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自分たちで「営業」もする、DIYなバンド「空中ループ」前編
インタビュー・テキスト:進行:加藤孝朗 テキスト:金子厚武 撮影:加藤孝朗(2011/12/20)
今年の10月にバンド結成以来初となるフル・アルバム『空中ループ』をリリースし、その直後に行われた『MINAMI WHEEL』では、メイン会場となるBIGCATでのライブを大成功させるなど、今まさに絶好調の空中ループ。しかし、以前までの彼らがどこのレーベルにも所属せず、完全自主で活動していたことをみなさんはご存じだろうか? 今ではインディレーベルが、メジャーのレコード会社以上の影響力を持つケースも少なくないが、完全自主となると話は別もの。結成当初はバンドの運営に関して素人同然だった空中ループが、音楽への情熱と人とのつながりだけを頼りにその名を全国区にまで広めたということは、「奇跡」と言っても決して大げさ過ぎることはないだろう。そんな彼らの活動を振り返ることは、音楽業界の関係者や若手のバンドにとってはもちろん、クリエティブな分野に携わる人なら誰にとっても、何らかのヒントとなるはずだ。
2回シリーズでお届けするこの企画、第1回は大阪HOOK UP RECORDS編。元タワーレコード梅田マルビル店のインディーズバイヤーであり、現在はHOOK UP RECORDSの店長として、文字通り若手をフックアップし続けている大阪インディーの兄貴分、吉見雅樹氏との対談をお届けする。空中ループにとってはまさに恩人とも言うべき存在であり、若手バンドに対する厳しい言葉の裏側から、音楽に対する確かな愛情が感じられる吉見氏がいなければ、今の空中ループがなかったことは間違いないだろう。現在空中ループが所属するレーベル「wonderground」の加藤孝朗氏も交えた対談は、積もりに積もった思い出話も合わさって、優に2時間を越えるものとなった。
空中ループ
2005年結成。メンバーは松井省悟(vo、g)、和田直樹(g)、森勇太(b)、さとうかおり(ds)の4人。2008年、ファースト・ミニ・アルバム『LOOP ON LIFE』でデビューし、その伸びやかで心地よいメロディ、ギター・ポップ・サウンドが注目を集める。2011年からは大谷友介、益子樹とタッグを組み、新プロジェクト「Walk across the universe」を始動させた。
‖空中ループ Official web ‖
音源もないまま、2か月後にCDリリース!?
―まずは両者の出会いからお聞きしたいのですが。
松井(Vo,Gt):2007年ですよね。関西では「これまず受けろ」って言われる『CYBER MUSIC AWARD』(現『eo Music Try』)っていうオーディションがあって、それにエントリーしたら通ったんです。それでその説明会に行ったときに、そこにいた人が「自分らでやってるんなら帰りにHOOK UP RECORDS寄ってみたら?」って教えてくれて。
吉見:それで、音源持ってきてくれたんやんな?
松井:僕が1番初めに作ったファースト・デモCD-R。それの委託販売のお願いに行って。
吉見:で、「まずはライブを見てからや」って話をして、しばらくしてからセカンドライン(大阪のライブハウス)で見たんやけど、そのときはまだドラムがおらんくて…。
松井:いや、いたんですけど、まださとう(空中ループのドラマー)はサポートメンバーだったんですよ。それでその日はさとうの都合が合わなかったんですけど、でもセカンドラインには出たかったんで、「3人でやります」って。
―そのライブを見た吉見さんの印象はいかがでしたか?
吉見:やっぱドラムがいないから、タイム感がすごい悪くて。あとそんとき打ち込みの音量がめちゃめちゃでかかった。外音のバランスとかもわかってなかったんやろうな。で、彼(松井)は声量もそんなになかったんで、口は動いてるけど歌が全然聴こえなくて、「あかんなあ」と。あとピンクの帽子を被っとって、「そのトレードマークはあかん」と(笑)。

当時の松井省悟
松井:いつも最後の曲の"その光"で帽子を落として、弦を全部切って、ギターを放って終わるっていう(笑)。
―うーん…あんまりバンドのイメージに合ってないですよね。
吉見:あれやんな? 当時の彼女にもらったとか言ってたけど、「それとこれとは別やろ」って言ったやん。2人でおるときは別に被ってええけど、ステージではおうてへんからって。でも「彼女が…」って言うから。
松井:なんかピュアっすね…覚えてないです(笑)。
―じゃあ、ライブの印象はあまり良くなくて、そのときは委託もできなかったと。
吉見:ドラム入れた編成のライブを見たいっていう話をしてたら、何故かもう年明けには「音源出す」とかって話になって…。
松井:10月にライブを見てもらって、1月に「音源をリリースしたい」って話をしに行ったんですよ。3月の中旬にVOXhallでワンマンが決まってて、そこに間に合うように流通を通してリリースしたいと。でも、その話をしに行ったのが1月12日で(笑)。
―その音源はもう出来ていたの?
松井:できてないです。「これから録ります」って。何曲入りかも決めてなかった(笑)。
―それじゃあ絶対に間に合わないよね。

和田直樹
和田(Gt):そうなんです。どんな進行で、どういう風に進めたらCDが出せるのかまったく知らないまま進めていたんですよね…。それで、結局ワンマンを延期したんですよ。ホームページ上で「すみませんでした」ってめっちゃお詫びの文章書いて、その日は自主企画にして。
松井:お正月に「3月にワンマン&CDリリース決定!」って告知してたのに、それから吉見さんのとこに相談に行って、それがあり得ないということを知って…。
吉見:「CD出す為には、これやらなあかん、これやらなあかん、必要性わかるよね? そう考えたら絶対無理やんな?」って全部教えて。まあ、こういう子らって多かったんですよ。ただ、その中で結果を残した子たちではあって、ほとんどの子らはせっかく教えたところで実際には動かないですけど、彼らはその通りやってきたんで。そっからはかなり動いたもんな?
松井:動きましたねえ、かなり。


































