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新たな渋谷の遊びとして根付くか? 音楽映画をWWWで爆音上映

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』
テキスト
小田部仁
新たな渋谷の遊びとして根付くか? 音楽映画をWWWで爆音上映
撮影:小見山峻

監督や出演者のトーク&ライブが、映画と地続きで行われた映画祭

2016年2月8日、9日の2日間にわたって、渋谷WWWで行われた『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』。音楽番組専門チャンネル・スペースシャワーTVが主催したこのイベントでは、『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧―』『完全版BiSキャノンボール2014』『私たちのハァハァ』など、近年大きな話題を呼んだ、音楽に関連する映画及びドキュメンタリー番組6作品を上映。また、映像の上映だけでなく、監督や出演者のトークショーやライブでも観客を楽しませた。

突如流れた小沢健二の特別映像、BiSHによる完全再現ライブ

今回のイベント上映では、作品に対してこの日限りの特別映像が付け加えられたものや、演出がなされたものが並んだ。例えば、小沢健二の名盤『LIFE』発売20周年を記念して作られた『超LIFE』の上映回では、今年の1月20日に突如行われた、小沢健二の6年ぶりの全国ツアー告知イベントにて流れた過去のライブ映像が付け加えられていた。

また、夜中の1時から6時までという恐ろしい時刻に上映された『完全版BiSキャノンボール2014』では、映画のラストシーンと繋がる形でBiSHがステージ上に登場。BiSHの初ライブのセットリストとMCを完全再現したライブを行った。5時間という長い上映時間を耐え抜いた末にあった、超貴重なライブに、清掃員たち(BiSHファンのことをこう呼ぶ)は熱狂。一種のトランス状態に会場は突入。これから出勤・通学を控えた人たちもいただろうが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりの己の力を振り絞った朝一の熱量に圧倒された。映画と現実が地続きに繋がった瞬間を目撃してしまったが、これもまた、音楽映画ドキュメンタリーだからこそなせる演出であり、醍醐味なのだろう。

BiSH 撮影:小見山峻
BiSH 撮影:小見山峻

BiSH 撮影:小見山峻
BiSH 撮影:小見山峻

音楽が映像を引き立てるだけでなく、映像が音楽を引き立てることも

上映されたどの映画やドキュメンタリーも、エンターテインメントでありながら、完全な意味でのフィクションでもリアルでもない。アーティストが血と汗と涙を振り絞って鳴らす「音楽」が中心にある時点で、虚構の中に現実が入りこんでしまっている(逆も然り)。特にそれがわかりやすく表れていたのが、『私たちのハァハァ』だ。

上映後に行われたトークショーで、映画の出演者の一人である井上苑子は本作の撮影期間を振り返り「体力的には辛かったけど、本当にいい思い出だった」と語った。彼女の言葉は、あたかも映画の中の「一ノ瀬」が今、舞台に現れて語っているように響いた。炎天下の中、ひたすら自転車をこぎ、ライブを観るために九州から東京を目指す——本編のストーリーと彼女のリアリティーが重なり合った瞬間、作中で流れる「音楽」も熱を帯びて聴こえ始める。切実さこそがキーワードなのだ、と、映像と音楽の魔法のようなコラボレーションの秘密が浮き上がったように思えた。

井上苑子 撮影:小見山峻
井上苑子 撮影:小見山峻

今後も期待。WWWだからこそ実現できる、爆音上映と音楽ライブの掛け合わせ

開催両日とも平日であったにもかかわらず、一部はチケットが売り切れになるほど多くの観客が詰めかけた今回のイベント。音楽・映画ファンがこのイベントに注目したのは、トークショーやライブの豪華さもさることながら、その場所に秘密があったのではないだろうか。2010年11月にオープンしたスペースシャワーが運営するライブハウスWWWは、もともと映画館だった場所を改装したもの。普段、ミュージシャンのライブで使われている音響機器から爆音で音楽映画を楽しめるということもあり、オーディエンスにとってはたまらなかったはず。『超LIFE』上映後に行われたタケイグッドマン監督とスチャダラパー・Boseのトークショーでは、タケイ監督が「自分が編集過程で聴いていたのと全く同じか、それ以上の良さ」と、しきりに音の良さをアピールしていた。

左から:Bose、タケイグッドマン 撮影:小見山峻
左から:Bose、タケイグッドマン 撮影:小見山峻

以前、吉祥寺バウスシアターも『爆音映画祭』と題し、音楽や音響にこだわった映画をライブ用のサウンドシステムを用いて上映するイベントを行っていたが、2014年に惜しまれながら閉館。これに限らず続々と都内のミニシアターが閉館する中、今回のようなイベントは、音楽ファンや映画ファン、その両者にとってたまらないものだったに違いない。WWWの上階にあったシネマライズも1月7日に閉館し、跡地にはWWWの2号店ができるという。音楽ライブだけでなく、今回のような映画系のイベントも開かれることを強く期待したい。

イベント情報

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』

2016年2月8日(月)
会場:東京都 渋谷 WWW
『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(監督:佐渡岳利)
トーク:
佐渡岳利
掟ポルシェ
『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧―』(監督:大根仁)
トーク:
大根仁
天久聖一
司会:兵庫慎司
『超LIFE』(監督:タケイグッドマン)
トーク:
タケイグッドマン
Bose(スチャダラパー)
『完全版BiSキャノンボール2014』(監督:カンパニー松尾)
ライブ:BiSH

2016年2月9日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
『トイレのピエタ』(監督:松永大司)
トークショー:松永大司、杉咲花
『私たちのハァハァ』(監督:松居大悟)
トークショー:松居大悟、井上苑子
ライブ:井上苑子

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日) 会場:東京都 国際フォーラム ホールA

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

2016年3月4日(金)~3月6日(日)
会場:東京都 渋谷 space EDGE
時間:11:00~19:00(3月5日は20:00まで)
参加作家:
植本一子
オオクボリュウ
太田好治
上岡拓也
児玉裕一
谷端実
cherry chill will
本秀康
山根慶丈
鷲尾友公
ほか
料金:無料

『CREATOR'S SESSION』
2016年3月5日(土)17:00~18:00
トーク:
福田哲丸(快速東京)
富永勇亮(dot by dot inc.)

2016年3月6日(日)15:00~16:00
トーク:
evala
YKBX

2016年3月6日(日)17:00~18:00
トーク:
コムアイ(水曜日のカンパネラ)
児玉裕一
山田智和
and more

※トークは予約制

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