若き焙煎家たちのコーヒーへの情熱。沖縄・コーヒーカルチャーの現在とこれから(後編)

いま、沖縄には、高い技術と志を持つコーヒーの焙煎家たちが増えている。カフェやレストランなど沖縄の飲食店で個性ある美味しいコーヒーが飲めるようになったのも、彼ら、若き焙煎家たちの存在があってこそだ。今回は、そんなこれからの沖縄のコーヒーカルチャーを育て、牽引する2人(写真左・山田浩之、写真右・山田哲史)に、沖縄のコーヒーの現在とこれからを訊く。

若き焙煎家たちのコーヒーへの情熱。沖縄・コーヒーカルチャーの現在とこれから(前遍)

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

流行に左右されないのが沖縄の地域性

—コーヒー豆の生産地を知るというのは、焙煎家にとってとても大事なことなんですね。

哲史:台湾から仕入れて来たコーヒー豆もお店で好評なんですが、それは「繋がりが見える」からだと思っています。というのは、沖縄と台湾は近いので、沖縄から台湾に行ったことがある人が多いんですね。台湾から沖縄に住んでいる人もいるから、友人に台湾の人がいる人も多い。そうすると、台湾のコーヒー豆の話をすると、風景が見えるのか、すごく身近に感じてくれるんです。

浩之:生産地に行くと、売る側のモチベーションに繋がるというのもありますよね。売れるかな、なんて一切考えない。もう、「売るんだよ」っていう。「これを絶対飲んでください」ぐらいの気持ちになるので。僕は平気で「飲まないと一生後悔しますよ」と言っちゃいますもん。何の迷いもなく。

哲史:それはありますね。例えば行ったことない国の豆でも、いい豆に出会ってローストがそれにうまくはまった時は「絶対美味しいので飲んでください」と言います。そうするとお客さんも美味しいと飲んでくれるし、買ってくれますよね。

—想いがあって、それに応える技術があってこそ、伝えられる、と。

哲史:沖縄は想いを持って販売するということが、空気としてすごく受け入れられる気がするんですよ。東京などの大きな都市だと、いま流行っている形にはめていかないと受け入れられないような感じがするんですが、沖縄はちゃんと主観を持っていれば、どんな形だろうが、それを受け入れてくれるんですよね。周りの雑音があまりないので、変にストレス感じずに、自分の感性でいいと思うものを売っていける。だからムーブメントに左右されていない感じがします。

浩之:それは感じますね。沖縄は、豊かな感性を持った人がこの気候の中で、それぞれ独自の感覚を持っているんだと思うんです。飲食店やお店の人でも海外のものでも上手く受信して、受信した上で独自の感性で発信している人たちが多い。受信も上手だけど、発信の仕方が独特というか。だから、個性あるお店が増えていて、それがまた刺激にもなりますよね。

沖縄のおじいやおばあは、お茶よりコーヒー好きが多い!?

—いまは沖縄でも美味しいコーヒーが飲めるカフェや焙煎家も増えていますが、『COFFEE potohoto』がオープンした2006年頃はどうでしたか?

哲史:10年前は、同業者は決して多くなかったです。自分が焙煎しはじめた時、結構、「お!」みたいな感じで反応してくる人が多くて、逆にやっている人がいなかったから、自分が焙煎しようかなというのもあったので。

—沖縄には米軍基地もあって、アメリカの文化も日常に入り込んでいますが、もともとコーヒーの文化はあったのでしょうか。

浩之:そういう話でいくと、沖縄のおじいちゃんおばあちゃんはガッツリコーヒーを飲むんですよね。やっぱりそれにはアメリカの影響が絶対あるんですよ。そういう話も実際に聞いていますし。

哲史:栄町市場のお客さんって年齢層高いでしょ。おかげでうちの店が最初2〜3年もったのは、おばあちゃんたちみんなに飲んでもらったから(笑)。沖縄は、お茶よりコーヒーという人、多いです。

浩之:沖縄に戻って来てコーヒーやるってなった時に、この暑い気候でコーヒーの需要なんかあるのかなと思ったけれど、実際やってみると、コーヒーが好きな人が多いし、昔から飲んできているおじいちゃんおばあちゃんがいるんですよね。それはもしかしたら沖縄の特色かもしれないですね。うちもローカルなお客さんが中心なので、店をやっていて、デイリーに飲む人が多いというのは肌で感じます。

—毎日飲まれる人も多いんですね。

浩之:でもこの「デイリー」って結構大切なことで、コーヒーは本来デイリーに飲むものだと思うので、パンを買うようにコーヒー豆を買っていってもらいたいんですね。いいコーヒーはデイリーに飲んでみて初めてわかる良さがあって、試飲で飲んで美味しいだけではなくて、一週間続けて飲んだ時に凄さがわかるというか。でも、そんな中でも若い子たちが飲んでくれるようになったのはわりと最近ですよね。

哲史:そうですね。20代あたりは、ホントに最近ですね。

浩之:それはここ最近のムーブメントのおかげかもしれないですね。東京にいた時はそれをすごく感じました。このムーブメントがあってこそ、若い子たちがファッションとしてコーヒーに興味を持っているのもあるかもしれない。それはここ最近、沖縄でも感じますね。でもいいことだと思うんです。裾野が広がるわけですから。

異業種コラボが沖縄のコーヒーカルチャー成熟の鍵を握る!

—今年頭に行われ、お2人も参加した沖縄の焙煎家5人が集まってのトークショーも大盛況だったと聞きましたし、10月2日にはその5人の焙煎家が発起人となって、沖縄で初めてのコーヒーイベント「OKINAWA COFFEE FESTIVAL in がらまんホール」を開催されるそうですね。

浩之:そうなんですよ。県内のコーヒー店や様々な飲食店の出店と、映画『A film about coffee』の上映がメインとなるイベントなのですが、こういう沖縄でのコーヒーにまつわるイベントの必要性は感じています。僕らは従来とは異なる価値を持つコーヒーを扱っていて、それを味わいと知識の両面で普及させていていくということが僕らのミッションだと思っているので。

—お店とは違うフィールドでより多くの人たちに知ってもらうきっかけになりますよね。

浩之:沖縄は、沖縄に住んでいる人だけでなく、外国の方や観光の方も多いので、そういう人たちにも知ってもらういい機会になると思うんです。沖縄のコーヒーカルチャーはまだまだ成熟しているとは言えないと思うのですが、だけどそこがまた面白いところで、沖縄はコーヒー以外のところとも繋がっていける可能性が十二分にあるので。

哲史:それは感じますね。沖縄には、料理人や器の作家など、面白いことやってる人たちが多いから、コーヒー単体で走りすぎるよりも、コーヒーと他の業種を繋いでいけたらいいなと思っているんです。食の中の一杯のコーヒーということでもあるし、飲むものだから食べるということとの関わりが密接にあるので、食との絡みも考えていきたい。農作物としてのコーヒーを考えれば、野菜の生産者と何か一緒にやったりもできるし。

浩之:コラボレーションして、関わっていくというのは、これからの時代、絶対に大事だと思います。まだまだこれからですが、そうすることで沖縄のコーヒーカルチャーがもっと成熟していけたらと思いますね。

COFFEE potohoto
住所 : 沖縄県那覇市安里388-1
営業時間 : 10:00~18:00
(金曜・土曜は19:00まで)
定休日 : 日曜日
電話番号 : 098-886-3095
駐車場 : なし
Webサイト : http://www.potohoto.jp/
YAMADA COFFEE OKINAWA
住所 : 沖縄県宜野湾市宜野湾3-17-3
営業時間 : 10:00~19:00
定休日 : 月曜日
電話番号 : 098-896-1908
駐車場 : あり
Webサイト : http://shop.yamadacoffeeokinawa.com/


フィードバック 0

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Travel
  • 若き焙煎家たちのコーヒーへの情熱。沖縄・コーヒーカルチャーの現在とこれから(後編)

Special Feature

メタ・サピエンス──デジタルとリアルが溶け合う世界を探究する

デジタルとリアルが融合する世界。世界はどう変化し、人々はどう進化するのだろうか?私たちはその進化した存在を「メタ・サピエンス」と名づけ、「Humanity - 人類の進化」「Life - 生活・文化の進化」「Society - 社会基盤の進化」の3つの視点からメタ・サピエンスの行動原理を探究していく。

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて