特集 PR

Omoinotakeとは?渋谷の路上で歌とグルーヴと物語を磨いた3人組

Omoinotake『Street Light Release Tour』
テキスト
天野史彬
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/02/01
Omoinotakeとは?渋谷の路上で歌とグルーヴと物語を磨いた3人組

ceroを影響源に挙げる3ピースバンド

去る1月22日、島根県出身の3ピースバンド、Omoinotakeが渋谷WWWにてワンマンライブを行った。この公演は、彼らが去年10月にリリースしたミニアルバム『Street Light』のリリースツアーファイナルとして行われたもの。

3人共が島根県出身のOmoinotakeは、中学の同級生だった藤井レオ(Key,Vo)と福島智朗(Ba,Cho)、そして、そこに冨田洋之進(Dr)が加わる形で、2012年に東京にて結成された。ライブハウスのみならず、渋谷のスクランブル交差点を中心とした都内での路上ライブ活動でも、その認知を広げてきたバンドだ。

左から:福島智朗、藤井レオ、冨田洋之進
左から:福島智朗、藤井レオ、冨田洋之進

Omoinotakeが鳴らすブラックミュージックからの反響が色濃い音楽性は、1~2年前だったら「シティポップ」という言葉で語られていたものだろう。実際、「音楽ナタリー」に掲載されたインタビュー記事によると、彼らはそもそものルーツは違えど、近年のシティポップの隆盛を参考にしながら、自らの音楽的な方向性を固めていったそう。

なかでも特に大きな影響源になったのが、ceroが2015年にリリースした傑作『Obscure Ride』だったそうだ。もちろん、これは「流行に合わせた」という類の話ではなくて、「ギターレス」という自分たちの編成を活かしきれる音楽性を探し歩いた結果、「ブラックミュージックを消化したヨコノリのグルーヴ」という方向性に辿り着いた、ということだろう。

何故、その音を鳴らすのか?

話は逸れるようだが、「何故、その音を鳴らすのか?」という問いかけは、音楽家にとって簡単に言語化できるものではないにせよ、とても重要なものなのだと最近特に思う。私たちが生きる人生や社会においても、「自由」という言葉の裏には常に「責任」が付き纏うように、もはや「ジャンル」という概念で音楽を語ることがほとんど意味をなさなくなった昨今、様々なツールで、様々な要素を混ぜ合わせて「自由」に音楽を作ることができる状況だからこそ、プロダクションの話であろうが、歌詞の話であろうが、選び取られた形式、選び取られた1音1音、選び取られた1フレーズ1フレーズには、その音楽家が背負うべき「責任」や「意志」がある。

「何故、その形式で音楽を作るのか?」「何故、その音を選び取ったのか?」――無論、そうした問いに、音楽家が一つひとつ明確に言語化して答える必要はないと思うが、しかしながら、これだけの情報量の時代に音楽を聴く身としては、そこに、その作家なりの「たしかなもの」があってほしいと思うのだ。King Gnuの常田大希は、CINRA.NETのインタビューで「語法としてポップスを取り入れただけだと、本当のポップスになりえない」と語っていたが、本当にその通りだと思う(参考記事:King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」)。

そういう意味で、Omoinotakeは今まさに、自分たちの「意志」や「責任」のもとに鳴らすことができる音楽を形作り始めている――この日、渋谷WWWでの演奏を観て、筆者はそう感じた。

ライブは2017年にリリースされたミニアルバム『beside』に収録された“Freaky Night”で始まったのだが、冒頭は正直、あまりピンとこなかった。パーカッションとサックスのサポートを加えた5人編成でライブは始まったのだが、そうした、ある種ゴージャスな音作りが、どこか装飾過多に聴こえたのだ。

Omoinotakeと、サポートメンバー・柳橋玲奈(Sax)、ぬましょう(Per) / 撮影:後藤壮太郎
Omoinotakeと、サポートメンバー・柳橋玲奈(Sax)、ぬましょう(Per) / 撮影:後藤壮太郎

しかしながら、5曲目、新作『Street Light』に収録された“Bitter Sweet”でサポートの2人が一旦ステージを去り、「3人」というOmoinotakeにとって最も原初的でミニマルな編成によって、その繊細でしなやかな音像が鳴らされた瞬間に、心と体を揺さぶられるものがあった。藤井の力強い歌唱と、空間全体をメロウに彩りながら、でも沸々と振動させていくような、近年のトラップやR&Bとも共振するようなサウンド。これがとても、彼らの「身の丈」……というか、「想いの丈」に合っているように感じられたのだ。

Omoinotakeの3人だけのステージ / 撮影:後藤壮太郎
Omoinotakeの3人だけのステージ / 撮影:後藤壮太郎
Omoinotake“Bitter Sweet”(Apple Musicはこちら
Page 1
  • 1
  • 2
次へ

イベント情報

『Street Light Release Tour』

2019年1月22日(火)
会場:東京都 渋谷WWW

リリース情報

Omoinotake『Street Light』
Omoinotake
『Street Light』(CD)

2018年10月10日(水)発売
価格:1,823円(税込)
NEON RECORDS / NECR-1017

1. Stand Alone
2. Never Let You Go
3. Still
4. Temptation
5. Bitter Sweet
6. Friction

プロフィール

Awesome City Club
Omoinotake(おもいのたけ)

島根県出身。Key / Vo藤井レオ、Bass / Cho福島智朗(エモアキ)、Dr / Cho冨田洋之進(ドラゲ)からなるギターレス、ピアノ・トリオバンド。中学からの同級生だった彼らが2012年東京で結成。渋谷を中心に活動、ライブを重ね、その人気と実力を形成してきた。特に渋谷のストリートライブではその集客が話題となり、メディアでも取り上げられる。インディーリリースながら2017年1stフルアルバム『So far』、1stミニアルバム『beside』がスマッシュヒット。その音楽性に注目され、早くから日本テレビ『バズリズム』等の地上波出演など、テレビやFMでプッシュされてきた。10月10日、2ndミニアルバム『Street Light』をリリース。ソウル、R&B、HIPHOPなどブラックミュージックの系譜からインスパイアされ生み出す彼らのセンス溢れるサウンドメイク、そして繊細ながらも情感を揺さぶる藤井怜央の魅力的なボーカルが、今の時代のカルチャーと相まって、今後最も活躍が期待されるバンドである。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

君島大空“遠視のコントラルト”

屈折したイノセンスが爆発するような、君島大空の“遠視のコントラルト”のMV。『The Bends』の頃のRadioheadのようなギターとセンシティブに揺ぐボーカルが描き出す、ピュアでまばゆい楽曲世界にクラっとくる。松永つぐみが手がけた映像も素晴らしく、実験映像的なカットを重ね、儚く消え入りそうな繊細で美しい才能を見事に切り取っている。爆音で凝視してほしい。
(山元)

  1. あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る 1

    あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る

  2. NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも 2

    NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも

  3. 宮本浩次が感情を露わに車を運転する“冬の花”PV公開 監督は児玉裕一 3

    宮本浩次が感情を露わに車を運転する“冬の花”PV公開 監督は児玉裕一

  4. エロか、フェチか。外林健太と青山裕企が、女性ばかりを撮る理由 4

    エロか、フェチか。外林健太と青山裕企が、女性ばかりを撮る理由

  5. 多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM 5

    多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM

  6. 『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組 6

    『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組

  7. Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察 7

    Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察

  8. CHAIは世の中にPUNKを掲げる。皆がなりたい自分になれるように 8

    CHAIは世の中にPUNKを掲げる。皆がなりたい自分になれるように

  9. 椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」 9

    椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

  10. ビル・エヴァンス生誕90周年 生涯辿る記録映画『タイム・リメンバード』 10

    ビル・エヴァンス生誕90周年 生涯辿る記録映画『タイム・リメンバード』