特集 PR

解散の危機を乗り越え、生まれ変わったbonobosと時代の関係

解散の危機を乗り越え、生まれ変わったbonobosと時代の関係

bonobos『23区』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影・編集:山元翔一
2016/09/21
  • 144

Awesome City ClubからMARQUEE BEACH CLUBに至るまで、近年の日本のインディーシーンでは「クラブ」を名乗るバンドの数が明確に増えている。これを考察してみると、かつての一蓮托生なバンド幻想が薄れ、「バンドとは個の集まりである」という価値観へと変わりつつあることが背景にあるのかもしれない。6人組に生まれ変わったKIRINJIや、あるいはMETAFIVEのように、上の世代からもそんな空気は確かに感じられた。

2015年、bonobosが5人編成のバンドへと生まれ変わったことも、やはり「今」の時代を感じさせる出来事であった。そんな彼らの新作『23区』は、ファンクやジャズの素養を持ったメンバーの個性が見事に活かされた、紛れもない「バンド」のアルバムだ。

しかしbonobosの場合、「クラブ」よりも、取材の中で蔡忠浩が使った「ユニオン」という言葉の方がしっくりくる。それは「ユニオン」という言葉の持つ、どこか架空の国を連想させる響きが、これまで常に日常とファンタジーを描き、その中から何物にも代えがたい「生きることの美しさ」を浮かび上がらせてきたbonobosにはぴったりだからだ。それでは、メンバー5人全員によるインタビューをどうぞ。

佑司と龍ちゃんに出会ってなかったら、たぶんbonobosは解散していたと思う。(森本)

―昨年、初期からのメンバーだったドラムの辻さんが脱退して、現在の5人編成になりました(キーボードの田中佑司、ギターの小池龍平、ドラムの梅本浩亘が加入)。まずはその経緯を話していただけますか?

蔡(Vo,Gt):佑司と龍平には、辻くんがやめる前からサポートをしてもらっていて、すごくいい感じだったから「メンバーになってほしいくらいだ」って前から話していたんです。で、梅(梅本)はもともと10年以上の付き合いだしセッションをしたこともあったので、辻くんがやめることになったときに真っ先に声をかけて。そのタイミングで佑司と龍平にも「この五人で新しいbonobosを作りたい」と伝えて、今の体制になりました。

―辻さんがやめる以前から、バンド的な雰囲気が生まれつつあったんですね。

:そうですね。ちょうど同じ時期に6人になったKIRINJIにも勇気づけられたというか、かっこいいなって思ったんですよ。バンドに対して、オリジナルメンバー至上主義みたいな、変な幻想があるじゃないですか? あれってやっている側からすると関係なくて、bonobosっていう器の中で人が増えたり減ったりしてもいいと思うんですよね。これまでも基本は3ピースでやりつつ、管とか弦を入れた形で活動をしていて、bonobosには「ユニオン」みたいな感じがあったし。

左から:梅本浩亘、田中佑司、蔡忠浩、森本夏子、小池龍平
左から:梅本浩亘、田中佑司、蔡忠浩、森本夏子、小池龍平

―新メンバー三人を迎える側の森本さんは、今の編成になったことをどう捉えていますか?

森本(Ba):サポートの人って譜面を見て演奏することが多いんですけど、私はそれが嫌だったので、佑司と龍ちゃんには最初のリハで、「譜面は絶対見ないでください」って頼んだんです。そうしたら、二人とも曲をちゃんと自分の中に取り込んでくれて、その時点でメンバーみたいな雰囲気があったよね。

田中(Key):ただ、ものすごく緊張しましたけどね(笑)。最初にやったライブとか、全員ガチガチで……。

森本:緊張感と初々しさがあったよね。そういう意味でも、バンド感が戻ってきたっていうか(笑)。だから佑司と龍ちゃんに出会ってなかったら、辻くんがやめるってなったときに、たぶんbonobosは解散していたと思う。

:確かに。どうなっていたかわかんないね。

左から:蔡忠浩、森本夏子

森本:でも、二人がすでにメンバーみたいな感じでいてくれたから、だったら新しいドラムを入れようってことになって、そうなるともう梅しか考えられなかった。bonobosの活動の中心は東京で、梅は大阪在住なんですけど、それを加味しても梅しかいないなって。

―前作の『HYPER FOLK』(2014年)は、近年のチェンバーポップ路線を突き詰めた作品だったように思うんです。そこから次を目指すにあたって、変化を求めた部分もありましたか?

:いや、その前の『ULTRA』(2011年)から三部作にするつもりで、この三作目は「管弦をいっぱい入れた1トラックアルバムにしよう」って、実際に曲も作っていたんです。でも、五人でライブをやり始めて、“THANK YOU FOR THE MUSIC”(bonobosの代表曲の1つ)をリアレンジしたんですけど、それがバンドの雰囲気にも合っていたし、今のシーンに呼応するところもあって、すごくよかったんですよ。なので、1トラックアルバムの構想は一旦寝かせて、ずっと聴いてくれているお客さんに今のメンバーを紹介する意味も込めて、デビューアルバムを作るくらいの気持ちで取り組むタイミングだと思ったんです。

Page 1
次へ

リリース情報

bonobos『23区』
bonobos
『23区』(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:2,948円(税込)
PCD-18818

1. 東京気象組曲
2. 葡萄の森
3. Cruisin' Cruisin'
4. Paper(jam)
5. Shag
6. メトロポリタン・ララバイ
7. グッドナイト
8. Hello innocence
9. Late Summer Dawn
10. うつくしいひとたち(Album session)
11. 23区

イベント情報

bonobos全国ツアー

2016年10月2日(日)
会場:北海道 札幌 Sound Lab mole

2016年10月8日(土)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd

2016年10月15日(土)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO

2016年10月16日(日)
会場:福岡県 ROOMS

2016年10月22日(土)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2016年10月23日(日)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2016年10月30日(日)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

プロフィール

bonobos
bonobos(ぼのぼ)

レゲエ・ダブ、エレクトロニカ、サンバにカリプソと様々なリズムを呑み込みながらフォークへと向かう、多彩なアレンジと卓越した演奏能力にボーカル蔡の心に触れる歌声が混ざりあう、天下無双のハイブリッド未来音楽集団。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

Got a minute ? 動画これだけは

ENJOY MUSIC CLUB“そんな夜”

原案脚本を手がけるバカリズムと、二階堂ふみ、オードリー若林の三人が出演する日本テレビ系ドラマ『住住』の主題歌“そんな夜”のPVが公開。何でもない平凡な日々にひそむ、ささやかなトキメキやきらめきをぎゅっと捉えるENJOY MUSIC CLUBの歌とラップがたまらないです。何かが始まりそうで何も始まらない、さえないけど愛おしい、そんな毎日を肯定する3分半の魔法が詰まっている。(山元)