SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X 永原真夏と行く 『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X 永原真夏と行く
『高嶺格:とおくてよくみえない』展

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テキスト:萩原雄太 撮影:菱沼勇夫

3. 「体温」が感じられる現代美術

最後の展示室には、高嶺さんの代表作として知られる、2tの油粘土を使ったクレイアニメ『God Bless America』が登場。

『God Bless America』2002年 『God Bless America』2002年

『God Bless America』2002年 『God Bless America』2002年

そして、高嶺さんと在日韓国人である奥さんとの結婚式の様子を追った『ベイビー・インサドン』といった作品が並びます。

『ベイビー・インサドン』2004年 『ベイビー・インサドン』2004年

SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

アメリカという距離の遠さが、あるいは在日という距離の近さが問題を「よくみえない」ものにしてしまっていることを物語る作品です。その中でも、「仲の良い友達に在日の人がいるんです」という永原さんにとって、特に『ベイビー・インサドン』は強いリアリティを喚起したよう。「その人と話していると、『日本人であることについてどう思っているの?』と言葉の隅々で投げかけられるんですね。在日の人って、小さい頃から『私って何?』っていうことをすごく考えていて、アイデンティティに対してすごくモヤモヤしているのが分かるんです。けれども、私はそれに対して何もできません。決して越えられない壁ではないのかもしれないけど、簡単に越えればいいというものではないんです。だからすごく難しい問題だと思うんですよね。ここでも答えのない問いを作品にすることにチャレンジしているんだと思います、高嶺さんは」

最後に展示されるのが、この展覧会のタイトルにもなっている『とおくてよくみえない』というビデオインスタレーション。影絵で写し出される多くの人々の姿は、エロティックなようにも、あるいは祈りの姿のようにも見えてきます。

『とおくてよくみえない』2011年 横浜美術館での展示風景 撮影:今井智己『とおくてよくみえない』2011年 横浜美術館での展示風景
撮影:今井智己

そして展示室を出ると、この展示を象徴するかのような一編の詩が壁に書かれています。

SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

「この詩は書いてあるというよりも“彫ってある”というイメージですね。歌詞ってメロディとリンクするものだから、もっと浮遊した感じがあるんですけど、この詩は石に彫り込まれているようなしっかりとしたイメージ。布から始まり、粘土や写真、陶器といったさまざまな素材がこの展示には使われていますが、この文字にしても素材の感じがすごく大切だなと感じました」

さて、作品をすべて見終わり、「難解」と言われる現代美術に向き合った永原さんはどのような感想を持ったのでしょうか?

「私が一番心に残ったのは『ベイビー・インサドン』だったんです。やっぱり男女間の関係だったり、シンプルな人間模様がいちばん心に残りますね。普通、『芸術家』って何を考えているのかよくわからない人たちじゃないですか(笑)。けど、高嶺さんの作品には人間味があって、体温がいろいろな作品から感じられた気がします」

高嶺格の作品は、決して分かりやすいものばかりではありません。けれども、作品の裏側をよく見ていけば、人間味やユーモアに溢れていることに気づくはず。足を運べばきっと何か発見があり、刺激を受けることができる魅力を持った『高嶺格:とおくてよくみえない』展。ぜひ横浜美術館まで足を伸ばして味わってみてください。

SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

『高嶺格:とおくてよくみえない』

2011年1月21日(金)〜3月20日(日)
会場:横浜市 みなとみらい 横浜美術館
時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで開館、入場は閉館の30分前まで)
休館日:木曜
料金:一般1,100円 大学・高校生700円 中学生400円 小学生以下無料

『高嶺格トーク』

2011年3月19日(土)15:00〜16:30(開場は開演の30分前)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:240名
料金:無料

『学芸員によるレクチャー』

2011年2月12日(土)、3月6日(日)
各回15:00〜16:00(開場は開演の30分前)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:240名
料金:無料

連携企画
高嶺格演出作品『Melody♥Cup』

2011年2月19日(土)15:00〜、19:30〜
2011年2月20日(日)14:00〜、18:00〜
会場:神奈川県 横浜赤レンガ倉庫1号館
料金:一般前売3,200円 学生・ユース前売2,200円 一般当日3,700円 学生・ユース当日2,700円
チケット取扱い・問い合わせ
『Melody♥Cup』公演事務局 075-252-5655(TEL)
※本公演と展覧会は、互いのチケット提示により200円割引でご覧いただけます

高嶺格:とおくてよくみえない 横浜美術館

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2011年2月25日(金)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 下北沢 GARDEN
出演:SEBASTIAN X
料金:前売2,500円 当日2,800円(共にドリンク別)

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SEBASTIAN X
分岐点ばかりの人生だから SEBASTIAN X インタビュー

萩原雄太|演出家/劇作家

83年、茨城県出身。演出家・劇作家。2007年より自身の演劇カンパニー「かもめマシーン」を主宰する。チェーホフの「かもめ」に着想を得た翻案劇「かもめ/マシーン」で、シアターX国際舞台芸術祭参加。また、他劇団への脚本提供など各種。主な受賞歴に「浅草キッド『本業』読書感想文コンクール」優秀賞。



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