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井浦新とゆく東京国立博物館。考古学少年が土偶への愛を語る

上野「文化の杜」
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:中村ナリコ 編集:野村由芽
井浦新とゆく東京国立博物館。考古学少年が土偶への愛を語る

じつは大のアート好きで、Eテレ『日曜美術館』の司会も務める俳優の井浦新さん。小さい頃から、歴史好きの父親と一緒に博物館や美術館に頻繁に通っていたという井浦さんにとって、「上野公園」は愛着のある特別な場所だそう。博物館や美術館、動物園、音楽ホールなど、さまざまな文化施設が一つの公園に集まるのは世界的にも珍しく、2020年の東京オリンピックに向けて、各施設がお互いに連携して国際的なシンボルとなることをめざす上野「文化の杜」構想が発足したばかりです。

そこで今回は、井浦さんが「大好きな場所」と語る、東京国立博物館の平成館考古展示室を探検。旧石器時代から江戸時代までの考古遺物を紹介する同スペースは、2015年10月にリニューアルされ、ぐっと見やすく、そして親しみやすい工夫が随所に加わりました。古代史を愛してやまない井浦さんと一緒に、ひと時のタイムトラベルに出発です。

埴輪とはもう「顔なじみ」? 何度来ても発見がある、トーハクの奥深さ

最初に井浦さんを迎えてくれたのは「トーハク(東京国立博物館)のプリンス」こと国宝『埴輪 挂甲の武人』。6世紀の古墳時代に制作されたにもかかわらず、ほぼ当時のまま、しかも大刀、弓などを武装した姿で発見・復元された、貴重な埴輪(はにわ)です。写実性の高さで有名な逸品ですが、それでも埴輪らしいどことなく間の抜けた表情や丸みを帯びた体型に、ホッとさせられます。

井浦:じつはリニューアルした考古(考古展示室の略称)には、もう何回も来ているんですよ(笑)。仕事の空き時間がちょっとでもあると「1時間あるから……よし、今日はこことそこを見て回れる!」なんて考えながら通っちゃいます。だからこの埴輪も、僕的にはなじみ深いんです。

左から『国宝 埴輪 挂甲の武人』国宝 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市飯塚町出 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵 / 井浦新
左から『国宝 埴輪 挂甲の武人』国宝 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市飯塚町出 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵 / 井浦新

想像以上のトーハク愛、おみそれいたしました! とすると、今日の取材も、井浦さんにとっては耳タコな話ばかりかもしれないですよね、なんてちょっと心配になっていると……。

井浦:でも、来るたびに発見があるのがトーハクの凄さと奥深さですからね。たまに古刹(こさつ / 由緒ある古い寺のこと)や遺跡を見に地方を旅するんですが、その前には予習のために、必ずトーハクに来るようにしています。だから今日も勉強のつもりで来たんです。

東京国立博物館 平成館 考古展示室
東京国立博物館 平成館 考古展示室

あらゆる技法で美しい模様が生み出された縄文土器。岡本太郎も評価した、縄文人のデザイン力

続いて、井浦さんが特に好きな縄文時代のコーナーへ。縄文時代といえば、やっぱり縄文土器。近年、トーハクは武蔵国分寺から「多喜窪遺跡第1号住居跡」で発見された重要文化財の勝坂(かつさか)式土器一式の寄託を受けました。一つの住居跡からまとまって見つかったということは、つまり約5千年前の縄文人一家が生活に使っていた土器であるということです。筒状のものは食べ物や水などの煮炊き、浅いものは盛りつけに使っていたのではないか、と推測されています。

井浦:縄文時代中期の生活の様子をリアルに感じられますし、縄文人のデザイン意識の高さにあらためて驚かされます。勝坂式土器は、(芸術家の)岡本太郎さんが高く評価したことで知られる、特に造形性の強い縄文土器です。

縄文土器をしげしげと見る
縄文土器をしげしげと見る

一般的に縄文土器というと、全体が縄目模様で満たされたものが思い浮かびますが、実際には縄目のないもの、表面を彫って模様をつけたものなど豊かなバリエーションがあります。また、磨消(すりけし)縄文と呼ばれる手法では、縄目で模様をつけた後、部分的に擦り消すことでフラットな空間を土器の上に作り出します。そうすることで、デザイン的な密度の濃淡を土器に与えることができます。

井浦:なるほど! 以前、長野県で縄文土器の手作り体験をしたことがあるのですが、縄目のある部分と何もない部分を作り分けることがどうしてもできませんでした。まさか、そんな工夫をしていたなんて思いもよりませんでした。やっぱり縄文人は、高い文化レベルがあったんですね。

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イベント情報

上野「文化の杜」

歴史的資源と自然環境に恵まれ、さらに日本を代表する博物館、美術館、音楽ホール等の文化施設や芸術系大学が集結する上野エリア。各組織がそれぞれ充実した文化芸術活動を展開しているこのエリアは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、上野「文化の杜」として各組織が連携・協力することで、それぞれの保有する文化芸術資源の潜在価値の顕在化やその資源の活用度を増大させ、国際的な文化シンボルとなることを期待されています。

東京国立博物館

料金:一般620(520)円、大学生410(310)円
※特別展の場合は別料金となります。各特別展の案内ページをご参照ください。
※障がい者とその介護者各1名は無料です。入館の際に障がい者手帳等をご提示ください。
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は、総合文化展について無料です。入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳,健康保険証,運転免許証など)をご提示ください。
時間:9:30~17:30
※2016年3~12月の特別展開催期間中の金曜日および7・8月の水曜日は20:00まで
※2016年3月26日~9月までの土日祝休日は18:00まで
※2016年6月22日~7月10日は本館のみ無休で20:00まで開館
※黒田記念館は通年で9:30~17:00(6月13日(月)まで休館中)
※いずれも入館は閉館の30分前まで
※時期により変動あり
休館日:月曜日、年末年始
※月曜日が祝休日にあたる場合は開館し、翌平日休館
※ただし、8月15日は開館

プロフィール

井浦新(いうら あらた)

1974年東京都生まれ。98年に映画『ワンダフルライフ』に初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。現在、『NHK日曜美術館』の司会を担当。『一般社団法人匠文化機構』にも従事し、日本の工芸、歴史、伝統文化を未来に繋げ拡げていく活動を行っている。アジア各地を旅したNHK BSプレミアム『ザ・プレミアム 井浦新 アジアハイウェイを行く』の書籍を制作中。4月15日よりスタートしたNHKドラマ10「コントレール~罪と恋~」(金曜22時~、全8回)に出演中。

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