コラム

2018年、サニーデイ・サービスは再結成から10年を迎えた。あなたにとって、サニーデイ・サービスとはどんなバンドだろうか? 1990年代から知る人にとっては、ともに年齢を重ねてきた友のような存在かもしれないし、再結成以降に出会った人にとっては、年上の恋人のような存在かもしれない。バンドとリスナーの関係をそんな画一的な言葉で言い表すのは野暮というものだが、いずれにしても、サニーデイ・サービスの音楽に自分自身を重ねたり、人生のワンシーンそのものとして深く心に刻みつけていたり、そうやって特別な思いを抱いている人は少なくないはずだ。

2年前の8月に発表された『DANCE TO YOU』以降、サニーデイ・サービスは1990年代当時を凌ぐほどの充実期に突入した。この2年でオリジナルアルバムは3枚、ライブ盤・リミックス盤も含めると6枚のアルバムをリリースしている(それらに加え、先日、曽我部恵一名義での4年ぶりのソロ作が完成したとの知らせが届けられた)。しかも、それらはどれも恐ろしいほどのクオリティーを誇り、そのうえで2010年代という時代を生きる私たちにいくつものメッセージを投げかけている。今、サニーデイ・サービスに何が起こっているのか? そして、これから彼らはどこへ向かうのだろうか?

本企画では「2018年を生きる僕たち / 私たちのサニーデイ・サービス」をテーマに、サニーデイ・サービスを「今」のバンドとして正しく位置づけるべく、立場も年齢も異なる5人からコメントを集めた。この5つの視点を通じて、「2018年のサニーデイ・サービス」が浮かび上がってくることだろう。いつ出会ったかなんて関係ない。サニーデイ・サービスはあなたのバンドだ。この記事を読んだあなたにとって、サニーデイ・サービスがもっと特別なバンドになることを願って。

「サニーデイ・サービスについて僕が思うこと」 テキスト:夏目知幸(シャムキャッツ)

バンドは続けてこそなんぼだ、とずっと思ってる。

なんでかというと、音楽は繋がることが一番大事だと思うから。続けてないと、メンバーの関係性が変わっていかないし、まわりのいろんなところと繋がれない。繋がれば、おもしろくなっていく。中も外も。

僕たちはこの国で、だいぶ狭い価値観の中で音楽に触れている。だからなおさら、続けないといろんなことがブツ切りになっちゃうと思う。

サニーデイ・サービスがもしいなかったら、僕らはだいぶやりずらかった。「もし」の話だけど、これはかなりほぼ絶対そう。

シャムキャッツ(中央左が夏目知幸)
シャムキャッツ(中央左が夏目知幸)

彼らが歩みを止めなかったからこそ(休んだときはあったけど)、歩んできた道を今というこの時点から見つめられる。昔話じゃないから、生々しい。そして、現在進行形でずっと影響を受け続けていられる。作り手も受け手も、届けたり売ったりする役割の人も。これがどんなに貴重なことかは、サニーデイ・サービスがいない世界を覗いてみないとわかんない。想像してみる。僕の部屋の棚にサニーデイのCDが1枚もなくて、ライブハウスに行ってもあの名曲の数々を誰も知らない、生だとこんなに熱いんだ……みたいな感動もないし、最近のなんかやたらアルバム出すじゃん、追いつけねえ! みたいなワクワクもないし、そう、小田島等のジャケもない。すげーつまんない。なんて退屈なんだろ。

サニーデイ・サービス(左から:田中貴、曽我部恵一、丸山晴茂)zoom
サニーデイ・サービス(左から:田中貴、曽我部恵一、丸山晴茂)

そんな世界には、<そっちはどうだい うまくやってるかい>と歌ってやりたくなる。こっちの世界にはそんな歌がある。そっちにないということなので、僕の曲として売り出すのはどうだろう。

サニーデイ・サービスは決して、よくできたバランスのいいバンドじゃない。バンドとは、楽器が弾ける人間の集まりのことを言うんじゃなくて、集まった人と人との間の、繋がってる部分の謎の接着剤のことをバンドと言うのだ、というのが僕の考えだ。サニーデイ・サービスの接着剤は、運命含有量というか、人間の業の含有量が多めだなと感じる。つまり、超バンド。危うい感じがする。壊れたところを直しながら未知の空間を駆ける宇宙船。いつか晴れた場所で、と願いながら。

バンドの命題は、自分たちのよりもだいぶでかい世の中という巨大宇宙船を小さな一隻で転覆させることにある。もしくは、そこに住む人たちのこころを静かに塗り替える。時に優しく時に激しく。やり方はいろいろある。周りと一緒じゃなくていい。僕がサニーデイ・サービスから教わったことのひとつ。

夏目知幸と曽我部恵一による、2016年2月公開の対談より / 撮影:田中一人
夏目知幸と曽我部恵一による、2016年2月公開の対談より(記事を読む) / 撮影:田中一人
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リリース情報

サニーデイ・サービス
『DANCE TO YOU』(CD)

2016年8月3日(水)発売
価格:2,700円(税込)
ROSE-198

1. I'm a boy
2. 冒険
3. 青空ロンリー
4. パンチドランク・ラブソング
5. 苺畑でつかまえて
6. 血を流そう
7. セツナ
8. 桜 super love
9. ベン・ワットを聴いてた

サニーデイ・サービス
『Popcorn Ballads(完全版)』(2LP)

2017年12月25日(月)発売
価格:4,980円(税込)
ROSE-214

[SIDE A]
1. Tシャツ
2. 東京市憂愁(トーキョーシティブルース)
3. 青い戦車
4. きみの部屋
5. 泡アワー
6. 炭酸xyz
[SIDE B]
1. 街角のファンク feat. C.O.S.A. & KID FRESINO
2. きみは今日、空港で。
3. 花火
4. クリスマス
5. 金星
[SIDE C]
1. 抱きしめたり feat. CRZKNY
2. 流れ星
3. すべての若き動物たち
4. summer baby
5. はつこい feat. 泉まくら
6. 恋人の歌
[SIDE D]
1. ハニー
2. クジラ
3. 虹の外
4. ポップコーン・バラッド
5. 透明でも透明じゃなくても
6. 花狂い
7. サマー・レイン
8. popcorn run-out groove

サニーデイ・サービス
『the CITY』(2LP)

2018年4月25日(水)発売
価格:4,212円(税込)
ROSE-218X

[SIDE A]
1. ラブソング
2. ジーン・セバーグ
3. Tokyo Sick feat. MARIA
4. おばあちゃんのドライフラワー
5. 甲州街道の十二月
[SIDE B]
1. 23時59分 feat. MC松島
2. イン・ザ・サン・アゲイン 3 ジュース feat. bonstar
4. 音楽
5. さよならプールボーイ feat. MGF
[SIDE C]
1. ザッピング feat. 髙城晶平(cero)
2. 卒業
3. 雨はやんだ feat. 尾崎友直
4. すべての若き動物たち HAIR STYLISTICS REMIX
[SIDE D]
1. 完全な夜の作り方
2. 熱帯低気圧
3. シックボーイ組曲
4. 町は光でいっぱい

サニーデイ・サービス
『DANCE TO THE POPCORN CITY』(LP)

2018年6月13日(水)
価格:2,700円(税込)

[SIDE A]
1. 泡アワー
2. 青い戦車
3. 冒険
4. イン・ザ・サン・アゲイン
5. 苺畑でつかまえて
6. 卒業
[SIDE B]
1. Tシャツ
2. 花火
3. セツナ
4. 音楽
5. 金星

サニーデイ・サービス
『the SEA』(2LP)

2018年8月29日(水)発売
価格:4,212円(税込)
ROSE 228X

[SIDE A]
1. FUCK YOU音頭
2. 甲州街道の十二月(石田彰 Remix)
3. 卒業(KASHIF Remix)
4. 熱帯低気圧(betcover!! Remix)
5. イン・ザ・サン・アゲイン(MURO Remix)
[SIDE B]
1. ジーン・セバーグ(荒井優作 Remix)
2. ジュース feat. bonstar(平賀さち枝 Cover)
3. 雨はやんだ feat. 尾崎友 (Have a Nice Day! Remix)
4. すべての若き動物たち HAIR STYLISTICS REMIX(MASONNA Remix)
5. さよならプールボーイ feat. MGF(原摩利彦 Remix)
[SIDE C]
1. Tokyo Sick feat. MARIA(VaVa Remix)
2. シックボーイ組曲(Ahh! Folly Jet Remix)
3. おばあちゃんのドライフラワー(鈴木慶一 Remix)
4. 23時59分 feat. MC松島(The Anticipation Illicit Tsuboi Remix)
[SIDE D]
1. 音楽(Fumiya Tanaka Remix)
2. ザッピング feat. 髙城晶平(cero)(藤井洋平 Remix)
3. 完全な夜の作り方(DJ MAYAKU Remix)
4. 町は光でいっぱい(CRZKNY Remix)

プロフィール

夏目知幸(なつめ ともゆき)

オルタナティブ・ロックバンド シャムキャッツのボーカル&ギター。千葉県出身。身長177cm。ソロでの弾き語りやコラムの執筆など個人としても活動。バンドとして、ニューアルバム『Virgin Graffiti』を11月21日にリリース。

天野龍太郎(あまの りゅうたろう)

1989年生まれ。東京都出身。音楽についての編集、ライティング。

ラブリーサマーちゃん

1995年生まれ 東京都在住の23歳女子。2013年夏より自宅での音楽制作を開始し、インターネット上に音源を公開。サウンドクラウドやツイッターなどで話題を呼んだ。2015年に1stアルバム「#ラブーミュージック」、2016年11月には待望のメジャーデビューアルバム「LSC」をリリースし、好評を博す。可愛くて優しいピチピチロックギャル。

ドリーミー刑事(どりーみーでか)

会社員。ブログ「ドリーミー刑事のスモーキー事件簿」更新中。2018年12月15日に関美彦、さとうもかを迎えた音楽イベント「Sons of Nice Songs Vol.2」開催予定。DJイベント「KENNEDY!!!」も定期的に開催中。

北沢夏音(きたざわ なつお)

1962年東京都生まれ。ライター、編集者。92年『Bar-f-out!』を創刊。著書に『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』(本の雑誌社)、共著に『青春狂走曲』(スタンド・ブックス)、『次の本へ』(苦楽堂)、『冬の本』(夏葉社)、『音盤時代の音楽の本の本』(カンゼン)、『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』(キネマ旬報社)など。ほかに『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の監修、山口隆対談集『叱り叱られ』(幻冬舎)の構成、寺尾紗穂『愛し、日々』、森泉岳土『夜のほどろ』(いずれも天然文庫)の企画・編集、『人間万葉歌 阿久悠作詞集』三部作、ムッシュかまやつ『我が名はムッシュ』、やけのはら『SUNNY NEW BOX』、サニーデイ・サービス『青春狂走曲』などのブックレット編集・執筆も手がける。

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