舞台『シッダールタ』の全キャスト、公演詳細、メインビジュアルが公開された。
11月15日から世田谷パブリックシアターで上演される同作は、20世紀前半の激動のヨーロッパを生きた『ノーベル文学賞』受賞作家のヘルマン・ヘッセが2つの世界大戦に衝撃を受け、インドを訪れたことをきっかけに東洋思想と出会い、自我を探求し思索を深め、古代インドを舞台に宗教家が悟りに至るまでの姿を描いた作品。
演出は世田谷パブリックシアター芸術監督の白井晃。連続テレビ小説『らんまん』で『芸術選奨新人賞』を受賞した劇作家・長田育恵が『シッダールタ』の世界観をベースに、作家自身の思索も補助線として、現代を映す舞台へと昇華する。音楽は三宅純が担当。
主演は草彅剛。仏陀(釈迦と言われる仏教の始祖ブッダ)と同じ名を持つ青年シッダールタと、「現代を生きるヘッセ」に重なるひとりの男を演じる。
シッダールタの生涯の友となるゴーヴィンダ役に杉野遥亮、シッダールタと深い関係で結ばれるカマラー役に瀧内公美、男の友人デーミアン役に鈴木仁、シッダールタの息子役に中沢元紀、シッダールタの父役に松澤一之、シッダールタに商売を教える商人のカーマスワーミ役に有川マコト、古代インドの大河の渡し守ヴァズデーヴァ役にノゾエ征爾(はえぎわ)がキャスティング。このほか池岡亮介、山本直寛、斉藤悠、ワタナベケイスケ、中山義紘らが共演する。
チケットの一般販売は9月21日10:00から。2026年1月に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演予定。
【白井晃のコメント】
思春期に読んだヘルマン・ヘッセの小説は、常に心の中で息づき自分の創作の原点となってきた作品です。今、この作品を具現化できることに大きな喜びを感じるとともに、その重責に大変緊張もしています。世界を取り巻く現状を見ると、改めて何故この小説に心を掴まれてきたのか、今になってわかるような気がします。彼は、第一次世界大戦期に戦争への反対を表明したことで世間から大きな非難を浴び、結果、東洋思想に惹かれていきました。今、紛争にまみれた混沌としたこの世界の中で、どう自分を生かしていけば良いのか。その問いに対する応えが「シッダールタ」の中に潜んでいると思います。国家とは、宗教とは、他者とは?そして、人にとって最大の謎である、自分自身という存在とは。この模索の道を、劇作家の長田さんと共に思考し、道を切り拓こうと思います。そして、今回参加してくれた素晴らしいキャストのみなさんとの創作の時間は、私にとって珠玉のものとなるでしょう。シッダールタを演じていただく草彅剛さんとは、これまでも一緒に難作に取り組んできました。それだけに、この旅の労苦を共にできるものと信じています。演劇の可能性は、同世代を生きる人と共に考えることができることだと思います。この作品が、今を生きる私たちにとって、少しでも希望の光を見つける指針であることを心から願っています。
【草彅剛のコメント】
今作は「人間とは何か」「地球とは何か」「宇宙とは何か」というような、未知なる壮大なテーマを持った作品で、ひとりの人間としてこの壮大なテーマに立ち向かっていくことにドキドキした気持ちです。自分自身の全力で取り組まないと薄っぺらいものになってしまうと思うので、筋肉を鍛えて(笑)頑張りたいです。
白井さんはいつも僕の可能性を広げてくれる、とても情熱的で素敵な方。今までご一緒させていただいた作品はどれも自分の人生のターニングポイントになってきたので、今回もそんな作品になると期待に胸を膨らませています。迷いやプレッシャーもありますが、未だかつて観たことのない、壮大な舞台をお届けいたします!
【杉野遥亮のコメント】
僕は今作が2回目の舞台出演になるので、わからないことばかりではありますが、白井さんの指導を受けながら、自分らしくいろいろなものを吸収できたらと思っています。長い時間をかけてじっくりひとつのことに向き合い、追及していくのが楽しみですし、舞台の魅力を見つけていくのも楽しみです。
舞台にまた挑戦したいと思っていたところにお話をいただいて、「シッダールタ」の哲学的な部分に興味もあったので、即決でお返事しました。以前ドラマでご一緒させていただいた草彅さんはスーパーマンのような憧れの先輩。「次は舞台で共演できるといいね」と声をかけてくださったのがこんなに早く叶うとは思っていなかったので、すごく嬉しいです。まだどんな作品になるのかはわかりませんが、その空間を皆さんと一緒に楽しみたいと思います。
【瀧内公美のコメント】
原作の小説を読んで、迷いながらも自分の在り方を肯定し、背中を押してくれる作品だなと思いました。人生の岐路に悩みはつきものですが、その問いが自己を見つめる何かのきっかけになるのではないかと思います。
演出の白井さんは的確にイメージを伝えてくださるので、お稽古でもそのイメージを大切にしていきたいです。どういう塩梅で何を表現し、見えてくるものや見せないものは何なのか、皆さんと一緒にクリエイションしていきたいなと思っています。
私の演じるカマラーは、煩悩や欲望を削いでいこうとする主人公に対し母性と愛欲を与え、"人間として生きていくこと"の喜びを教える女性で、非常に刺激的で魅力的な存在。人間が誰しも「また欲しい」と思ってしまうような存在をどう体現し、演技で見せていけるのかを白井さんと一緒に作っていきたいです。難しい作品とは思わず、迷いの多い人生の中で一つの光を見つけられる手掛かりになれたらいいなと思います。

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