レビュー

『グッドデザイン賞』受賞作が勢揃い。20万人が訪れる『G展』開催

テキスト
島貫泰介
『グッドデザイン賞』受賞作が勢揃い。20万人が訪れる『G展』開催

『グッドデザイン賞』の受賞作が一堂に会する『G展』、今年も10月30日より開幕

発足59年目を迎えた『グッドデザイン賞』。今年も日用品、建築、ソフトウェア、地域プロジェクトなどから1000件を超える受賞作品が選定され、10月30日より東京ミッドタウンで始まる『グッドデザインエキシビション2015(G展)』に展示される。

『グッドデザイン金賞』などの各特別賞の受賞作は初日の30日、そして『デザイン・オブ・ザ・イヤー』にあたる『グッドデザイン大賞』は最終日の11月4日に大賞候補の中から審査委員、『グッドデザイン賞』受賞者、受賞展来場者の投票により選ばれ、発表される。毎年、国内外から約20万人の来場者が訪れる『G展』は、デザイナーたちが熱く燃えるデザインの祝祭と言えるだろう。さて、今年はどんな作品が2015年の顔に選ばれるだろうか?

『G展』への無料招待も。参加型スペシャルサイト「MEETinG」

今年の『G展』のテーマは「MEETinG=出会い」である。メインビジュアルは、整然と並ぶ真っ赤のカードのなかに1枚だけめくられた札があり、そこにおなじみのGマークのロゴが刻印されているというもの。神経衰弱ゲームの一幕のようなビジュアルには「デザインとの思いがけない出会い」「デザインに込められた意志とのふれあい」を生む場として『G展』が機能していくことが意図されているという。

『グッドデザインエキシビション2015(G展)』メインビジュアル
『グッドデザインエキシビション2015(G展)』メインビジュアル

「出会い」を生む仕組みは、これだけではない。10月14日にローンチされた参加型スペシャルサイト「MEETinG」では、お気に入りの受賞作を友人間でシェアしたり、人気ランキングに参加したりすることもできる。また、第一線で活躍する約70人の審査委員が選ぶお気に入りの一品の紹介も。サイト参加者は、もれなく『G展』に無料招待されるというお得な特典も魅力だ。

一方通行で終わらない、双方向のコミュニケーションデザインはここ数年の世界的な潮流だが、より踏み込んだ出会いと共同性を『グッドデザイン賞』が押し出そうとしているのは時代の必然と言えるだろう。スペシャルサイトと同名の新テーマ「MEETinG」は「ミーティング」と読む。『G展』との出会い、そして、より大きな意味での人や物や事との出会いを意味するテーマに込めた想いは、強く、広い。

これからのデザインを暗示する「フォーカス・イシュー」の導入

ここからは、『グッドデザイン・ベスト100』に選ばれた受賞作のいくつかと、同時に今回の『G展』の新しい取り組みを紹介していこう。

今回特に大きく変わったのは「フォーカス・イシュー」の導入である。これは、『グッドデザイン賞』自らが「日本社会が世界に先駆けて向き合わなければならない課題」「これから人々の大きな関心事となって社会を動かしていくと予想される課題」=イシューを設定し、応募対象を評価するシステム。今回は12のイシューをもとに特別チーム(フォーカス・イシュー・ディレクター)による議論を経て、『G展』内で「提言」として発表される。

例えば、マツダブランドの象徴でもある「マツダ ロードスター」。今年4代目のモデルチェンジを果たしたこの名車には「社会基盤・モビリティ」「生活様式・文化」の2つのイシューとの関係性が注目された。自動車が流通と移動の基盤をなす現代社会において、「社会基盤・モビリティ」のイシューはわかりやすい。同時に四半世紀以上の歴史を持つロードスターは、人が車を楽しむ感覚や文化を育んできた立役者でもある。その意味で、ロードスターによって生み出されたライフスタイルや趣向性は、私たちの「生活様式・文化」にも変化を与えている。

乗用車 [マツダ ロードスター] / マツダ株式会社
乗用車 [マツダ ロードスター] / マツダ株式会社

このように複数のイシューの設定によって、デザインを造形や機能の観点からだけでなく、社会的な意義やデザインの波及性という点からも読み替え直すことができるのがフォーカス・イシューの面白いポイントだ。そういった読み替えが可能になるからこそ、ソニー株式会社の「MESH」のような、専門知識を持たない人でも直感的にプログラミングできるスマートDIYプラットホームもデザインとして考えることができる(MESHは「情報・コミュニケーション」「先端技術」「教育・伝習」の3つのイシューから注目された)。

スマートDIYプラットホーム MESH / ソニー株式会社
スマートDIYプラットホーム MESH / ソニー株式会社

あるいは、バスケットコート全面を覆うLEDディスプレイと、人の動きをリアルタイムに認識するモーショントラッキング技術を組み合わせ、テレビゲームのような視覚体験を現実空間にリアライズさせる「ナイキ ライズ “House of Mamba”LEDコート」は「先端技術」「教育・伝習」の2つのイシューによって注目された。

インタラクティブLEDバスケットコート ナイキ ライズ “House of Mamba” LEDコート / 株式会社ライゾマティクス + AKQA inc.
インタラクティブLEDバスケットコート ナイキ ライズ “House of Mamba” LEDコート / 株式会社ライゾマティクス + AKQA inc.

フォーカス・イシューは、優れたデザインを評価するだけでなく、そのデザインが「どのように」使えるかを示唆する、視点の提案でもあるのだ。

この他にも、3日間にわたり『グッドデザイン・ベスト100』に選ばれたデザイナー100人が登壇する「ベスト100デザイナーズプレゼンテーション」や、受賞対象を用いたワークショップ、体験コーナーも。また、ロングライフデザイン活動家・ナガオカケンメイが主宰するD&DEPARTMENTとのコラボレーションで、長年にわたって人々から親しまれるデザインに贈られる『グッドデザイン・ロングライフデザイン賞』の受賞作展示。さらに受賞作を見るだけでなく買うこともできるスペシャルショップも期間限定でオープンする。

今年の『G展』は、単にデザインを表彰し、鑑賞するだけの場ではなくなるだろう。ここで問われるのは「私たち」と「デザイン」がどんな関係を構築できるか、という大きな問いだ。受動的にデザインの恩恵を受けるのではなく、能動的にデザインの意義を考え、自分ならではの方法を見つけて活用してみる。そんな双方向的な「出会い」の場、「MEETinG」の場へと、『G展』は進化するはずだ。

イベント情報

『グッドデザインエキシビション2015(G展)』
『グッドデザインエキシビション2015(G展)』

2015年10月30日(金)~11月4日(水)
会場:東京都 六本木 東京ミッドタウン
時間:11:00~20:00(初日は13:00から、最終日は17:30まで、入場は閉館の30分前まで)
料金:1,000円

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

君島大空“遠視のコントラルト”

屈折したイノセンスが爆発するような、君島大空の“遠視のコントラルト”のMV。『The Bends』の頃のRadioheadのようなギターとセンシティブに揺ぐボーカルが描き出す、ピュアでまばゆい楽曲世界にクラっとくる。松永つぐみが手がけた映像も素晴らしく、実験映像的なカットを重ね、儚く消え入りそうな繊細で美しい才能を見事に切り取っている。爆音で凝視してほしい。
(山元)

  1. あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る 1

    あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る

  2. NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも 2

    NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも

  3. 宮本浩次が感情を露わに車を運転する“冬の花”PV公開 監督は児玉裕一 3

    宮本浩次が感情を露わに車を運転する“冬の花”PV公開 監督は児玉裕一

  4. エロか、フェチか。外林健太と青山裕企が、女性ばかりを撮る理由 4

    エロか、フェチか。外林健太と青山裕企が、女性ばかりを撮る理由

  5. 多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM 5

    多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM

  6. 『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組 6

    『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組

  7. Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察 7

    Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察

  8. CHAIは世の中にPUNKを掲げる。皆がなりたい自分になれるように 8

    CHAIは世の中にPUNKを掲げる。皆がなりたい自分になれるように

  9. 椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」 9

    椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

  10. ビル・エヴァンス生誕90周年 生涯辿る記録映画『タイム・リメンバード』 10

    ビル・エヴァンス生誕90周年 生涯辿る記録映画『タイム・リメンバード』