福岡の「麺ツウ」に聞く、今、食べてほしい麺 第2回:手打ちそば 不老庵

昔から「類は友を呼ぶ」というように、わたくしヌードルライター・山田祐一郎の周りには、いろんな麺好きが集まってきます。そういうわけで、ぼくが信頼を置いている福岡きっての人気ブロガーのみなさんに、極めて個人的なオススメ店を教えてもらいました。今、麺ツウを唸らせるHOTなお店は、このお店です!

ブログ「俺コレ!〜俺を信じてコレを喰え〜」みおせるさんレコメンド麺

俺コレ!〜俺を信じてコレを喰え〜

2.手打ちそば 不老庵 / 福岡市東区

豚骨ラーメンか、はたまたうどんか。福岡のご当地麺といえば、一般的にはいずれかが挙ってきます。しかし、僭越ながら、ひと言物申させていただけるのであれば、福岡は“麺食文化”が深く根付いた地であり、それは蕎麦も含まれるのだ、と力を込めてお伝えしたい。

そもそも博多は製粉文化がいち早くもたらされた地とされていて、その製粉技術のおかげでうどん、そして蕎麦(実は饅頭も!)といった粉食文化が上流階級のみならず、庶民にも広がったそう。ちなみに福岡市の「承天寺」の境内には「饂飩蕎麦発祥之地」という石碑があるんですよ。

昨今、うどんが注目を集める福岡ですが、ここはひとつ、蕎麦の名店を訪ねてみたい。そういうわけで足を運んだのが、みおせるさんが勧めてくれた『手打ちそば 不老庵』(以下、不老庵)です。

2014年ミシュランガイドでもビブグルマンを獲得した『不老庵』があるのは、JR香椎駅からほど近い香椎宮辺り。ちなみに香椎宮には「日本の名水百選」に選ばれている不老水が湧くことで有名です。昔から蕎麦好きの間では「名水の近くに蕎麦の名店あり」と言われるだけに、まだ見ぬ蕎麦への期待に胸が高鳴ります。

オーダーしたのは、平日限定の「ミニ天丼セット(1200円)」。せいろ、もしくはかけそばにミニ天丼が付くというお得な内容。ご飯ものは数に限りがあるそうなので、早めの来店が良いと思われます。

注文を済ませると、すっと出されたこちら。蕎麦を揚げたものに塩が振りかけたもので、これが料金を払ってでも食べたいくらい美味しい! 無料でいただけるものが豪華だと、心から嬉しいものです。ポリポリと食べていると、蕎麦がやってきました。

見るからに艶やかな蕎麦ですが、実はつなぎが入っていません。蕎麦の風味がしっかり楽しめる「十割そば」なのです。蕎麦の実の管理を徹底し、蕎麦本来の味わいが引き立つよう、熱が必要以上に伝わらない石臼挽きによって製粉しているそう。 そして、合わせのつゆが秀逸。鹿児島・枕崎産の本枯節の魅力が前面に打ち出してあり、顔を近づけると、芳しい匂いが鼻へ抜けていきます。

そして極め付けがこのミニ天丼。「これが、ミニ!?」と思わず言葉が漏れてしまったほど、盛りがいい。ご飯こそ少なめですが、天ぷらだけを見れば決してミニではありません。香ばしいゴマ油は風味こそ強いですが、食感は軽やかで、後味もいい。食材そのものの味わいがどれもいっそう増しているように感じました。このセット、心から大満足です。

手打ちそば 不老庵 / 福岡市東区

みおせるさんからのコメント

まず、蕎麦粉の質がいい。福岡市内では自分が知る限りナンバーワンです。特に新蕎麦の時期なら、枯れ草を思わせる香りや大地の力強さを感じさせる風味が抜群にいい。その上で、麺の太さも長さも安定していて安心感があります。つゆやスメ(かけ汁)は博多風ではなく関東風。キリッと醤油の風味が立っていて、その奥にダシの風味を感じられる力強い味わい。これだけでも蕎麦屋としては十分ですが、さらに、天ぷらと鴨が美味い。天丼は「福岡でこれほどの江戸前天丼が頂けるのか!」と驚いたほど、ゴマ油が利いた天ぷらが美味かった。鴨はビックリするほど柔らかくジューシーで、「他店で鴨せいろを食べてガッカリした」という方に是非試していただきたいほど。そして接客のレベルも高い。たっぷりの揚げ蕎麦と蕎麦茶が出るのが嬉しく、細やかなところに手が届く店員さんの心配りも有難い。心からオススメのお店です。

手打ちそば 不老庵
住所: 福岡市東区香椎4-13-14
電話: 092-672-2611
営業時間: 11:30~14:30
定休日: 火曜 ※祝日の場合営業翌日休み
プロフィール
山田 祐一郎
山田 祐一郎 (やまだ ゆういちろう)

1978年生まれ。2012年8月、【KIJI(キジ)】を設立。以来、日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動する。モットーは“1日1麺”。福岡を中心に全国各地の麺を食べ歩き、原稿を執筆する。2015年7月、福岡初のうどんカルチャーブック「うどんのはなし 福岡」を上梓。公式webサイト内で、日々の食べ歩きを綴るwebマガジン「その一杯が食べたくて。」を連載中。



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