福岡の「麺ツウ」に聞く、今、食べてほしい麺 第1回:久屋

福岡におけるカルチャーは「食文化」なしには語れません。ご当地グルメを挙げれば、もつ鍋、豚骨ラーメン、うどん、焼鳥、ひと口餃子、魚介類とキリがなく、事実、福岡へ旅行に来る知人、友人たちの大半が、福岡の食との出会いに胸を高鳴らせていました。ただし、彼らは一様にこう口にします。「観光本に載っているメジャーなところじゃなくって、地元っ子に愛されているような店がいい」と。
昔から「類は友を呼ぶ」というように、わたくしヌードルライター・山田祐一郎の周りには、いろんな麺好きが集まってきます。そういうわけで、ぼくが信頼を置いている福岡きっての人気ブロガーのみなさんに、極めて個人的なオススメ店を教えてもらいました。今、麺ツウを唸らせるHOTなお店は、このお店です!

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

ブログ「HENO HENO」HENOさんレコメンド麺

HENO HENO

久屋 / 福岡市南区

ヌードルライターとして最近顕著に目立っていると感じるのが、白濁スープの豚骨ラーメンではない、醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン、鶏白湯ラーメンの人気ぶりです。ひと昔前まで、特に博多では豚骨ラーメン以外の行列店などは考えられなかったのですが、今や、郊外の塩ラーメン専門店が大にぎわいだったり、鶏白湯専門店に列ができていたり、福岡におけるラーメンシーンの現状は大きく変化しています。

今回HENOさんに挙げていただいた『久屋』は、醤油ラーメンのみの専門店。最近では天神、大名といった福岡市のど真ん中だけでなく、『久屋』のように、中心地からちょっと離れた場所に名店がひょっこりオープンしているケースが珍しくありません。この『久屋」は、福岡の中心でもある西鉄福岡(天神)駅から5駅隣りの西鉄大橋駅が最寄りで、徒歩5分くらいの距離感です。この大橋は学生街ということもあり、ラーメン激戦区として知られるエリア。そんな中、あえて豚骨ラーメンを置かないあたりに、店主の心意気が感じられます。

店を訪ねてみると、早速、入口に“非豚骨”宣言が! ない、と書かれると、逆に興味が出てきますね。ドアを開けると、ふわりと醤油の香り。期待感が高まります。

席に座ってメニューをみると、まさに醤油系のラーメン一色。「大江戸ラーメン(750円)」をオーダーして、のんびりと待つ。夜の一品料理が豊富で、しかも安い。さらにランチタイムには大盛り無料、ランチビール150円、ご飯のセットが+50円とサービスが盛りだくさんだということにも気付きました。

「大江戸ラーメン」は、見た目がとっても華やか。チャーシューが分厚く、半熟玉子、キクラゲ、ネギ、海苔、メンマ、モヤシと具沢山です。そして澄んだスープが美しい。豚骨と鶏ガラを白濁しないよう、丁寧に煮込んでとった透明のスープがベースで、そこに醤油ダレを合わせて琥珀色に仕上げてあります。スープをひと口飲んでみると、煎り酒による酸味が醤油の旨味に見事に重なりあっていて、これまでぼくが持っていた“中華そば”の概念を見事に覆してくれました。麺は中太ちぢれで、ほどよいムッチリ感が心地良し。

久屋 / 福岡市南区

HENOさんからのコメント

福岡市にある“非豚骨(白濁スープの豚骨ラーメン以外を括る表現)”ラーメンの名店であるJON PAN(旧 ラーメン元次)出身の店主が作るラーメンは、醤油のみなのだが、なんと3種の異なるスープ麺と、2種のつけ麺が楽しめる。看板メニューの「大江戸ラーメン」は、江戸時代に醤油が普及する前に使われた調味料「煎り酒」をモチーフに、日本酒でカツオ節と梅干しを煮だしてつくったタレで仕上げたという力作。加えて、ノーマルな醤油ダレの「醤油ラーメン」や、飲んだ後の締めに最適な味わいの「あっさり醤油ラーメン」と、それぞれのシチュエーションに合わせた、それぞれに旨い醤油ラーメンが堪能できる。

久屋
住所: 福岡市南区大橋1-19-18
電話: 092-562-1338
営業時間: 11:30~14:30、18:00~翌1:00(LO24:00)
定休日: 不定休
プロフィール
山田 祐一郎
山田 祐一郎 (やまだ ゆういちろう)

1978年生まれ。2012年8月、【KIJI(キジ)】を設立。以来、日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動する。モットーは“1日1麺”。福岡を中心に全国各地の麺を食べ歩き、原稿を執筆する。2015年7月、福岡初のうどんカルチャーブック「うどんのはなし 福岡」を上梓。公式webサイト内で、日々の食べ歩きを綴るwebマガジン「その一杯が食べたくて。」を連載中。



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