラウドファンディングについて、どのような印象をお持ちですか?

岩野:「面白い」を一番形にしやすい方法だと思います。というのも、会社って「面白い」だけだと動かないですよね。大きな会社になればなるほど、「それって売れるの?」という話になるし、方針を決める人が「俺はそれ売れないと思う」ってなると、そのアイデアは蹴られちゃう。

でもクラウドファンディングは、「俺は面白いと思う」という意見が可視化されるから、安心してそこに突っ込めますよね。それをちゃんと完成させられるかどうかはその人次第ですけど、少なくとも、「面白そう」と期待を受けた状態でものが作れるというのは、闇雲に突っ込むよりもはるかに歩んでいきやすい。なので、「面白い」を形にするという意味では、一番やりやすい方法だと思います。

岩野弘明

―では最後に、ゲーム業界を志している若い人に向けて、なにかメッセージをいただけますか?

岩野:変化の速い業界だという話をしましたけど、それに対応するためには、自分のなかにアイデアのストックを持っておく必要があると思います。そのストックはゲームだけではなくて、アニメ、小説、映画、あるいは旅行とかスポーツとか、いろんなエンタメから得ることができる。なので、ひとつのものに縛られずに、いろんなことに手を出して、幅のある経験を培っていくことが大事だと思いますね。

―逆に言えば、そういうストックを身につけておけば、大きな可能性が広がっている業界だと言えそうですよね。

岩野:面白い業界だと思いますよ。一番の理由は、やっぱり進化のスピードや変化の幅です。自分がスマホゲームを作ることになるなんて、思ってもいませんでしたから(笑)。

ファミコンやスーパーファミコンの時代が、ビデオゲームというものを爆発的に普及させた時代だと思うのですが、それだけに、当時はビデオゲームというエンタメに対する注目度やお客様のモチベーションはすごく高くて売りやすい状況だったと思います。そこから市場が成熟し、さらにネットの普及により様々なエンタメに触れやすい状況が訪れたこともあって、ゲーム業界自体の勢いが徐々に鈍化していったけれど、あのファミコン黎明期のような状態がスマホによってまた訪れた。

こういう機会というものはなかなか訪れるものではないですが、ただとにかく進化の速度が速いので、すでにスマホゲームもまた次の段階に差し掛かってるし、また次のプラットフォームやお皿が何年か後に出てくるかもしれない。つまり、どのタイミングで入ったとしても、面白いもの作りをできるのがゲーム業界なんです。

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岩野弘明(いわの ひろあき)

スクウェア・エニックス 第10ビジネス・ディビジョン プロデューサー。『ミリオンアーサーシリーズ』『ましろウィッチ』『アリスオーダー』などを手がける。

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