レビュー

大友克洋もビジュアルで参戦。世界最大級の自由すぎるジャズフェスが日本上陸

柳樂光隆
大友克洋もビジュアルで参戦。世界最大級の自由すぎるジャズフェスが日本上陸

名演を生み出させる、マジカルで世界最大級のジャズフェスティバルが東京へ

スイスにあるレマン湖畔の街・モントルーで1967年から毎年開催されている世界最大級のジャズイベント『モントルー・ジャズ・フェスティバル』。このフェスを知らないジャズファンはいないだろう。マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス、マリーナ・ショウ、ロイ・エアーズなど、数え上げればきりがないほどの名演がこのフェスティバルで生まれ、その模様を収めたライブ盤はいずれも後世に語り継がれている。レイ・ブライアントによる1972年のピアノ演奏を収めた『アローン・アット・モントルー』のように、アーティストの代表作を生み出してしまうマジカルな場所としても知られており、まさに世界最高のジャズフェスティバルと言っていいだろう。


また同フェスティバルは、19世紀末に生まれたジャズが、時代と共振しながら、ソウル、ファンク、ロック、ワールドミュージックなどと結びつき、ジャズロックやフュージョンといった派生ジャンルが生まれ、進化する姿をリアルタイムに反映させてきた歴史もある。それによって出演アーティストもジャズに限らず、より開かれた音楽フェスティバルとして発展し続けてきた。2015年はハービー・ハンコックやチック・コリアと共に、D'ANGELOやジェームス・ブレイク、Alabama Shakesが出演している。

その『モントルー・ジャズ・フェスティバル』のスピリッツを受け継ぐ『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2015』が、10月1日から25日まで都内各所で開催される。「ジャズ」をキーワードにしながらジャンルの壁を超え、本家を凌ぐほど、自由に音楽を奏でる様々なミュージシャンやDJがステージを彩る都市型のフェスティバル。先日、漫画家の大友克洋がキービジュアルを描き下ろしたことでも話題になったので、知っている人も多いだろう。恵比寿のLIQUIDROOM、代官山のUNIT、晴れたら空に豆まいて、南青山のBLUE NOTE TOKYOの4つの会場を拠点に12公演を行う。

大友克洋が描き下ろした『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2015』キービジュアル
大友克洋が描き下ろした『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2015』キービジュアル

シーンに影響を与え続ける大物DJ、ジャイルス・ピーターソンや、注目のミュージシャンら37組が集結

まず注目なのが10月1日のオープニングイベント、恵比寿・LIQUIDROOM『Opening Night by ARBAN』に出演する、MOCKYとCHASSOLだ。Feistやジェイミー・リデルのプロデュースでも知られるMOCKYは、巧みにジャズを取り込んだ作風のシンガーソングライター。最新作アルバム『Key Change』では、Flying LotusやHIATUS KAIYOTEも共演を熱望したヴィオラ奏者、ミゲル・アトウッド・ファーガソンや、フランスのピアニスト、チリー・ゴンザレスらが参加して話題となったMOCKYの来日は最大のトピックと言ってもいいだろう。


一方、CHASSOLは新世代ジャズのガイドブック『Jazz The New Chapter 3』(2015年、シンコーミュージック)でも大きく取り上げられた、フランスの奇才だ。セバスチャン・テリエやPhoenixのサポートでも知られる彼は、コラージュされた自然音や映像作品に合わせてハーモニーをつけながら演奏するという独自のパフォーマンスが特徴だ。特殊な演奏法ながら、そのサウンドは映像的でじつに美しいもの。まるで音楽の妖精のように音と戯れる姿は見逃せない。MOCKY、CHASSOL、共にジャンルを超越した音楽性ながら、ジャズを感じさせるDNAも息づいているのが、じつに『モントルー・ジャズ・フェスティバル』らしい。

CHASSOL
CHASSOL

さらに、10月10日に代官山・UNITで行われる『ARBAN Club』では、ベルギーのニーナ・シモンとも評されるボーカリスト、メラニー・デ・ビアシオから、アシッドジャズの伝説的グループGallianoの中心人物としてクラブジャズシーンを牽引してきたロブ・ギャラガーのソロプロジェクトEARL ZINGER、United Future Organizationの松浦俊夫がKan Sano、伊藤志宏らの敏腕ミュージシャンの生演奏を軸にポストクラブジャズとも言えるサウンドを聴かせるユニットHEXと、様々な形で広い意味での「ジャズ」を表現してきたアーティストが顔を揃える。そして、その両日でDJを務めるのは、1980年代から常に新しいジャズを発信し、音楽シーンに大きな影響力を与え続ける大物DJ、ジャイルス・ピーターソンだ。


ジャイルス・ピーターソン
ジャイルス・ピーターソン

ダブステップ、バレアリック、フォークシンガー……、狭義の「ジャズ」にとらわれず、トレンドもおさえたフェス

かと思えば、10月19日~10月25日には、デヴィッド・サンボーンやジョン・マクラフリンといった、ジャズ / フュージョンの大物ミュージシャンをBLUE NOTE TOKYOでゆったり楽しむことができたり、10月11日の代官山・UNITでは、日本人としてはじめてアメリカのBlue Note Recordsと契約したトランぺッター、黒田卓也もオマージュ曲を作るなど、現代のジャズミュージシャンに影響を与えるダブステップのパイオニア、MALA & COKIのエッジの利いたサウンドを楽しめる。

EDDIE C
EDDIE C

MALA & COKI
MALA & COKI

その他にも、10月2日の恵比寿・LIQUIDROOMでは、あらゆるジャンルを掘りまくるUK最強のヴァイナルディガーにしてバレアリックの伝道師PSYCHEMAGIK や、カナダ出身のニューディスコマスター、EDDIE Cがダンスフロアを心地よいサウンドで彩り、10月9日の代官山・晴れたら空に豆まいてでは、各国のメディアから注目を集めはじめている19歳の天才シンガー、フロー・モリッシーによる夢見心地のUKフォークをプライベートな距離の空間で聴くことができる。

フロー・モリッシー
フロー・モリッシー

バラエティーに富んでいるだけでなく、絶妙にトレンドのツボもおさえたラインナップを、それぞれのアーティストにぴったりの環境で楽しむことができるこのフェスは、どんなジャンルを好むリスナーでも必ず楽しめる瞬間が用意されていると言っても過言ではない。普段ライブやクラブをその日の気分でチョイスしてふらっと立ち寄るのと同じ感覚で、世界最高のジャズフェスティバルを楽しんでみてはいかがだろう。

イベント情報

『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2015』
『モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2015』
『Opening Night by ARBAN』

2015年10月1日(木)START 19:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:
GILLES PETERSON
TOSHIO MATSUURA
MOCKY
CHASSOL
MAMA!MILK
料金:前売6,500円 当日7,000円(共にドリンク別)

『RAINBOW DISCO CLUB』

2015年10月2日(金)START 23:30
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:
PSYCHEMAGIK
EDDIE C
77KARAT GOLD
CHIDA
KIKIORIX
SISI
TORU HASHIMOTO
料金:前売3,500円 当日4,000円

『晴れたら空に豆まいて』

2015年10月9日(金)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 代官山 晴れたら空に豆まいて
出演:
FLO MORRISSEY
青葉市子
料金:前売4,000円 当日4,500円(共にドリンク別)

『ARBAN Club』

2015年10月10日(土)START 23:30
会場:東京都 代官山 UNIT
出演:
GILLES PETERSON
EARL ZINGER
MELANIE DE BIASIO
TOSHIO MATSUURA presents HEX
YOSI HORIKAWA
CALM
SHHHHH
DJ QUIETSTORM
RIGHTEOUS
KILLER-BONG
NAO
DJ K.E.G
料金:前売4,000円 当日4,500円

DBS 19th Anniversary
『MALA & COKI -Digital Mystikz』

2015年10月11日(日)START 23:30
会場:東京都 代官山 UNIT
出演:
MALA & COKI
MAMADOU DOUMBIA
GOTH-TRAD
HELKTRAM
DJ INZA
SIVARIDER
DJ DON
TETSUJI TANAKA
SHINTARO
料金:前売3,300円 当日3,800円

『MJFJ PREMIUM LIVE FEAT. DAVID SANBORN -TIME AND THE RIVER-』

2015年10月19日(月)~10月22日(木)
会場:東京都 南青山 BLUE NOTE TOKYO
出演:DAVID SANBORN
料金:各回10,800円

『MJFJ PREMIUM LIVE FEAT. JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENSION』

2015年10月23日(金)~10月25日(日)
会場:東京都 南青山 BLUE NOTE TOKYO
出演:JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENTION
料金:各回8,800円

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

yahyel“TAO”

音楽と映像、そしてその相互作用によって完成するyahyelの芸術表現が完全に別次元に突入したことを証明するミュージックビデオ。クライムムービーとそのサントラのような緊迫感に終始ゾクゾクする。一体いつ寝てるんですかと聞きたくなるが、監督はもちろん山田健人。「崇高」という言葉を使いたくなるほどの表現としての気高さに痺れる。(山元)

  1. 漫画家・鳥飼茜が浅野いにおとの結婚を報告、日記公開 1

    漫画家・鳥飼茜が浅野いにおとの結婚を報告、日記公開

  2. 『このマンガがすごい!』OP曲はアンジュルム、蒼井優がOP映像で振付披露 2

    『このマンガがすごい!』OP曲はアンジュルム、蒼井優がOP映像で振付披露

  3. 後藤正文主宰only in dreamsのイベント『Gifted』11月開催、第1弾で10組 3

    後藤正文主宰only in dreamsのイベント『Gifted』11月開催、第1弾で10組

  4. 高畑充希主演ドラマ『忘却のサチコ』に温水洋一がゲスト出演&ED曲はedda 4

    高畑充希主演ドラマ『忘却のサチコ』に温水洋一がゲスト出演&ED曲はedda

  5. 勝地涼×澤部佑 深夜の大人向けNHK教育番組『ジミーとふしぎな雑誌たち』 5

    勝地涼×澤部佑 深夜の大人向けNHK教育番組『ジミーとふしぎな雑誌たち』

  6. Corneliusが世界で認められるまで。海外進出のカギは何だった? 6

    Corneliusが世界で認められるまで。海外進出のカギは何だった?

  7. 『新潮45』が休刊、「十分な編集体制を整備しないまま刊行」 7

    『新潮45』が休刊、「十分な編集体制を整備しないまま刊行」

  8. 『フェルメール展』に日本初公開含む9点が来日 『牛乳を注ぐ女』も 8

    『フェルメール展』に日本初公開含む9点が来日 『牛乳を注ぐ女』も

  9. 堀未央奈×清水尋也×板垣瑞生×間宮祥太朗 山戸結希監督『ホットギミック』 9

    堀未央奈×清水尋也×板垣瑞生×間宮祥太朗 山戸結希監督『ホットギミック』

  10. 「女の子は皆めんどくさい」コレサワが伝える、女子の本性と本音 10

    「女の子は皆めんどくさい」コレサワが伝える、女子の本性と本音