コラム

長濱ねるの物語性と安定感。NHKソロ冠番組も獲得した欅坂46「裏センター」

長濱ねるの物語性と安定感。NHKソロ冠番組も獲得した欅坂46「裏センター」

原友昭
編集:佐伯享介

長濱ねるが帰ってきた。七夕に「ひらがなけやき」と一夜限りの再会

七夕に千葉・幕張メッセで開催された音楽イベント『LIVE MONSTER LIVE 2018』で、昨年7月の『ひらがな全国ツアー』愛知公演以来およそ1年ぶりに長濱ねるがけやき坂46に帰ってきた。そこでは「けやき坂46 七夕SPゲスト長濱ねる ~一夜限りの再会~」として長濱ねるとけやき坂46とのコラボが披露されたほか、イベントと連動して長濱ねる初主演、鈴木おさむ脚本のドラマ『七夕さよなら、またいつか』(日本テレビ)が2週にわたって放送された。

けやき坂46
けやき坂46

この日は平手友梨奈が約半年ぶりに欅坂46に合流した日でもあるが、一夜限りという意味で長濱ねるとけやき坂との再会はより「七夕的な」、つまり物語性を帯びた出来事として映る。

長濱ねると、けやき坂46。あらかじめ物語性を帯びた、欅坂への異例の加入経緯

欅坂46のオーディション最終審査当日に、故郷の長崎から上京してきた母親に連れ戻され、審査を辞退することになった長濱ねるは、他のメンバーから約3か月遅れとなる2015年11月に欅坂46に加入した。2次審査の時点での評価は、2万人以上の応募者のうち数人にしか与えられない「S」だったという(『週刊プレイボーイ 2018年4月30日号』所収「けやき坂46ストーリー」)。そして欅坂46への加入と同時に、1人異なる制服を着た長濱ねるだけで結成されたけやき坂46との兼任活動が始動した。

欅坂46
欅坂46

そうした経緯もあって、長濱ねるは欅坂46のデビュー曲“サイレントマジョリティー”の歌唱に参加していない。その代わりにデビューシングル『サイレントマジョリティー』には、長濱ねるがセンターのユニット曲“乗り遅れたバス”が収録されている。「アイドルは物語」と言われるが、長濱ねるは加入時点で既に「物語」を持っていた。だから長濱ねるは語られる。

けやき坂46との兼任は、2017年9月に「漢字欅の稼働もさらに多忙を極め」たことにより、解除されたが、長濱ねるの「ほわん」とした雰囲気は、けやき坂46が掲げる「ハッピーオーラ」という形で確かに継承されている。

長濱ねるの安心感・安定感。平手友梨奈を真後ろから支える「裏センター」は欅坂の「かわいい」を担う

欅坂46の様々な活動において長濱ねるが休むことは滅多にない。たとえ欅坂46の冠番組『欅って、書けない?』に姿がなかったとしても「今日は別の仕事頑張ってるのかな?」と思わせる安心感安定感があり、“アンビバレント”“ガラスを割れ!”“風に吹かれても”“二人セゾン”といったタイトル曲で俗に「裏センター」と呼ばれる平手友梨奈の真後ろのポジションを任されていることもあって、どこか「危なっかしさ」が漂う欅坂46を支える中心的な役割を担っているようにも見える。(関連記事:平手友梨奈の帰還。アンビバレントで危なっかしい、欅坂46の特異な魅力

それと同時に、最新シングル『アンビバレント』に収録された長濱ねる、小池美波、尾関梨香によるユニット曲“音楽室に片想い”や、同一ユニットによる“バスルームトラベル”のPVを再生すれば、押し寄せる「かわいさ」の暴力で打ちひしがれることになるように、「クール」な欅坂46の「かわいい」部分を担う中心的人物の1人でもある。

個人でも高露出を誇る、欅坂46の広報担当。ソロ写真集はベストセラー、NHKでのソロ冠番組も

『長濱ねる1st写真集ここから』(講談社)表紙
『長濱ねる1st写真集ここから』(講談社)表紙

昨年12月には長崎・五島列島を中心に撮影が行なわれた初の写真集『長濱ねる1st写真集ここから』が刊行された。かつて、どこにも1度たりとも存在することなく失われてしまったあの夏の欠片を閉じ込めたような『ここから』は、8月の時点で9度の重版、累計発行部数19万部を記録している。この記録は「#長濱ねる50音チャレンジ」といった企画や、それだけでもう1冊作れてしまうほどのオフショットの連投といった写真集公式Twitterアカウントの「中の人」の巧みな宣伝活動によるところも大きいと思うが、写真集アカウントに限らず、2週にわたって放送された初の冠番組『ねるねちけいONLINE!』(NHK総合)でも連日「ねる動画」が投稿されるなど長濱ねるは周囲の「大人」たちからも愛されているように思う。

『ねるねちけいONLINE!』より
『ねるねちけいONLINE!』より

だから欅坂46が限られた人数でメディア露出するときには、たとえばロッテ「クランキー」のCM「怪盗クランキーVS名探偵ねる」篇で中心を担ったように、高頻度で長濱ねるが選出され、その際コメントを求められることも多い。

ここ半年ほどに限定しても長崎市観光大使就任をはじめ、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ)や、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日)といったバラエティー番組への出演、さらに薄毛治療のための専門病院・AGAヘアクリニックのCMへの初の単独起用など次々と個人仕事が舞い込んでいる。また読書家としても知られる長濱ねるは、『Quick Japan vol.139 特集 西加奈子』のインタビューで西加奈子作品について語っているほか、表紙にも登場している。愛されているから起用される、起用されるからよりいっそう愛される、だから再び起用されるという麗しい循環がここにある。

「初」主演、「初」ソロ冠番組、「初」ソロ写真集、「初」単独CM出演など様々な「初」を更新し続ける長濱ねるの飛躍は留まるところを知らない。

長濱ねる
長濱ねる
Page 1

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

PUNPEE“タイムマシーンにのって”

あのPUNPEEがまたやった!!! 昨年発売のアルバム『MODERN TIMES』から初のMVとなる“タイムマシーンにのって”が公開。1度見ただけでも存分に楽しめる作品だけれど、この情報量の多さ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせる時計台のロゴがSEIKOならぬSAYHOになっていたり、車体に『AKIRA』の成田山ステッカーが貼られていたり……ピザなど頼んで細部まで何時間も見ていたい。(井戸沼)

  1. FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る 1

    FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る

  2. 桂正和原作『I”s』磯崎泉役は萩原みのり、主人公にアプローチする後輩役 2

    桂正和原作『I”s』磯崎泉役は萩原みのり、主人公にアプローチする後輩役

  3. ジャニー喜多川製作総指揮、東西ジャニーズJr.が集結 『映画 少年たち』 3

    ジャニー喜多川製作総指揮、東西ジャニーズJr.が集結 『映画 少年たち』

  4. 小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」 4

    小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」

  5. 遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中 5

    遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中

  6. 映画『空母いぶき』追加キャストに佐藤浩市、村上淳、玉木宏、戸次重幸ら 6

    映画『空母いぶき』追加キャストに佐藤浩市、村上淳、玉木宏、戸次重幸ら

  7. 『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら 7

    『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら

  8. 太賀に森崎ウィンらが寄り添う『母さんがどんなに僕を嫌いでも』本編映像 8

    太賀に森崎ウィンらが寄り添う『母さんがどんなに僕を嫌いでも』本編映像

  9. 新宿爆音映画祭に『ボヘミアン・ラプソディ』『バッド・ジーニアス』など 9

    新宿爆音映画祭に『ボヘミアン・ラプソディ』『バッド・ジーニアス』など

  10. Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー 10

    Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー