インタビュー

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

King Gnuのメジャーデビューアルバム『Sympa』の歌詞のなかには、「未来」いう言葉が時折出てくる。そして、彼らが描く「未来」には強く惹かれるものがある。信じ切れるものも、確かなものも、なにもない。ただ、真っ暗な闇が広がっている――King Gnuが描く「未来」には、そんなニュアンスがあるように感じられるから。

未来は真っ暗だ。それでも季節は巡り、鼓動は止まらず、音楽は響き続ける。確かなものがない、ということ。それは、すべてのことが起こりえる、ということだ。だから僕やあなたは今この瞬間に懸命に息を吐きながら、真っ暗な1秒先へと向かっていく。『Sympa』は、そんな「今この瞬間」を生き延びようとする私たちの傷だらけの足音を祝福する。アルバムの実質的ラストトラックのタイトルは“The Hole”。ぽっかりと空いた、孤独や苦しみしか入り込む余地しかないような空洞。その空洞にこそ、私たちが次の一歩を踏み出すきっかけがあるのだと、このアルバムは伝えているようだ。

このインタビューの現場で4人に「このアルバムは、10年後も語られると思う」と言ったら、軽く笑われてしまった。まぁ、そうだろう。彼らが感じたいのはきっと、そんな額面どおりの賛辞ではない。彼らが感じたいのは、苦しみと喜びにまみれながら、ぽっかりと開いた未来に足を踏み入れる、あなたの「今」なのだ。

「どうやって終わらせるか?」も、バンドの美学じゃないですか。(常田)

—『Sympa』、見事なアルバムだと思いました。みなさんの手応えは、いかがですか?

常田(Gt,Vo):とりあえず、ホッと一息っていう感じですね。リリースする形にまで持ってくることができてよかったなっていう……そのくらいです。

—音源をいただいて聴かせていただとき、「これは日本のロックミュージックを前進させる一枚になるんじゃないか!?」って、僕はかなり盛り上がりましたけど。

常田:「作り切ったぜ!」っていうよりは、「とりあえず、ここからはじめましょう」っていう感じなんですよね、このアルバムは。完璧なものができたとも思っていないし、「もっとできるな」っていう思いもある。

常田大希(King Gnu)
常田大希(King Gnu)

常田:……まぁ、これからアルバムはたくさん作っていくので。とりあえず、5枚目までは作りたいなと思っているんです。5枚目に『King Gnu』っていうタイトルのアルバムを作って、それで完結させます。

—もう終わりが見えているんですか?

勢喜(Dr,Sampler):「5枚目くらいで終わりにする」って、(常田)大希はよく言っているよね? ダサくなる前に終わらせるっていう。

常田:うん。終わりがないと美しくないので。「どうやって終わらせるか?」も、バンドの美学じゃないですか。極限までデカくして終わらせたいなって思います。最後にどんなディストピアが広がっているのか、楽しみです。

—ディストピア……。

常田:まぁ、この話は冗談半分っていうことで、聞き流してください(笑)。

新井(Ba):とりあえず、『Sympa』を聴いてもらえれば、今のKing Gnuがどういうものなのかは、わかってもらえると思います。

新井和輝(King Gnu)
新井和輝(King Gnu)

—大切なのは「今」ですね。前回、常田さんに単独でお話を聞かせていただいたときに、「今」の時代や社会と結びついた音楽であること……いわば「ポップス」であることが、King Gnuにとっては重要であるという話があって(参考記事:King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内)。新井さん、井口さん、勢喜さんは、常田さんのこうした姿勢をどのように受け止めているのか、伺いたかったんです。

勢喜:う~ん……「社会を巻き込む」とか、それは別に自分が考えることではないなって思います。King Gnuの創作物に関しては、全体的にアートできていると思うので、それでいい、というか。

—井口さんはどうですか?

井口(Vo,Key):僕も別に考えてないですね。

井口理(King Gnu)
井口理(King Gnu)

—新井さんは?

新井:そうですね……僕はもともと、職業ミュージシャンみたいなことをやっていたので、ずっと、「曲に対してどうアプローチするのか?」ということに、考えが終始していたんですよね。「職人」であることを大事にしてきたので、カルチャー的な部分に疎くて。

King Gnuをはじめてから、そういうものに触れたり、目にするようになって、今やっと「社会を巻き込むって、こういうことなんだな」って、わかってきた感じがあります。大希の舵取りの方向性による部分もあると思うんですけど、最近やっと、実感が追いついてきた感覚があるんですよね。

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リリース情報

King Gnu『Sympa』DVD付初回生産限定盤
King Gnu
『Sympa』DVD付初回生産限定盤(CD+DVD)

2019年1月16日(水)発売
価格:3,900円(税込)
BVCL-928 / 929

[CD]
1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

[DVD]
・“Tokyo Rendez-Vous”PV
・“McDonald Romance”PV
・“Vinyl”PV
・“あなたは蜃気楼”PV
・“Flash!!!”PV
・“Prayer X”PV
・“It's a small world”PV
『King Gnu 1st ONE-MAN LIVE at Shibuya WWW(2018.01.28)』
・Tokyo Rendez-Vous
・あなたは蜃気楼
・Vinyl
※初回プレス分に『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』チケット先行申し込み用のシリアルナンバー封入

King Gnu
『Sympa』通常盤(CD)

2019年1月16日(水)発売
価格:2,900円(税込)
BVCL-930

1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

イベント情報

『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』

2019年3月3日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

2019年3月7日(木)
会場:愛知県 名古屋 ダイアモンドホール

2019年3月9日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2019年3月17日(日)、3月18日(月)
会場:大阪府 BIGCAT

2019年3月21日(木・祝)
会場:香川県 高松 MONSTER

2019年3月22日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2019年3月30日(土)、3月31日(日)
会場:北海道 札幌 cube garden

2019年4月5日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2019年4月12日(金)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

King Gnu(きんぐ ぬー)

東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター・常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt,Vo)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Key)の4名体制へ。『SXSW2017』、『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

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