特集 PR

市川渚がデジタルハリウッド大学卒制展へ。実際の体験が培う創造性

デジタルハリウッド大学 卒業制作展
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:豊島望 編集:宮原朋之、原里実(CINRA.NET編集部)
市川渚がデジタルハリウッド大学卒制展へ。実際の体験が培う創造性

「知ること、考えることって、つまりセンスをかたち作ることだと思うんです」

すべての展示会場を見て回った市川さん。最後に全体を通じての感想をうかがいました。

市川:荒削りなところもたくさんありましたが、やはり好きなものを表現したいという衝動、そしてその表現の自由さに心打たれました。ちょっと辛口の意見になってしまいましたけど、イマーシブシアターの作品も「演じること」に対する「好き」の気持ちを確かに感じました。

本当に好きなものだからこそ、思考する手間や労力を惜しまずにかたちにできる。そのパワーのみずみずしさに、あらためて学び直すところが多くありましたね。

角日菜子『tutu』(現代文化表現)
角日菜子『tutu』(現代文化表現)
町田将太郎『日本式銭湯のアメリカにおける事業戦略企画』(マーケティング戦略企画)
町田将太郎『日本式銭湯のアメリカにおける事業戦略企画』(マーケティング戦略企画)

「社会に出てから、思うようにいかないこともあると思う。でもだからこそ、この瞬間の理想を忘れないでほしい」と語る市川さん。彼女自身は、どんなスタンスでクリエイティブに関わってきたのでしょうか?

市川:もちろん、自分の納得がいくまでとことん作るのは大前提。でも、そこにはつねに「これが誰の、何の役に立つのか?」という問いがあります。それこそがものを作って世に放つ理由だし、さらにいえばそれが「自分が生きる理由」にもつながるんです。

ものを作る人たちの理想を追求すると、それは生活のための「仕事」が、どんな人間として生きるか? という問いに結びついた「なりわい」にもなっていくことでしょう。そして市川さんは、これから社会に出ていく若者たちに、こんなメッセージを贈ります。

市川:そんな偉そうなことは言えないんですけど、自分が興味を持てるものをたくさん持っておく、触れるために足を運ぶってことは大事かなあ。それもタスク的に「はい、見ました」で終わるのではなくて、そこから何を得られたのかについてきちんと思考すること。つまり、ものを見るための審美眼を鍛えるのがすべての基本だと思います。

それから正直に言って、いまはあらゆるアイデアがほぼ出尽くしている時代だと思うんです。そのなかで、何も知らずに思いついたことも、じつはそれって、すでに先人がやっていることだったりする。

市川渚
野島雄太郎『めぐまれた20才のわがまま』
野島雄太郎『めぐまれた20才のわがまま』

市川:いまって、全部インターネットで見た気になっちゃう時代ですよね。たしかに情報や画像のレベルではそうなんだけれど、実際に触れて得られる経験はまったく別。

私が学生の頃は、洋服に興味があったので、表参道に立ち並ぶ一流と呼ばれるようなブランドの店に足を運んで、そこに並んでいるものすごい量の服を触って実際に着てみることで、知識や経験を得ていました。その過程で店舗の雰囲気を感じたり、その奥に流れるブランドのアイデンティティーを考えたり。実際に色々なものに触れてみるということは自分のなかに「いい」「悪い」だけではない、多様な価値基準を作る作業でもあるんです。

自分に何がフィットするか。何がよくて何が悪いと感じるのか。その基準を作るために、いろんな体験を恐れずにしてみること。体験の蓄積は、その人のファッションやインテリアの選択から、作る作品まですべてに現れます。知ること、考えることって、つまりセンスをかたち作ることだと思うんです。

市川渚
Page 3
前へ

イベント情報

『2019年度 デジタルハリウッド大学 卒業制作展』

2019年2月14日(金)~2月16日(日)
会場:東京都 デジタルハリウッド大学駿河台キャンパス
料金:無料

プロフィール

市川渚(いちかわ なぎさ)

ファッションデザインを学んだ後、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。フリーランスのクリエイティブ・コンサルタントとして、ファッション、ラグジュアリー関連の企業やプロジェクトのコンサルティング、デジタルコンテンツのクリエイティブ・ディレクション、プロデュース、制作などを手がける。ガジェットとデジタルプロダクト好きが高じメディアでのコラム執筆やフォトグラファー、モデルとしての一面も。ファッションとテクノロジーがクロスする領域で幅広く活躍中。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. 映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が突きつける、社会に深く根づく性差別 1

    映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が突きつける、社会に深く根づく性差別

  2. 横浜流星が「つらいかぜ」を打ち砕く プレコールの新CM「闘い続ける」篇 2

    横浜流星が「つらいかぜ」を打ち砕く プレコールの新CM「闘い続ける」篇

  3. ジョン・レノンが時代に残す闘いの爪痕、ヨーコがもたらしたもの 3

    ジョン・レノンが時代に残す闘いの爪痕、ヨーコがもたらしたもの

  4. 木村拓哉を操上和美が撮影『SWITCH』原宿特集に小泉今日子、池田エライザら 4

    木村拓哉を操上和美が撮影『SWITCH』原宿特集に小泉今日子、池田エライザら

  5. King Gnu井口理が獣医師役 野村不動産「プラウド」ブランドムービーが公開 5

    King Gnu井口理が獣医師役 野村不動産「プラウド」ブランドムービーが公開

  6. 高橋一生主演×荒木飛呂彦原作ドラマ『岸辺露伴は動かない』12月NHKで放送 6

    高橋一生主演×荒木飛呂彦原作ドラマ『岸辺露伴は動かない』12月NHKで放送

  7. カルティエの新作キャンペーンに常田大希、池田エライザ、野田洋次郎ら起用 7

    カルティエの新作キャンペーンに常田大希、池田エライザ、野田洋次郎ら起用

  8. 大滝詠一『A LONG VACATION』40周年記念盤が全音楽記録媒体でリリース 8

    大滝詠一『A LONG VACATION』40周年記念盤が全音楽記録媒体でリリース

  9. YOASOBIがGoogle PixelのCMソングを担当 新曲“アンコール”を起用 9

    YOASOBIがGoogle PixelのCMソングを担当 新曲“アンコール”を起用

  10. スピッツ、全着席のコンサートを11月に東京ガーデンシアターで開催 10

    スピッツ、全着席のコンサートを11月に東京ガーデンシアターで開催