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『6週間のダンスレッスン』公演レビュー

『6週間のダンスレッスン』公演レビュー

CINRA編集部
2010/06/15

2010年6月10日から27日まで、池袋のあうるすぽっとで、草笛光子と太川陽介のふたり芝居『6週間のダンスレッスン』が上演されている。2001年にカリフォルニアで初演され、日本公演を含めると昨年までに108回を数えた人気作。1週、2週…とダンスレッスンを重ねるごとに仲を深めていく難しい設定をどのように演じているのか。気になって劇場へと駆けつけた。


幸せを恐れるふたりの、孤独な部屋

生きていくうえで、ひとが大切にすべき感情とはなんなのか。『6週間のダンスレッスン』は、そんなことをさりげなく示してくれる愛らしい作品だった。

フロリダに住む老婦人リリー(草笛光子)のもとに、彼女が申し込んだ出張個人ダンスレッスン「6週間でマスターする6つのダンスレッスン」のインストラクター、マイケル(太川陽介)がやってくる。初日からあまりにガサツな態度を取るマイケルに愛想をつかしそうになるリリーだが、二人の心の距離は、レッスンを重ねるにつれどんどん縮まってくることになる。

『6週間のダンスレッスン』公演レビュー

「年の差男女の恋愛物語」。あらすじを読むと、そんなありがちなドラマを想像するかもしれない。だがこの芝居は、安易な地点に落ち着かず、むしろとても難しい感情を表現するチャレンジを行っているところがおもしろい。

リリーとマイケルは、過去に受けた深く悲しい傷を抱える身。そんな彼らは、いつしか自分に幸せが訪れることを恐れるようになる。「私なんて幸せになれるわけがない」、「僕なんてダメに決まってる」。そんな思いを抱いてしまうと、人間はとても弱くなるもの。だからふたりは、いつもリリーの部屋で寄り添ってばかりいる。


心の震えは、ダンスでしか伝えられない

さて、この芝居が優れているのは、ふたりがお互いに対する思いを「決定的な」セリフで口にできないところにある。つまり、素直に「好き」「キライ」「一緒にいたい」と言えずに、婉曲的なコトバでしか自分の気持ちを表現できないのだ。なぜなら、そうしたコトバを口にした瞬間、すぐにそれが「嘘」になってしまうと感じているから。彼らがこれまで送ってきた複雑な人生とは、単純なコトバに置き換えられるようなものではなかったのだ。

『6週間のダンスレッスン』公演レビュー

それでも自分の気持ちを伝えたくてたまらないふたり。そんなリリーとマイケルが熱中したのが、コトバにならないコトバを交わし合うことができる、さまざまなダンスのレッスンだった。

草笛光子の繊細さ(かつファンキー!)、そして太川陽介のやんちゃな振る舞いの掛け合いが、精緻な脚本に命を吹き込む。男女の仲は単純ではないし、恋愛や友情も単純ではない。でも、音楽に合わせてダンスを踊ることが、雄弁に感情を語るすべとなる。約2時間半の旅を経れば、自然にそれを実感できるだろう。

information

『6週間のダンスレッスン』

2010年6月10日(木)〜6月27日(日)計16回公演
会場:東京 池袋あうるすぽっと
休演日:6月15日、6月22日
作:リチャード・アルフィエリ
翻訳:常田景子
演出:西川信廣
出演:
草笛光子
太川陽介
企画・製作:シーエイティプロデュース
料金:一般 6,600 円(全席指定)
問い合わせ:CATチケットBOX 03-5485-5999
ご予約はこちらから(PC&携帯)

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