内山拓也監督が語る、Uru、平井堅、King Gnuの話題MVの裏側

美しくスタイリッシュな映像と、受け手の想像力を掻き立てるストーリー、リアルで魅力的な人物描写によって、まるで1本の映画のような余韻を残すミュージックビデオを発表している映像作家の内山拓也。今彼が世間から注目を浴びている事実は、手掛けたミュージックビデオの再生回数からも如実に伺うことができる。

スタイリストから転身し、フリーター時代に撮った初の長編映画『ヴァニタス』で『PFFアワード2016』の「観客賞」を受賞。その後内山が生み出す作品は、ジャンルや手法こそ違えど、常に「人」とその「関係性」にフォーカスを当てているのが特徴だ。「どんなジャンルの映画だろうと、大半は結局のところ青春映画だと思っている」と言う彼の定義する「青春映画」とは、一体どのようなものだろうか。

今回CINRA.NETでは、内山拓也の名を世に知らしめたKing Gnu“The hole”や平井堅“#302”、そしてドラマ『テセウスの船』の主題歌としても話題になったUru“あなたがいることで”のミュージックビデオを本人と共に紐解きながら、そのクリエイティビティに迫った。

※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。

スタイリストを志していた学生が、その夢を捨て、映画・映像にのめり込んだ理由

内山拓也(うちやま たくや)
1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。その後、監督・中野量太(『浅田家!』『湯を沸かすほどの熱い愛』など)を師事。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。近年は、ミュージックビデオの他に中編映画『青い、森』、長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。

―もともとはスタイリストを目指していた内山さんが、映画の世界へ飛び込んだのはどうしてだったのでしょうか?

内山:スタイリストになるつもりで文化服装学院に入って、在学中からアシスタントなどをしていたのですが、授業である講師から「スタイリストになったら寝れないし、金ないし、食えない」と言われて(笑)。

それでも絶対になりたかったから、寝られないことも、金がないことも、食えないことも全て「当たり前」にしてしまおうと思ったんです。たとえば「食えない」なら、毎日ご飯とコロッケだけで食いつなぐのを当たり前にしてしまう(笑)。同じように「寝れない」も、学生時代から睡眠時間を2時間くらいにしてしまえばなんとかなるだろうって。

―すごい理論ですね(笑)。

内山:毎日、授業に行って、アシスタントの仕事やバイトをやって、帰宅してから課題をやると、大体夜中の2時とか3時で。そこで寝てもある程度睡眠時間が取れちゃうから、就寝までに毎日1本映画を見ようと決めていたんです。

この時期は年間1200本くらい見ていたんですけど、気づいたら「映画、めちゃめちゃ面白いな」となってて(笑)。それまでは、そんなに映画を見るタイプじゃなかったんですよ。地上波で見たり、彼女と恋愛映画を観に行ったりするくらい。

で、あるとき、某映画の撮影現場でスタイリストのアシスタントをする機会があって。現場に行ってみたら、「映画の現場、超面白い!」と思ってますます好きになってしまった。それで21歳の頃にスタイリストを辞め、フリーターをやりながら映画の世界を目指すことにしました。

この日はミュージックビデオの絵コンテも持ち込んで、話を聞かせてくれた

―『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年公開)の中野量太監督に師事していたと聞きました。そこで映画制作のメソッドを学んだのですか?

内山:「学んだ」というよりは、色々なところを見させてもらった感じですね。フリーターをやっていた2年くらいは、とにかく誰かに会うたびに「映画やりたい」と言って回っていたんです。

それであるとき、中野さんが劇場にいらっしゃるのを知って、いてもたってもいられず履歴書を書いてアポなしでいきなりご挨拶して渡したんです。そのときは「申し訳ないけれど今は現場がない」みたいに言われながらも、優しく受け取ってくれて。そのあと、中野さんがゴールデン街のお店で1日店長をされているのを見て、また突撃したら、その場にいた制作部の方を紹介していただいたんです。それで制作のお手伝いをしながら、監督が脚本を書いている現場にも立ち合わせてもらっていました。

その頃は、自分が映画の世界でなにがやりたいのかよくわかってなかったんですけど、『湯を沸かすほどの熱い愛』の制作が始まり、演出部で参加させてもらったときに、「そうか、俺は監督がやりたいんだ」とようやくわかって。制作部や演出部でいるのではなくて、監督になればやりたいことがより表現できるんだと。そこから自主映画を撮る道に進むことにしました。

―そうして初めて撮った長編映画『ヴァニタス』で『PFFアワード2016』の「観客賞」を受賞したのは、快挙ですよね。

内山:ありがたいとしか言いようがないですね(笑)。スタイリストも辞めたしバイトしかしていない、なにもない状態だったので。あの賞がなかったら映画は辞めていたかもしれないです。

とにかく映画を見まくったことが、自分の財産になっていると思います。このときは脚本とか支離滅裂だし、フォーマットもちゃんとしてない。映画の撮り方なんてよくわかってないけど、「あの映画の、あのシーンのように撮りたい」みたいな感じで作っていったものでした。

―ちなみに、内山さんが影響を受けた映画監督というと?

内山:映画にのめり込んだきっかけになったのは、19歳くらいの頃に見たスタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(1971年公開)。見たら、もう、衝撃的で。暴力的なのにファニーでもあるし、音楽の使い方や早回しの映像など、とにかく自由過ぎて「映画ってなんでもありなんだ!」と思わせてくれました。

今の自分に影響を与えていると思うのは、エドワード・ヤンやポール・トーマス・アンダーソン、『幕末太陽傳』(1957年公開)の川島雄三監督……ジャンルはバラバラですが、「カット」ではなく「ショット」を撮っている監督が好きですね。最近だと濱口竜介監督もそうですが、人が生き生きとしていて、それをたまたまカメラが捉えていたみたいな。人さえ映っていればジャンルとかは関係ないし、場所が宇宙空間でも、部屋の一角でもいいんですよね。

人生のターニングポイントとなった、King Gnuとの出会い

―内山さんの名を世に広く知らしめたのは、やはりKing Gnuの“The hole”だと思うのですが、これはどんなふうにオファーがあったのですか?

King Gnu“The hole”ミュージックビデオ(2019年5月公開)

内山:(常田)大希とはちょっと前に知り合っていて、確か年始くらいに、“The hole”の音源だけ送られてきたんですよ。「これ、いいと思ってるんだよね」って。そのときは「いいじゃん」みたいな話で終わったんですけど、『Sympa』(2019年1月16日発売。“The hole”が収録されているアルバム)をリリースしてすぐくらいに、「MV(ミュージックビデオ)興味ある?」って連絡があって。それまでMVは撮ったことなかったんですけど、「やろっか」みたいな軽い気持ちで引き受けました(笑)。

そのとき大希は、“The hole”を「映画っぽく撮りたくて」って言ってましたね。リファレンスで送られてきたのが、ホージア“Take Me To Church”のMVだったのかな。そのリファレンスの意図としては、ストーリーだけを伝える映像ではないということだったと思います。物語の奥行きがあるというか。結果、僕の中で目指したのはストーリーだけが先行しすぎない、新しい物語と人物を生み出すことでした。雰囲気やディテールは、映画よりは写真集や画集などを大希と一緒にディグりながら、「こんな感じがいいよね」みたいに確認し合いましたね。

バイセクシュアルを描くことは、挑戦だった。絵コンテを見せながら、King Gnu“The hole”を語る

―本人たちが出演しない実写MVは、King Gnuとして初でしたよね。

内山:「自分たちが出ないものを撮りたい」って、彼らからも言われました。基本的に僕が出したアイデアは全て「いい」と言ってくれたので(笑)、とにかく撮りたいように撮りましたね。

映画を撮っているときと同じように、ストーリーの前にまずキャラクターを作り込みました。企画書にも「この人にはこういう背景があって、こういう性格で」みたいにそれぞれ細かく書いて。“The hole”には3人の男女が登場しますが、彼らが動くことでストーリーが生まれていくという手法で撮ったんです。僕の中でストーリーはあるんだけど、ストーリー先行ではなく、キャラクターたちがやりたいことをある程度自由にやらせる。なので、キャスティングはとても大切でした。(清水)尋也だったらこの大変な物語を担えるだろうと思って彼を選ばせてもらったので、「もし尋也が出演できなかったら内容を変えるかもしれない」とは最初から言ってました。

土台に脚本があるのがもちろんですが、その先はキャスティングとロケーションとそれを切り取る映像で作品の7、8割は決まると思っているので、中心の役者さんとカメラマンを誰にするかだけは、いつもわがままを言わせてもらっていますね。

―映像といえば、手で朝日をつかもうとするシーンがとても美しく印象的でした。あれは現場で生まれたアイデアだったのですか?

内山:“The hole”は、編集の時点で様々な時系列や物語を試したのですが、なんだかんだ結果的に、完成形は当初想定していた絵コンテ通り、全てのシーンやカットが漏れることなく順番通りになりました。あの朝日のシーンも絵コンテの段階で考えていましたね。

“The hole”の絵コンテ

―バイセクシャルの主人公を取り上げるというのは、挑戦でもあったのではないでしょうか。

内山:そこについては、「こんなことしていいのか?」「どれくらいトライしていいか?」という話し合いをしました。まだ“白日”がブレイクする前だったので、当時はよりチャレンジングではあったんですけど、そこは恐れなくていいでしょ、という結論だったんです。今までにないものだし、King Gnu的にもPERIMETRON(常田大希が立ち上げた、King Gnuのビジュアル周りも担うクリエイティブレーベル)的にも、「自分たちのスタンスを表明できるものが、ひとつあってもいいんじゃないか」と前向きに進めていけたのはよかったと思います。

―現在、約2000万回再生となっていますが、やはり反響の大きさは実感しますか?

内山:そうですね。さっきも言ったように『ヴァニタス』は、自分が映像をやっていくことを認めてもらったというか、自分の居場所を作ることができた作品だと思っていて。“The hole”は、おっしゃっていただいたように、広く自分を認知してもらえたのは間違いないです。あの作品がきっかけで新たな出会いがあったり、仕事のオファーをもらったり、違う扉を開けてもらった感じですね。そういう意味では転機となった作品ですし、そもそも僕にとってKing Gnuとの出会いこそが、人生のターニングポイントだと思っています。

「考察してもらえることが嬉しい」――佐久間由衣・清原翔が出演する、平井堅“#302”の秘話

―平井堅さんの“#302”は、どのように作っていったのでしょうか?

平井堅“#302”ミュージックビデオ(2019年11月公開)

内山:僕は初見で感じたことを大切にしたいので、まず楽曲と歌詞をいただいたときに一度目を通して曲を聴いたら、一旦離れて考えるようにしているんですね。“#302”はカラオケボックスでの一夜を描いたストーリー仕立ての歌詞なのですが、それをそのまま映像でなぞるのは絶対に面白くないなと。とはいえ全くかけ離れたものではない、歌詞に描かれた場面のその先のことを描くことで、曲の世界観ともリンクする映像になると思ったんです。

場面も、最初は電話ボックスではなく、ビルの角の一辺ともう一辺に、2人が立っている設定を考えていました。半径1メートルの出来事を描くことにしたわけです。たとえば終電前の駅構内とかに、ラブホに行こうとしているのか、お別れのキスをする前なのか、なんだか目的がよくわからないカップルっているじゃないですか(笑)。それを目撃しているようなMVにしたくて。それでロケハンしていたときに、たまたま見つけたのが、あの2つ並んだ電話ボックスだったんです。

―1コーラス1カットになっていて、1カット目は男性のみ、2カット目は女性のみが登場する。別々の場所にいるのかと思いきや、実は隣同士の電話ボックスにいたという展開は本当にインパクト大でした。

内山:3カット目で全てがわかるという構成ですね。しかも電話ボックスの中にいる男女って、駅構内のカップルみたいに、色々なドラマを喚起させるんじゃないかなって。長回しにすることで、それぞれの男女に感情移入してもらいたかったので、それに耐えられる画作りを心がけました。そのためには“The hole”と同様、キャスティングとカメラマン、それから夜の街だったので照明がとても大切でした。

“#302”の企画書、絵コンテ

―「色々なドラマを喚起させる」とおっしゃいましたが、確かに様々な想像ができるんですよね。別れ話をしているのか、どちらかが一方的にフラれたのか……最後に登場する男性は何者なのか。内山さんの作品は、YouTubeのコメント欄で視聴者が色々な解釈を書き込んでいるのも特徴ですよね。

内山:発表後にそうやって考察してもらえることが嬉しいし、そういう作品になるといいなといつも思っています。「そうか、ここはそういう解釈もあるんだ!」みたいなことがたくさんあると、こちらとしても幸せですね。

たとえば“#302”のMVだと、佐久間(由衣)さんが電話ボックスを出てすぐ涙を拭うんですけど、その仕草に対して「あれはくちびるを拭っているんじゃないか?」という考察も出てきて。僕が演出をするときに、役者さんの動きなどあまり決め込まないようにしているのは、自分が思ってもなかったような解釈が生まれるからなんです。ひとつの物事に対して、色々な角度から見ることができるようにしたい。もちろん、なにもないと用意ができないから僕の中ではちゃんとした筋書きがあるんですけど、そこはあまり重要じゃないというか。見てくださった人、それぞれの想像を掻き立てる余地を作っておきたいんです。

1か月で1000万回再生を超えた、親子を描くUru“あなたがいることで”を作る中での苦労と葛藤

―Uru“あなたがいることで”のMVは、わずか1か月で1000万回再生を超えるなど大きな話題となっています。

内山:この曲も“#302”と同様、楽曲と歌詞をもらうところから始まりました。この曲はドラマ『テセウスの船』(TBSテレビ)の主題歌ですが、オファーをいただいたときにはドラマの情報がほぼなかったんです。

しかもUruさんと、その時点では直接お会いしていなかったんですよ。大抵はアーティスト本人と会って、その曲に関する言葉をもらい、それを使うかどうかは別としても一応は踏まえた上で取り掛かるんですけど、今回は楽曲と歌詞以外に与えられる情報が全然ない。要するに「思った通りにやってほしい」ということなんでしょうけど、「とはいえどうしよう?」と(笑)。

―確かに、余計に悩みそうですね(笑)。

内山:僕が最初に聴いた印象では、これは男女の恋愛ソングなんじゃないか? と思ったんです。しかも一人称が「僕」だから、男性目線の恋愛ソングなのかもって。

MVではそこをあえて女性目線の、しかも「母と娘のストーリー」にしたら、歌詞と映像の相乗効果で豊かになるかなと。結局、『テセウスの船』のテーマも親子愛だから、経緯を知らない人からは「そのまんまじゃん」って言われるんですけど、僕としては裏をかいて作ったつもりなんですよね(笑)。

あとから聞いた話では、Uruさん自身もお母さんに対する特別な想いがあって。MVの中で主人公が母親の育児日記を読むシーンがあるんですが、Uruさんにもそういう実体験があったらしくて。「なんでわかったんだろうと思って涙が止まりませんでした」と言ってくれたんですけど、こっちとしては「なんで最初に教えてくれなかったんだろう」って……(苦笑)。

―はははは(笑)。

内山:でも、僕が裏をかいて作った映像が、結果的にUruさんの言いたかったこととリンクしたのはよかったと思っています。「母と娘のストーリー」ですが、ちゃんとリアルなものにしたかったので、実際にあったエピソードではないですが僕自身の母親に対する想いも込めました。

Uru“あなたがいることで”ミュージックビデオ(2020年2月公開)

内山:「ちゃんと万人に伝えよう」という想いは、今までで一番強かったと思います。「共感」や「万人受け」というと、どうしても「野暮」「ベタ」みたいなネガティブな印象を持つ人もいると思うし、今まで自分はそういうものを遠ざけがちだったけど、今回は「日曜劇場」という、本当にたくさんの人が見てる親子の感動的なドラマに対し、ちゃんとポジティブに向き合わなければと思ったんです。見てくださった人それぞれの親子の形を、あのMVに投影してくれる作品を目指しましたね。

とはいえ、どこまで寄り添ったらいいのか。「ベタ」で押し付けがましくなり過ぎず、自分の色もちゃんと出すための按配を見つけるのは難しかったです。「母と娘の泣けるストーリー」の路線は絶対に外せないけど、そうじゃない部分もちゃんと入れたい。そうしないと僕がやる意味がないなと。

冒頭でプールに女性が落ちるシーンを挿入しているのですが、あれは羊水の中で眠る胎児をイメージしているんです。そこから始まり、最後はまた赤ちゃんのシーンに戻るのですが、そこは編集の時点でより強調しました。

―確かに、あのプールのシーンはハッとさせられました。全体の中でもちょっと異質ですよね。

内山:他にも、きっと誰も気づかないような要素も入れましたね。花が何度も登場するのですが、その色の変化でお母さんの病状の進み具合を表している。そういう仕掛けを実は色々と散りばめています。

ミュージックビデオのテーマ、キャラクター設定、プロット、ストーリーボード、絵コンテという順番で作られていく

内山:とにかくMVは、まず10秒の壁があり、次に1分までの壁があり……という具合に、最後まで見てもらうことがとても大変なんです。面白くないと判断したら最初の10秒で飛ばされてしまうけど、かといっていきなり詰め込み過ぎてもダメじゃないですか。

―冒頭で全貌がわかり過ぎても急速に興味を失いますしね。わかりやすさと謎な部分のバランスが重要な気がします。

内山:そうなんです。アーティスト本人が登場するMVの場合は、そのファンには最後まで見てもらえる確率は当然高いのですが、アーティストも登場しない映像を最後まで見てもらうには、様々な工夫が必要なんですよね。

「どんな悪人にも事情があったり、いいところがあったりして愛おしい」――だから内山監督は「人」を撮り続ける

―現在製作中の新作映画『佐々木、イン、マイマイン』についてもお聞きさせてください。これはもともと俳優の細川岳さんから話があったそうですね。

内山:6年くらい前から細川が書いていた小説があって、なかなか納得のいくものにならず「どうにか形にしたい」ということで、映画化しようと一から作り直したのが3年くらい前ですね。

細川の旧友である「佐々木」がどれだけ面白い人物であるか、それをどう映画として面白く見せられるか、最終稿ができあがるまでにはとても長い時間がかかりました。なにせ、誰も知らない人物の伝記を作るわけですからね(笑)。とにかくこれを、本人に見せたかったんです。「意外と俺っておもろいやん」って、佐々木に言ってもらいたいというのが最初のモチベーションです。

しかもそれを、見てくださった人たちともわかちあいたい。「意外と人生捨てたもんじゃないよな」と思ってもらいたくて。きっと誰にでも「佐々木」はいるはずなんですよ。それぞれの「佐々木」がいて「あいつ、意外と大切な存在だったよな」なんて思い出してもらい、その人に会いに行きたくなるような映画にしたかったんです。

―「佐々木」ってどんな人物なのか、なんだかとても気になってきました(笑)。

内山:とにかく「絶対に面白い」と信じて細川と一緒にやってきたことに、最終的にあれだけ豪華なキャストとスタッフが集まってくださったのは、本当に嬉しかったですね。

たとえば映画『宮本から君へ』(真利子哲也監督、2019年公開)や『きみの鳥はうたえる』(三宅唱監督、2018年公開)などを撮っている、大好きなカメラマンの四宮秀俊さんが「面白いからやるよ」って言ってくださったり、キャストの人たちもみんな僕らの熱意に乗っかりたいと思ってくださったり。それを今、僕は背負って立っているというか。クランクアップした今、この作品を生かすも殺すも僕次第なので、なんとか無事に解き放てるよう気合を入れて頑張りたいです。

―今日お話を聞いていて、やはり内山さんは一貫して「人」を撮ることをし続けている方なのだなと思いました。

内山:海外のドラマを見ていてすごいなと思うのは、誰一人として損をする人物が出てこないんですよね。『ストレンジャー・シングス』も『セックス・エデュケーション』も、どんな悪人にも事情があったり、いいところがあったりして愛おしい。そう思える作品がやっぱり僕は好きなんだなと。

―内山さんは『佐々木、イン、マイマイン』に関するコメントの中で、「私は、どんなジャンルの映画だろうと、大半は結局のところ青春映画だと思っている」とおっしゃっていますよね。

内山:結局のところ、僕らは「青春ごっこ」をしている人生でしょ? と思うところがあって。働いている人は、会社の中での人間関係が「青春」だし、家族ができればそこには「青春」が生まれる。このインタビューだって、話を聞きたいと思ってくれる人と、話す人との間に「青春」が起きているわけじゃないですか。僕も映画を撮りながら「青春」をしていると思うんですよね。

―人と人が出会って展開していくことを、内山さんは「青春」と定義しているわけですね。

内山:そうですね。独りで青春するのは容易くないけど、人と人が出会えばそこには恋愛や友情が生まれる。たまたま友情をわかりやすく「青春」と呼んでいるだけで、友情じゃなくても「青春」だと思うんですよ。A地点からB地点に移動すればそこには「青春」が生まれる。『ゼロ・グラビティ』(アルフォンソ・キュアロン監督、2013年公開)もそういう映画だったじゃないですか。宇宙から地球へ戻るまでの間の「青春」というか。そういうドラマに僕はずっと興味があって、ジャンルに関係なくこれからも描いていきたいですね。

ウェブサイト情報
『20年代映画の幕開け! 内山拓也監督最新作「佐々木、イン、マイマイン」製作応援プロジェクト』

クラウドファンディングプロジェクトの支援募集は、2020年4月30日(木)23:59まで。

リリース情報
Uru
『オリオンブルー』初回生産限定盤(映像盤)(CD+Blu-ray)

2020年3月18日(水)発売
価格:5,000円(税込)
AICL-3840~1

[CD]
1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

[Blu-ray]
「MUSIC VIDEO」
1. プロローグ
2. 願い
3. あなたがいることで
『Uru Live「 T.T.T 」@東京・TOKYO DOME CITY HALL』
1. The last rain
2. いい男
3. ごめんね。
4. 君を忘れない(松山千春)
5. remember
6. アリアケノツキ
7. 娘より
8. プロローグ
9. フリージア
10. 奇蹟

Uru
『オリオンブルー』初回生産限定盤(カバー盤)(2CD)

2020年3月18日(水)発売
価格:4,000円(税込)
AICL-3842~3
※初回盤三方背BOX仕様

[Disc1]
1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

[Disc2]
1. 3月9日(レミオロメン)
2. カムフラージュ(竹内まりや)
3. 白日(King Gnu)
4. このまま君だけを奪い去りたい(DEEN)
5. Funny Bunny(the pillows)
6. Pretender(Official髭男dism)
7. 若者のすべて(フジファブリック)
8. 雪の華(中島美嘉)

Uru
『オリオンブルー』通常盤(CD)

2020年3月18日(水)発売
価格:3,000円(税込)
AICL-3844

1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

イベント情報
『Uru tour 2020 「Orion Blue」』

2020年4月25日(土)
会場:東京都 昭和女子大学人見記念講堂

2020年5月2日(土)
会場:愛知県 名古屋市公会堂

2020年6月5日(金)
会場:大阪府 NHK 大阪ホール

『Uru Live「Precious One day ~Uru-u Year 2020~」』

2020年5月8日(金)
会場:東京都 東京 中野サンプラザ

プロフィール
内山拓也
内山拓也 (うちやま たくや)

1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。その後、監督:中野量太(『浅田家!』『湯を沸かすほどの熱い愛』など)を師事。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。近年は、ミュージックビデオの他に中編映画『青い、森』、長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。



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