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無観客でもファンに語りかける 2つの視点で見たWANIMAライブ

WANIMA『COMINATCHA!! TOUR FINAL LIVE VEWING ZOZO MARINE STADIUM』
テキスト
小川智宏
矢島大地
編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)
無観客でもファンに語りかける 2つの視点で見たWANIMAライブ

(メイン画像:Photo by 瀧本JON...行秀)

2020年9月22日、WANIMAがZOZOマリンスタジアムで無観客ワンマンライブ『COMINATCHA!! TOUR FINAL LIVE VEWING ZOZO MARINE STADIUM』を開催。10万人が参加したこのライブは、インターネット配信だけでなく、映画館とライブハウスでもライブビューイングが行われ、よりファンの多様な楽しみ方ができる形態になっていた。このライブの模様を、WANIMAをよく知る2名のライターがレポート。映画館とライブハウス、別々の会場にいた2人は、このライブからなにを感じ取ったのだろう。

「再びゼロ距離でともに歌えるその日までの固い約束」テキスト:小川智宏

昨年10月23日にリリースされたWANIMAの2nd ALBUM『COMINATCHA!!』。バンドが持っていた音楽の引き出しを一気に開いたようなこのアルバムを携えて、彼らがツアーをスタートさせたのが11月5日のことだ。初日の新木場スタジオコーストから始まった「ライブハウス・ホール編」を経て今年1月29日の横浜アリーナを皮切りに突入した「アリーナ編」で、大阪、新潟、福岡と全国の大会場で最高の空間を生み出してきた。しかし、ご存知のとおり世界中で猛威をふるい始めた新型コロナウイルスの影響で、ツアーはここで止まることを余儀なくされた。

WANIMA『COMINATCHA!!』を聴く(Apple Musicはこちら

しかしそこからWANIMAはすぐに次のアクションを始めた。ツアー中止を決めたその日から、すぐにツアーでも披露していた新曲のレコーディングに着手。最速で配信リリースされた“春を待って”は、中止になってしまった16の公演に参戦しようとしていたファン、そしてこのコロナ禍の中で苦しい思いをしている全ての人に向けた、WANIMAからのメッセージだった。そのあとも彼らは楽曲のリリースはもちろん、SNSを駆使して情報とエンターテイメントを発信し、チャンスがあればテレビやラジオを通して自分たちの音楽を届けてきた。ツアーができないからこそ、ライブができないからこそ、今できることに全力で取り組んできたのだ。

そして、中止からじつに半年以上が経った9月22日、ついに止まっていたツアーの「ファイナル」が開催された。WANIMAがZOZOマリンスタジアムから届ける無観客ワンマンライブ『COMINATCHA!! TOUR FINAL LIVE VEWING ZOZO MARINE STADIUM』。インターネットでの配信だけでなく、全国286の映画館と12のライブハウスでのライブビューイングも実施され、全国のファンのできるだけ近くで繰り出されたライブには、3人が2月から今まで抱えてきた思いの全てが注ぎ込まれていた。

KENTA(Photo by 瀧本JON...行秀)
KENTA(Photo by 瀧本JON...行秀)

開演時間の19時になると映像が切り替わり、スタジアムの全景が映し出される。スタジアム中に配置された2万5千本のサイリウムがカラフルに光を放ちスタンド全体に「COMINATCHA !! TOUR FINAL」の文字が映し出され、“COMINATCHA!!のテーマ”が流れ出すと、そこにKENTA、KO-SHIN、FUJIの3人が登場。「COMINATCHA!! TOUR FINAL、ZOZOマリンから開催しまーす! 見とるか!」というKENTAの呼びかけとともに、ライブは“JOY”からスタートした。“Japanese Pride”に“BIG UP”……序盤から、降り続く雨をものともしない怒涛の展開だ。

「ZOZOマリンスタジアム、めちゃくちゃ楽しいです、ありがとう!」とKENTAがオーディエンスに語りかける。ライブでの彼はいつもお客さん一人ひとりの目を見るように語りかけるが、この日は直接顔を合わせられないぶん、いっそう丁寧に言葉を重ねているように見えた。自宅、映画館、ライブハウス、それぞれの場所でこのライブに参加している一人ひとりに向けて「いつもと違う夏をどんな感じでお過ごしでしょうか?」と問いかけて始まる“夏のどこかへ”。さらに“GONG”を挟んで、KENTAが語り始める。「遠くに行ってしまったお祖母ちゃんに向けて書いた歌をやります、たぶん今もどっかで見とるはずだから」――そうして演奏されたのは“Mom”。さらに強まったように見える雨に打たれながら、思いの丈を広く、遠く届けていくKENTAの歌。スタジアムのスケール感と曲に込めた感情が相まって深い感動を覚えるシーンだった。

FUJI(Photo by 瀧本JON...行秀)
FUJI(Photo by 瀧本JON...行秀)

ライブ中盤ではメンバーが“Baby Sniper”を歌いながら花道の先に作られたセンターステージに移動し、3人で向かい合うポジションで演奏。新曲“Milk”、“渚の泡沫”、そして“いいから”。ステージを取り囲むようにセッティングされたカメラによるリアルタイル360°映像が、配信ライブならではのインパクトを生み出す。そして、「今見てる場所からともに歌ってもらってもいいですか?」というKENTAの言葉からWANIMAとファンを結ぶ1曲“ともに”を届ける。メンバー3人がお互いを鼓舞するように鳴らし出す音がひときわ力強く響いた。

終盤、「俺らもライブ中止になったけど、みんなもいろいろあったと思う。これからもWANIMAとともに生きていってほしいと思います。いつも大丈夫とは言わんけど、今日は言わせてください。大丈夫やから。生きとったらなんとかなるから」と語ったKENTAが歌い始めた“りんどう”に、この日の「ツアーファイナル」に込めた思いが全て込められていた。全身全霊で歌うKENTA、気持ちの入ったギターを弾くKO-SHIN、雨に時折顔をしかめながらもスティックを思いっきり振り続けるFUJI。生のストリングスセクションも参加した温かみのあるサウンドが心に響く。本編ラストは一転してアッパーな“GET DOWN”で3人の笑顔が弾ける。曲の終わりには3人の後ろに大輪の花火がいくつも上がり、その色とりどりの花を見上げるKENTAの姿が印象的だった。

KO-SHIN(Photo by 瀧本JON...行秀)
KO-SHIN(Photo by 瀧本JON...行秀)

と、そこに流れたカウントダウンの映像。「緊急告知」の文字に続いて明らかにされたのは、このライブの翌日に新作ミニアルバム『Cheddar Flavor』をリリースするというサプライズだった。いうまでもなく、ここまで発表を伏せつつリリースの準備をするのには、多くの人の協力が必要だった。WANIMAの思いが実現させた前代未聞のサプライズリリースに、KENTAも「ヤバくない?」とはしゃいでいる。

そしてその新作から重たいリフとリズムが引っ張るパワフルなタイトル曲“Cheddar Flavor”を披露。続いてこの日最後に演奏されたのは、今年ここまでのWANIMAの始まりとなった“春を待って”だった。前と同じようにゼロ距離でともに歌える「春」が来るその日までの約束の歌。「応援するから、応援してくれよ!」。WANIMAとファンの関係を一言で言い表したようなKENTAの言葉とともに、日本全国を巻き込んだライブは終わりを告げたのだった。

『Cheddar Flavor』ジャケット
『Cheddar Flavor』ジャケット(Amazonで購入する
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ライブ情報

『WANIMA「COMINATCHA!! TOUR FINAL LIVE VIEWING ZOZO MARINE STADIUM』

2020年9月22日(火・祝)
19:00開演
会場(映画館):47都道府県286劇場

リリース情報

『Cheddar Flavor』
WANIMA
『Cheddar Flavor』(CD)

9月23日(水)発売
価格:2,420円(税込)
WPCL-13209

1. Call
2. LIFE
3. 枯れない薔薇
4. SHADES
5. Cheddar Flavor
6. 春を待って
7. Faker
8. となりに
9. Milk

プロフィール

WANIMA
WANIMA(わにま)

KENTA、KO-SHIN、FUJI。2010年結成。東京都在住熊本県出身3ピースロックバンド。2014年10月に1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』でデビュー。軒並み大型音楽フェスへの出演を果たし、いくつもの入場規制を記録。2015年11月に1stフルアルバム『Are You Coming?』をリリース。オリコンデイリーアルバムチャートでは11月4日付で1位、週間チャート4位を獲得し、iTunesチャートでも首位を獲得。翌年16年のFUJI ROCK、ROCK IN JAPAN FESといった全国の大型フェスのメインステージに立つ。17年3月には10万人を超える応募が殺到した、さいたまスーパーアリーナの自身初となるワンマンを大成功させ、日本を代表するロックバンドへと急成長を遂げた。同年にWarner Music Japan内レーベル:unBORDE(アンボルデ)と新たにタッグを組み、同年末には「第68回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。2018年1月17日に全14曲を収録した待望のメジャー1stフルアルバム「Everybody!!」(読み:エビバデ)をリリース。オリコンウィークリーチャート1位(1月29日付)やiTunes週間アルバム・ランキング1位(1月15日-1月21日)など、様々なチャートで首位を獲得しその数は6冠を記録!! 現在35万枚を超える大ヒット作品となっている。2019年10月23日(水)にメジャー2ndフルアルバム「COMINATCHA!!」(読み:カミナッチャ)をリリースしオリコンウィークリーアルバムチャートにて2作連続1位を獲得。更に自身過去最大となる25万人を動員する全国ツアー「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」を開催(新型コロナウィルス感染拡大防止の為一部公演中止)。その活動は止まる事はなく、2020年にはツアーのみで披露していた「春を待って」を3月12日に緊急配信、6月15日には最新曲「Milk」を配信し各チャートで1位を獲得。9月22日には初の無観客ライブ「COMINATCHA!! TOUR FINAL LIVE VIEWING ZOZO MARINE STADIUM」を開催。この模様は全国の映画館286劇場、12箇所のライブハウスでの「ライブビューイング」と「配信ライブ」で届けられ視聴者数はおよそ10万人を記録。この公演の中で翌日9月23日(水)に2nd MINI ALBUM「Cheddar Flavor」をサプライズリリースをすることが発表され大きな話題となった。良いところばかりつまんで書いたが1番伝えたい事は今の3人の音楽、人柄に触れて欲しい。

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