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だいぶ認知度が上がってきた「コンテンポラリーダンス」だが、それでも「どうもダンスはよくわからないものを延々と見せられそうでちょっと」と、苦手意識を持っている人も少なからずいるだろう。コンテンポラリーアートには興味のある読者でも、ダンスとなると興味がないか、興味はあるがどこから入ったらいいかわからないか、さしあたり興味のあるフリだけはしておくか、という人も多いのではないだろうか。

最近はダンサーとアーティストのコラボレーションも盛んで、美術館や展覧会などでの公演も多い。しかし「そもそもなにを見たら良いかわからない……」そんな人にオススメなダンスフェスティバルが3年に一度、青山周辺で行われている『ダンストリエンナーレトーキョー』である。国際的なダンスフェスティバルとしては日本最大級。世界最先端の優れたダンスをまとめて見られる貴重な機会だ。そして今年の開幕を飾るのがフランスのナセラ・ベラザ。彼女には、先だって記者会見のために来日した際に話を聞いた。その話を通して、様々な角度から「ダンスの快楽」に浸れる『ダンストリエンナーレトーキョー2012』の魅力に触れていこう。

PROFILE

ナセラ・ベラザ
アルジェリア生まれ、5歳でフランスに移住。フランス文学を勉強した後、ダンスに専念することを決意し、1989年にカンパニーを結成。フランスにおいては、モンペリエ、セーヌ・サンドニ、アヴィニヨン、リヨンのダンス/演劇フェスティバルに招待され、ヨーロッパ他、アフリカ、アジア、北米で作品を上演、演劇や映画においても活躍している。2008年フランス演劇・音楽・舞踊批評家組合「驚嘆すべき振付賞」、2009年ケベックLa Danse「最も情緒のある作品賞」を受賞。

そもそもコンテンポラリーダンスって?


「そもそもコンテンポラリーダンスってどんなもの?」という声をよく聞くが、これが実は答えにくい質問だ。バレエやヒップホップのような、特定のダンススタイルを指す言葉ではないからである。定義しづらいというよりも、定義されたとたんにするりと身をかわすダイナミズムこそが、コンテンポラリーダンスの特徴だといえる。そうやってあらゆる周辺ジャンルの要素を取りこみながら、融合し、拡散し続けているのである。


ヨンスン・チョ・ジャケ ©Samuel Rouge
ヨンスン・チョ・ジャケ ©Samuel Rouge

逆にいえば広義にはバレエだってヒップホップだって、今あるダンスは全てコンテンポラリー(同時代)ダンスなのである。日本舞踊もタップダンスもコンテンポラリーダンス。今回の『ダンストリエンナーレトーキョー2012』で上演される作品の多彩さを見れば、その幅の広さがよくわかるだろう。ベルギーダンスの雄アラン・プラテルは、2009年に惜しまれつつ世を去った演劇的ダンスの巨人ピナ・バウシュへのオマージュ作品。いまや世界に冠たるダンス大国となったイスラエルから来日する、ヤスミン・ゴデールとアルカディ・ザイディスは、人間の深いところをザクザクとエグるようなダンス作品で魅せる。


ヤスミン・ゴデール ©Tamar Lamm
ヤスミン・ゴデール ©Tamar Lamm


アジアから南米、さらに日本の新世代までを紹介


また昨今の伸長が著しいアジアやブラジルのダンスにも焦点を当てており、男だけどバレエの白いチュチュを着てしゃべくりながらパフォーマンスをする韓国のチェ・チンハンもいれば、大人数を怒濤のように動かすブラジルのリア・ロドリゲスもいる。自ら様々なパフォーマンスをするオランダ在住のピアニスト向井山朋子がドイツの振付家ニコル・ボイトラーや世界的に著名な照明作家ジャン・カルマンと組んだ新作や、近藤良平、珍しいキノコ舞踊団といった国際的にも評価が高い日本の中堅世代も登場する。さらに田畑真希や川村美紀子、21世紀ゲバゲバ舞踊団など、日本の新しい世代もラインナップされている。彼らはユーモアや毒で作品を満たしながらもしっかりと強い身体性に裏打ちされた、若手期待の星たちである。


伊藤千枝/珍しいキノコ舞踊団 ©Hiraku Ikeda
伊藤千枝/珍しいキノコ舞踊団 ©Hiraku Ikeda

会場はほとんどが青山円形劇場とスパイラルホールを中心に歩いて行ける圏内にあり、イベントのハシゴも容易だ。やはり近所のシアター・イメージフォーラムでは、国内外のダンス映像作品をザッと上映する。ワークショップや講演など、どっぷりダンスに浸れる3週間である。

乗越たかお

作家・ヤサぐれ舞踊評論家。06年にNYジャパン・ソサエティの招聘で滞米研究。ベストセラーとなった『コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER』(作品社)、『どうせダンスなんか観ないんだろ!?』(NTT出版)、『ダンス・バイブル』(河出書房新社)他著書多数。
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