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早く人間になりたい Neat’s(26歳女子)

Neat's プロジェクトのゴールは?

これまで多くのスタッフに囲まれながら音楽活動を行ってきた新津は今、「Neat's」プロジェクトを始動させて、ほとんど全てのことを自分自身でやっている。毎日YouTubeに動画をアップしたり、Ustreamで毎月新曲を発表したり、新しい楽曲を携え、一人で関西まで宣伝しに行ったりしている。

「Neat's」の実際の活動内容については、また次回で詳しく話をしていきたいと思うが、とにかく今彼女が一人でやり始めていることは、正直言ってかなり大胆な試みと言っていいだろう。巨大化した音楽業界だから、その仕事はどんどん細分化しているし、それぞれに専門のプロがいる。そんな中で、アーティスト活動以外に関してはズブの素人が、たった一人で活動する理由や目的は何だろう。ひとしきり泣き終えた新津に、「Neat's プロジェクトのゴールは?」と尋ねたら、彼女はキッパリ「ない」と答えた。

第1話:「わたし、つまらない人間ですか?」

新津:探していくことにはなるんだろうけど、ここがゴールっていうのは無いかな。でもこのプロジェクトをね、もし成功する事が出来たら、私は初めて自分に自信が持てるんだと思う。
音楽の素敵なところって、例えば自分の悪いところでも、ちゃんとそれに向かい合って表現すれば、認めてもらえるところで。それって他の表現にはない音楽特有のことだと思うし、私が音楽を好きな理由でもあるんです。無理やり肯定しなくっても、全部受け入れるっていうことを私もやってみたい。こんなこと言うのは恥ずかしいけど、それで、人間になりたい(笑)。

—人間ですか?(笑)

新津:そう、人間。私が尊敬するアーティスト、例えば宇多田ヒカルちゃんや、桑田佳祐さんは、私が見る限りちゃんと「人間」なんです。音楽を聴いても、インタビューを読んでも、言っていることがすぐ変わったり、目指しているものが変わったりする。そういう「裸」な姿勢を、毎回ちゃんと表に出すことで、それが人と繋がるツールになってる。

これまで、自分の人生や考え方を必死に統一しなければ自分を守れなかった新津にとって、偽りの無い自分自身を世の中にさらすことが、どれだけ恐ろしいことなのか、想像はつく。でも、それをやる為の、「Neat's」プロジェクトなのだ。そして私は、新津の発言の通り、自分をしっかりとさらけだして聴き手にぶつかっていくアーティストが、とても好きだ。

新津の抱えているコンプレックスは、決して特別なものではないし、もっと言えば、ありきたりなものだとすら思う。それはおそらく多くの人が、成長していく過程で、避けることの出来ないストラグルとして切実に感じる問題だろう。ただ、その不安から目をそらすことができない不器用な新津は、人一倍苦しみ、必死にもがいている。逃げてしまえばいいのに、そうすることもしない。

早く人間になりたい Neat's(26歳女子)

自分だったらもっと上手にかわしていくだろうな、という思いはあるのに、初対面の自分の目の前で泣き崩れた新津を見た時、彼女の姿勢に心を打たれ、少なからず共感をしたのは何故だろう。別に、彼女の生きづらい性格に同情したわけじゃない。それはきっと、「つらい、つらい」と訴える彼女のことを、鼻で笑ったりなどできない自分を認めたからなんだろう。

新津がRYTHEMでデビューした頃に比べて、音楽業界も大きく変わった。今の時代は、どんなにいい曲でも、楽曲だけで音楽が売れる限界が見えてきている。その代わり、アーティストがファンと気軽にコミュニケーションを取ることができるようにもなり、一人の人間として好きになってもらうことが、音楽を買ってもらうこととより密接に繋がってきている。

だから、一人のアーティストとして、もしも新津が自分の正直な気持ちを裸のまま音楽にできるようになれば、「Neat's」は成功するかもしれない。もちろん、全てを自分でやろうとしているのだから、その他の部分にも問題は山積みになっている。次回の連載は、そのチャレンジングな試みの実態をドキュメントしよう。

 
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