シンガポールのローカルDJ、NOMSTAに聞く夜遊びのススメ

NOMSTAは、シンガポールで20年以上の経歴を持つベテランDJ兼イベントプロモーター。シンガポールのFMラジオで初めてDJセットを放送した人物で、地元の人気ラジオ番組Lush 99.5 FMでも2009年からライブミックスを提供している。そんなシンガポールのダンスフロアを熟知するNOMSTAに、シンガポールのクラブシーンの歴史や、夜遊び事情について伺いました。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

—まずはDJとしてのキャリアを簡単に教えてください。

NOMSTA:僕は子供の頃から音楽が大好きで、ソウルやファンク、70年代のロックなど、叔父のレコードを勝手に漁っては、自分が好きな音楽を収集するクセがあって。そんな具合だったから、大人になってからは音楽レーベルの仕事をして、自分の好きなアーティストのプロモーションを手がけるようになったんだ。その頃、海外から呼んだアーティストたちに、「お前もDJしろ」と言われて始めたのが、DJ NOMSTAとしてのDJ活動のはじまりだよ。それから、いろいろなパーティーのオーガナイズや、シンガポールのラジオステーション、Lush 99.5 FM でのプレイや、アジアの様々な音楽フェスでDJしてる。

—シンガポールで生まれ育って、はじめてクラブミュージックに触れたのはいつ頃でしょうか?

NOMSTA:僕が育った80年代は、新しいジャンルの音楽が次々に生まれ、ヒップホップやエレクトロ、それこそ僕の親戚のクリスマスパーティーでは、ディスコやブギーが流れていた時代だったんだ。初めて手にしたダンスミュージックは、『The Hits Of House Are Here!』というカセットだったよ。

—当時は、シンガポールのどこで遊んでいました?

NOMSTA:90年代の始め、10代の僕が生まれて初めてのクラブカルチャーに足を踏み入れたのが、当時シンガポールで『ティーダンス』と呼ばれていた(ちょっと不良の)高校生向けのクラブだったんだ。もちろんお酒は出さない昼間のイベントで、午後6時には終了していたと思う。残念なことに今は高校生がクラブで遊ぶような文化は無いんだけど、若い頃からクラブカルチャーに触れて育ったのは、自分を形成する上ではいい経験だったよ。

—では、その後本格的にクラブシーンに足を踏み入れ始めた90年代のシンガポールのクラブはどのような感じだったのでしょうか。

NOMSTA:シンガポールは、クラブカルチャーやレイヴカルチャーが東南アジアに浸透し始めた当時、地理的にも、文化的にも、ちょうど良い位置にあったと思うんだ。どのカルチャーも取り入れられる土壌があったというか。それこそZouk(シンガポールで一番有名なクラブ)に代表されるような大型のクラブは、新しい世代の音楽ファンやパフォーマーたちを多く育てていった場所だよ。

—これまでに、シンガポールの音楽シーンやカルチャーシーンにおいて、大きな影響を与えたものはなんでしょうか?

NOMSTA:シンガポールのパフォーミングアートの拠点とも言えるEsplanade - Theatres on the Bayが誕生したことで、様々な国の伝統的なステージパフォーマンスや、より実験的な表現のミックスに触れられるようになったのは大きなトピックスだね。

—DJとして印象に残っているステージはありますか?

NOMSTA:知人がジャイルス・ピーターソンによるワールド・ワイド・フェスティバルのオーガナイズを手がけていたきっかけで、DJをやらせてもらったことや、グッド・バイブレーションズ・フェスティバルではアダム・ヤウク(MCA)がまだ健在だった頃のBeastie Boysと同じステージに立てたことが、今までで一番感動的だったな。

—それでは、今のシンガポールのナイトライフについて教えてください。人気の音楽ジャンルや、話題のイベントやパーティーなど、今のシンガポールの夜遊び事情はいかがでしょうか?

NOMSTA:シンガポールのエンターテインメントは、アジアの中でも盛り上がっていると思うよ。メインストリームでもアンダーグラウンドでも、欧米発の音楽もアジアの音楽も、トレンドと呼ばれるものは、探せば必ず見つかるはずだしね。最近では特に、音楽やエンターテインメントとより真剣に向き合うシンガポール人が増えてきたと思います。そして若い世代は、これまでよりもずっとアートに触れ合う機会が増えている感じがするよ。

—海外から遊びに来る人々に、あなたが特にオススメするイベントやスポットはどこですか?

NOMSTA:音楽好きな友人がシンガポールに来るときは、その週末に僕の友達が開催しているイベントに連れて行くね。ライブが聴ける良いスポットとしては、「Blu Jaz」や、スルタン・ホテルの「Singjazz」。あと、エスプラネードのイベントカレンダーも旅行前にチェックしてほしいな。軽く立ち寄るなら、カクテルバーが気楽でいいかな。クラブなら、ZoukかKyoとか。それから、Syndicate, Darker Than Wax, Midnight Shift, Pushin On/Sideshowなどのパーティーをチェックするのがオススメだよ。

—夜遊びに関して、シンガポール独特のマナーやルールなどはありますか?シンガポールを訪れる人へのアドバイスなどは?

NOMSTA:シンガポールは、多種多様な文化で溢れているので、自分の好きなものを見つけるには、少し探し回る必要があります。でもフレンドリーな人がほとんどなので、行く先々では恐がらずに人に話しかけて、情報を教えてもらったらいいね。クラブイベントはほとんどがFacebookにアップされているし、僕宛てにメッセージをくれれば、質問にも応えられることもできるかも。そしてなにより、クラブで遊んだ後の〆には、シンガポールらしい深夜食or朝ご飯を食べに行くのを忘れないで! クラブが閉店になる頃、ローカルの人々の後について行くだけでたどり着けるよ!

プロフィール
NOMSTA

NOMSTAはシンガポールのベテランDJであり、音楽専門のコンサル会社MusicConsult.Coの経営者でもある。



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