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Permanents(田中和将&高野勲)と田島貴男が出会った、特別な夜

UNITED FOR MUSIC
テキスト
天野史彬
撮影:藤井拓 編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)
Permanents(田中和将&高野勲)と田島貴男が出会った、特別な夜

Permanentsの静けさと、田島貴男の力強さ。田中和将「幸せな夜が、また更新しました」

ここで一旦、Permanentsのふたりがステージからはけると、田島のソロステージが幕を開ける。田島ソロの1曲目は“接吻”。まるで楽器が、リズムが、メロディが、筋肉や神経と直接結びついているような豊かな身体性を感じさせるパフォーマンス。重層的なリズムを生み出し、さらに歌いながら足元ではストンプボックスとタンバリンを踏み鳴らす……言うなれば、「全身音楽家」というか。ひとりの人間が、知性も感性も肉体も研ぎ澄ませ、そのすべてを音楽に没頭させることによって成り立っている、そんなすさまじい演奏。

2曲目のファンキーな“bless You!”では、「クラップユアハンズ!」と聴き手を煽る場面も。この日、前列のオーディエンスはフェイスシールドを着用していたようで、やはりコロナ以前とは会場の空気も違ったのではないかと推測するが、しかし状況がどうであろうと、田島貴男は田島貴男。そのほとばしる「個」の力が会場の空気に浸透して震わせていく様子が、生配信の画面越しにもよくわかる。そして田島ソロ最後の3曲目“フリーライド”では、ギターのボディを叩いてパーカッシブな音を出すスラム奏法も駆使し熱気あふれる演奏を披露。優雅な静寂に炎を投げ込むような、衝動溢れるソロパフォーマンスを繰り広げた。

田島貴男
田島貴男

「最高の夜、確定でございます」という田中の言葉とともに再びPermanentsのふたりがステージに戻ると、3人で“エレウテリア”を演奏。Permanentsのふたりが醸し出す繊細な静けさと、田島が発する獰猛なほどの力強さ、そのふたつが混じり合うことで生まれる豊潤な空気感。田中の「田島さん!」の声に導かれて始まった田島の激しく饒舌なギターソロも素晴らしかった。

田島がステージから離れると、田中は「幸せな夜が人生の中で何回かあるんですけど、また更新しました」と、この夜の幸福を噛み締めていた。再びPermanentsふたりだけでの演奏へと戻り、「この曲だけはやっておかなければいけない」と、ORIGINAL LOVE“ORANGE MECHANIC SUICIDE”のカバーを披露した。そして、続く“こぼれる”はこの夜で唯一、田中がエレキギターを持った1曲で、田島とはまた違った、ノイズの奥に静寂を感じさせる演奏を披露。次の“小宇宙”は、高野が奏でる様々な音色が田中の歌をドラマチックに彩りながら、その曲名のような深淵を演出する。そして、「皆さん、ライブに行きたくても行けなかったんですよね? なんか、あれやな……」と、田中がなにかを言いかけて口をつぐむ。田中がなにを言おうとしたのかはわからないが、とにかく曲をやれば自分の想いは伝わると思ったのだろう。そして、本編最後を飾る“smalltown, superhero”へと至った。

田中和将
田中和将
高野勲
高野勲

アンコールでは冒頭にも書いたように、再び田島もステージに上がり、3人で“ピカロ”を演奏。田中、高野、そして、田島。彼らの声が、音が、出会い、重なり、「合奏」という奇跡が生まれる。1曲のなかで、風に揺れる波のように、木々のように、グラデーションを描くように鳴りを変えていくセッション感溢れる演奏。それは、奇跡がいかに奇跡であるかをダイレクトに伝えるような演奏だった。こうして、我々の目の前に唐突に表れたこの「非日常」の夜は、深くじんわりと染み入るような余韻を残し、終わりを告げた。

Permanentsと田島貴男
Permanentsと田島貴男

もちろん、僕にもあなたにも「日常」がある。昨日も、今日も、明日も。簡単にそこから逃げ出すことはできない。しんどいこと、煩雑なこと。たくさんの情報、たくさんの嘘。考えなければいけないこと、悲しいことムカつくこと、目を背けたくても、やっぱり見つめるべきこと……いろんなことがある。しかし、そんな日常の中に現れた、美しい「非日常」のような時間。激しく、艶っぽく、確かな体温のある時間。周囲にあるあれこれのすべてを断ち切って、歌と旋律とリズムがあり、ただ、自分がいる……そんな単純なことだけを、単純な心で許せるような時間。優しい時間。Permanentsと田島貴男の厚みのある演奏を聴いている間は確かに、そんな時間が流れていた。いつもこうじゃなくてもいい。それでも自分の人生には、こんな時間が時折、絶対にあってほしいと、ライブを観終えたときに思ったのだった。

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イベント情報

『Permanents A ZIG/ZAG SHOW Supported by UNITED FOR MUSIC』

2020年9月25日(金)
出演:Permanents(田中和将&高野勲 from GRAPEVINE)
ゲスト:田島貴男(ORIGINAL LOVE)
料金:前売3,000円 当日3,500円

『GRAPEVINE FALL TOUR』

2020年11月1日(日)
会場:神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール

2020年11月3日(火・祝)
会場:大阪府 オリックス劇場

2020年11月7日(土)
会場:東京都 中野サンプラザ

料金:各公演 指定6,000円

『田島貴男 ひとりソウルツアー2020』

2020年10月3日(土)
会場:静岡県 LiveHouse浜松 窓枠

2020年10月17日(土)
会場:神奈川県 Yokohama Bay Hall

2020年10月31日(土)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2020年11月8日(日)
会場:福岡県 DRUM Be-1

2020年11月21日(土)

会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST

※生配信あり

2020年11月23日(月・祝)
会場:愛知県 NAGOYA CLUB QUATTRO

2020年11月28日(土)
会場:大阪府 なんばHatch

料金:各公演5,500円(ドリンク別)

プロフィール

Permanents(ぱーまねんつ)

GRAPEVINEのボーカリスト田中和将(Vo/Gt)とキーボーディスト高野勲(Key)のロック・デュオ。GRAPEVINEのレパートリーや、敬愛するミュージシャンのカバーを演奏します。気儘な編成ゆえ多彩なミュージシャンとセッションを重ねてきたのも彼らの持ち味です。

田島貴男(たじま たかお)

85年に結成した田島を中心とした前身バンドが87年にORIGINAL LOVEと改名。91年にORIGINAL LOVEとして『LOVE!LOVE!&LOVE!』でメジャーデビュー。2019年2月ORIGINAL LOVEで新作「bless You!」をリリースしました。
またバンド形態での表現だけではなく田島貴男としてフットストンプやフットタンバリンも使用した独自の「弾き語り」、「ひとりソウルショウ」などのスタイルでもライヴを行っています。

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