chayが今だからこそ打ち明ける、ヒット曲直後の悩みとその突破口

女性シンガーソングライターから、華麗なるエンターテイナーへ。フジテレビ系番組『テラスハウス』に出演後、雑誌『CanCam』の専属モデルとして活躍する一方、月9ドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』の主題歌“あなたに恋をしてみました”の大ヒットによって、ポップシーンのメインストリームに躍り出たchay。

その彼女が前作『ハートクチュール』以来、約2年ぶりとなるアルバム『chayTEA』を完成させた。ヒット曲以降の狂騒を全力で走り抜けた彼女は今、引き続き制作面でタッグを組むプロデューサー・多保孝一ともども、どんな思いのもとに音楽を鳴らしているのか。そして、彼女のさまざまな「恋愛ソング」の内側に秘められた、本当の思いとは。chay本人に話を聞いた。

とにかく、自分の曲を知ってもらうきっかけになったらと思い、『テラスハウス』に応募しました。

―約2年ぶりのアルバムになりますが、それこそ2年前、“あなたに恋をしてみました”(以下、“あな恋”)の大ヒットと、その後まもなくリリースされたアルバム『ハートクチュール』によって、chayさんをめぐる状況は、大きく変わったのではないですか?

chay:もう、経験したことがないくらい、忙しかったです(笑)。そのときは制作もしていて、それに加えてモデルをやらせていただいている『CanCam』の撮影もすごく多かったですし、“あな恋”でいろいろ音楽番組やバラエティーに出させていただきました。

いろいろなことが全部、集中した時期でした。体力的にもものすごくきつかったけど、当時は「やっと自分の音楽が聴いてもらえた」っていう嬉しさや喜びのほうが断然勝っていたので、もうガムシャラ過ぎてほぼ記憶がないくらいの感じで突っ走っていました(笑)。

chay
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―そこに至るまでは、結構苦労もされていたとか?

chay:そうですね。私は2013年に“はじめての気持ち”という曲でデビューしたんですけど、そのシングルがあまり思うようにいかなくて、それから1年以上作品をリリースできませんでした。デビューしたのに、自分のことが全然知られていないっていう現実に、すごく焦りを感じていました。

それで、どうしたらいいのか自分なりに考えて、とにかく、自分の曲を知ってもらうきっかけになったらと思い、『テラスハウス』に応募しました。実際、私のことを知ってもらうきっかけになったとは思いますが、その後どうやって活動していくか、考えられませんでした。

chay

―なるほど。『テラスハウス』の出演は、2013年10月から翌年3月まででしたが、そこから先の活動が、また難しかったと。

chay:そう。『テラスハウス』がきっかけで、『CanCam』からモデルのお声掛けをいただいたんですけど、自分としてはすごい予想外だったんです。もともと目指していたところではなかったし、それによって音楽が生半可な感じに見えちゃったらどうしようって心配でした。

ただ、今の時代って、音楽番組も少なくなって、音楽を聴くことが当たり前じゃなく、むしろ機会が限られている状況になっていると感じていて、そういうなかで、自分の曲を聴いてもらうためには入口がいくつあってもいいなと思って、モデルのお仕事も前向きにやるようになったんです。

―プロデューサーの多保孝一さんと一緒に制作をするようになったのも、chayさんにとって大きかったのでは?

chay:ものすごく大きかったです。高校生のときからSuperflyさんが大好きで、いつか多保さんに曲を書いてもらいたいって勝手に思っていたくらいなんです。

―なにがきっかけで多保さんと制作するようになったのですか?

chay:それまでは全部自分で書いていましたが、月9の主題歌が決まったときに、スタッフから誰かに楽曲提供してもらうアイデアが出て、私としても、いい刺激になるかもしれないと思いましたが、自分でも挑戦してみたいっていう思いもあったので、コンペにさせてもらいました。

―“あな恋”はコンペで決まった曲だったんですね。

chay:はい。私も含めていろんな作家さんたちに曲を出してもらって、誰が作ったか名前を伏せた形でスタッフが聴いて決めていくという。そのコンペに多保さんも参加して下さっていて、最後に残った2曲が私の曲と多保さんの曲でした。

―多保さんの曲を選んだ理由はなんだったんですか?

chay:多保さんの曲のなかに、新しいchayらしさを感じたんです。ちなみに、そのとき私が出した曲は、“恋はスペシャル”というタイトルで、前のアルバムに入っています。

chay『ハートクチュール』通常盤ジャケット
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―なるほど。“あな恋”は、多保さんがそれまでSuperflyでやっていたような曲と、全くテイストが違いますよね。

chay:そうなんですよ。実は多保さん自身も、ずっと歌謡曲メロディーをやりたいって思っていたらしく、ドラマのプロデューサーさんからも、ちょっとレトロな昭和の歌謡曲的なイメージというテーマがあったので、そこでまさに合致しました。

私自身も、ただ歌うだけの曲ではなくて、昔の歌謡曲のようにビジュアルも含めて「見せる」楽曲をやってみたいって、ずっと思っていたんです。だから本当に、いろんなものが、そこで一気に繋がった感じがします。

レトロポップスを追求して、世代問わず楽しんでもらいたいっていう思いがすごく強かった。

―音楽以外の活動が、“あな恋”のヒットによって、一気に報われた印象がありますが、それ以降――つまり今回のアルバムに至るまでの間は、どんなことを考えながら楽曲制作に取り組んでいたのですか?

chay:やっぱり、“あな恋”がきっかけで、多くの方に聴いてもらえるようになった実感があったので、その後も“あな恋”のような1960~70年代の歌謡曲をイメージしたレトロポップスを制作していきました。私自身、そこを追求して、世代問わず楽しんでもらいたいっていう強い思いがありました。

だから、その後もシングルはずっと、“あな恋”と同じ多保孝一さんと一緒に、試行錯誤しながら作っていました。レトロポップスや歌謡曲、モータウンなどのテイストを追求して、当時をリアルに体験している人にとっては、ちょっと懐かしく感じてもらい、私と同世代やもっと若い世代の人にとっては、新鮮に感じてもらうことを意識しました。ただ、今回アルバムを作るときに、実はすごく悩んだんです。

―今作の制作にあたって、どんな悩みがあったのですか?

chay:前作『ハートクチュール』は、やっぱり“あな恋”あっての1枚なので、アルバム用の曲も結構レトロに作っていたんです。でも、前作やシングルの流れのまま、今回も同じことをやっても、意味がないなって思ったんです。

今回のアルバムでも多保さんが作ってくださった曲やカバーの他に、私が作詞作曲した曲も収録していますが、私の曲を入れることによって統一感がなくなっちゃったらどうしようって悩みました。

―その悩みは、どうやって解消したのでしょう?

chay:スタッフさんが「chayの場合は、コンセプトがしっかりした1枚よりも、バラエティーに富んだほうが、いい意味でキャラクター的にも合ってるんじゃない?」って言ってくれて、そこからすごく前向きに、自分が今やりたい曲や、歌いたい内容を素直に出していけるようになりました。

chay

―多保さんとは、引き続きシングル曲を中心にタッグを組みつつ、アルバムの曲も、数曲を多保さんがプロデュースしていますよね。

chay:そうですね。『あな恋』以降に出してきたシングルはもちろん、アルバムのために書いた曲に関しては、私と多保さんの間で共通認識がありました。

―共通認識というのは?

chay:「2017年の今の時代にアップデートしたchayを目指そう」ということです。レトロポップス路線を大事にしながらも、時代の流れに沿って歩んでいきたいし、私自身も進化していきたい。だから、新曲には今っぽさをプラスしていこうって、多保さんとも話していました。

chay

―それはもちろん今回のアルバムにも反映されているわけですよね。

chay:そうですね。たとえば、今回のアルバムに入っている“真夏の惑星”や“恋はアバンチュール”は、もともと歌謡曲テイストのアレンジでした。それを多保さんの意向で、小島(裕規 / Yaffle)さんっていう私と同い年のアレンジャーさんを起用して、リアレンジしてもらったら、すごくマッチして今までのchayにはない新たなサウンドになりました。スタジオミュージシャンも、みんな私と同い年の若い方たちだったので、フレッシュなレコーディングでした。

―今回のアルバムに入っている荒井由実さんの“12月の雨”のカバーのアレンジとギターを鈴木茂さん(はっぴいえんど、ティン・パン・アレーなどのギタリスト)が担当していたり、吉田拓郎さんの“結婚しようよ”のカバーのアレンジとピアノを武部聡志さん(ジブリ映画『コクリコ坂から』の音楽担当などで知られる、音楽プロデューサー、作曲・編曲家)が担当していたり……錚々たるベテランの方々とも、お仕事をされていますね。

chay:実はすごい方々と一緒にやらせていただいています(笑)。私は両親の影響で、1960年代から1980年代までの洋楽や邦楽が好きなんですけど、私の同世代や、もっと若い方は、その素晴らしさに触れられていない。私は、それこそ『テラスハウス』に出たり『CanCam』のモデルをやったり、同世代と同じ目線にいるので、私の歌を通じて昔の音楽の素晴らしさを継承できたらとずっと思っています。

chay

―なるほど。歌詞を書かれるときも、そういった昔の音楽の良さを伝えるためになにか意識していますか?

chay:昔の音楽の良さを伝えたいからこそ、歌詞に関しては、今のリアルな女の子の気持ちを書きたいんです。メロディーは懐かしいけど歌詞は今の女の子っていう、その絶妙なところを目指しています。

「ギター女子」って、すごくイメージが強い言葉だと思うけど、そういう枠に縛られず自由なスタイルでいたい。

―今のリアルな女の子の気持ちを歌詞で書きたいという意識は、前からずっとあるんですか?

chay:歌詞の書き方は、だいぶ変わったと思います。デビューした当時は、詩的にきれいな言葉で書くっていう思いがすごく強かったんですけど、そう思えば思うほど、当たり障りのない歌詞になってしまって、自分が本当に伝えたい真意が伝わらないんです。

あと、自分のかっこ悪い部分や嫌いな部分、あまり人に言いたくないことを、極力避けていましたが、それだと全然伝わらない……。どこか人間味がなくなってしまうんですよね。なので、最近は、むしろあまり人には言えないようなことをテーマにして歌詞を書くようになりました。

chay

―chayさんの歌詞は、恋の歌が多い印象がありますが、よくよく見ると必ずしもそうでない。特に今回のアルバムの歌詞は、「心から笑い合う」とか「本当の笑顔」といったものを歌っている曲が多いように思いました。

chay:確かにそうですね。心の底から笑い合える時間が、すごく大切だと思っていますし、聴いてくださった方に、楽しい気分になってほしいです。私がシンディ・ローパーとかユーミンさんを好きな理由も、まさにそこです。

そういった方々を見ていると不思議と笑顔になれるし、たとえ嫌なことがあっても、それを忘れさせてくれる。もちろん、歌詞やメロディーも好きだけど、とにかく楽しませてくれるエンターテイナーとしての姿に憧れます。

chay

―chayさんはリスナーやお客さんを楽しませるためにどういうことを意識していますか?

chay:ライブの瞬間だけは、みんなに日常を忘れてほしいという思いがあり、非日常的な衣装やセットでステージを作りたいです。私もギターを弾きながら歌うけど、「ギター女子」という枠に縛られず自由なスタイルでいたいです。

私自身この2年は、ただ今の自分を肯定してくれる曲にホント救われてきました。

―この2年、環境も心境にも動きがあったと思いますが、それを経て作られた今作『chayTEA』はどんな作品になっていますか?

chay:年齢や経験を重ねていくにつれて、音楽だけじゃなく、魅力的だと思うものも変わってきました。前作『ハートクチュール』は、24歳の私だからこそ作れた曲や歌詞で、“あな恋”もそうです。だから、今回のアルバムは、前作から2年経った26歳のchayの今が詰まったアルバムになったと思います。

chay『chayTEA』初回限定盤ジャケット
chay『chayTEA』初回限定盤ジャケット(Amazonで見る

―歌詞のことでもうひとつ言うなら、今回のアルバムの曲は、「肯定すること」がひとつテーマになっているように思いました。

chay:そうかもしれないです。私自身、この2年は、ただ今の自分を肯定してくれる曲にホント救われてきたんですよ。若いときって、肯定してくれるものよりも、喝を入れてくれるようなものに惹かれていた部分がありました。

でも、正論は自分がいちばんわかっていて、それがわかっていてもできない苦しみを、この2年間で学んで、そういうときに、たとえば2つの道が目の前にあって、どちらを選んだとしてもただ肯定してくれるような曲に、すごく救われました。

―具体的に、曲を挙げられますか?

chay:ケリ・ノーブルの“夢がかなうまで”(2005年)とか、SMAPの“君は君だよ”(1993年)とかですね。音楽って、人それぞれいろんな状況があると思うし、100人が100人とも同じ思いで聴いているわけではないですよね。でも、そういう人たち全員を包み込める曲を書きたいと思うようになりました。

「こういうことが良くて、こういうことが悪い」みたいなことは、今はあまり歌いたくなくて。やっぱり肯定したいのかな。今はそういう気分なのかもしれないです。

chay

―そんな楽曲が入ったアルバムに『chayTEA』と名付けた理由は?

chay:「チャイティー」って、甘いだけじゃなくて、いろんなスパイスが入っていて、ちょっとピリッとするお茶で、私の歌って、ラブソングのイメージがすごく強いと思うんですけど、今回のアルバムはまさに「チャイティー」のように、甘いだけじゃなくて、意外といろんなスパイスが効いているんです。

あと、私のアーティストネームが「チャイティー」に由来しているんですけど、悔いのない渾身の一枚ができあがったっていうのもあって、このタイトルにしました。

―なるほど。セルフタイトルのアルバムのような意味合いもあるというか、それぐらい自信作になったということですね。

chay:そうです。正真正銘、「これがchayです」って言えるようなアルバムが完成したと思っています。タイトルだけ見ると、ちょっとホンワカした、ゆったりソングが入っていると思われるかもしれないけど、実は全然そんなことないっていう(笑)。先入観なく、いろんな人に聴いていただけたら嬉しいです。

リリース情報
chay
『chayTEA』初回生産限定盤(CD+DVD)

2017年6月14日(水)発売
価格:3,780円(税込)
WPZL-31310/1

[CD]
1. 恋のはじまりはいつも突然に
2. 真夏の惑星
3. それでしあわせ
4. 12月の雨
5. Be OK!
6. 恋はアバンチュール
7. 運命のアイラブユー
8. 好きで好きで好きすぎて
9. Kiss me
10. 笑顔のグラデーション
11. Don't Let Me Down
12. You
13. 結婚しようよ
14. あなたに恋をしてみました(Wedding ver.)
[DVD]
1. True Colors
2. 12月の雨
3. それでしあわせ
4. 笑えれば
5. 糸
6. Together
7. 好きで好きで好きすぎて

リリース情報
chay
『chayTEA』通常盤(CD)

2017年6月14日(水)発売
価格:3,240円(税込)
WPCL-12645

1. 恋のはじまりはいつも突然に
2. 真夏の惑星
3. それでしあわせ
4. 12月の雨
5. Be OK!
6. 恋はアバンチュール
7. 運命のアイラブユー
8. 好きで好きで好きすぎて
9. Kiss me
10. 笑顔のグラデーション
11. Don't Let Me Down
12. You
13. 結婚しようよ
14. あなたに恋をしてみました(Wedding ver.)

イベント情報
『chay Tour 2017“chayTEA”』

2017年8月1日(火)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2017年8月4日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年8月5日(土)
会場:福岡県 BEAT STATION

2017年8月9日(水)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2017年8月10日(木)
会場:大阪府 BIGCAT

2017年8月19日(土)
会場:東京都 三軒茶屋 昭和女子大学人見記念講堂

プロフィール
chay
chay (ちゃい)

1990年10月23日生まれ。幼少の頃から歌手を目指し、小学生の頃からピアノで曲を作り始める。大学に入学すると同時にギターを始め、路上ライブなどを重ねて、本格的に音楽活動を開始。2012年10月、「ロッテガーナミルクチョコレート」CMソング『はじめての気持ち』でワーナーミュージック・ジャパンよりデビュー。2013年10月~2014年3月までフジテレビ系『テラスハウス』に出演し話題に。2014年1月、セカンドシングル『I am』、同年4月、パンテーンCMソング『Twinkle Days』をリリース。5月より『CanCam』専属モデルとしても活動開始。2015年2月にリリースされた“あなたに恋をしてみました”は、フジテレビ系月9ドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』の主題歌となり、50万ダウンロードを突破。同年4月にはファーストアルバム『ハートクチュール』をリリース、初の全国ツアー『ハートクチュールツアー』を開催し全公演ソールドアウトを記録。2017年6月14日にニューアルバム『chayTEA』をリリースする。



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