あの人の音楽が生まれる部屋

あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.1:TOWA TEI|音だけでなく、デザイン面でも 厳選されたお気に入りの機材たち

このエントリーをはてなブックマークに追加
SUPPORTED BY

あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.1:TOWA TEI

音だけでなく、デザイン面でも
厳選されたお気に入りの機材たち

長野県のとある駅から車でおよそ15分、緑の木々が生い茂る森の中にTEIさんのプライベートスペース、VUスタジオはあります。長野に引越してくる前は、東京・三軒茶屋にスタジオを構えていたTEIさん。窓からは向かいのビルの窓や壁しか見えないような環境だったので、暇さえあればサウナに逃げ込んでいたそう。そんな生活に限界を感じ始め、「ほぼ緑しかないような場所で音楽を作りたい」と思うようになっていました。喘息気味だったお子さんも、ちょうど小学校へ上がる頃というのもあって、2000年に引っ越しを決意。越してすぐに、お子さんの喘息も治ったそうです。

壁一面のガラス窓から燦々と太陽が差し込む40畳ほどのスタジオには、大きなソファとテーブルが置かれ、その背面には膨大な量のアナログレコードやCDが陳列されています。作業スペースはコンパクトにまとめられ、きらびやかにカスタマイズされたMoog Minimoog Voyagerをはじめ、白いスピーカーGENELEC 8040Aなど、機能性だけでなくデザイン面でも目を引く、厳選された機材ばかりが並んでいました。そんなTEIさんに最近のお気に入り機材を伺ってみました。

1

KORG「MS-20 mini」

KORG 商品詳細ページはこちら>>KORG「MS-20 mini」

まず最初に挙げていただいたのが、35年たった今も語り継がれるアナログシンセの名機MS-20を復刻した、MS-20 miniです。先ほどのインタビューでお話いただいたとおり、TEIさん自身、最初に購入したシンセサイザーが同系機種のMS-10。その兄弟機種の復刻モデルであるMS-20 miniにもひとかたならぬ思い入れがあるのでしょうか?

TEI:当時、アナログシンセサイザーのエントリーモデルといえばMS-10で、L字型のルックスにたくさんのツマミ、ケーブルを使ってパッチをつないで音を作っていけるところが気に入っていました。やはり最初にYMOを見たときに、マニュピレーター(シンセサイザーのプログラミング担当)の松武秀樹さんが、タンス(大型モジュラーシンセサイザー「moog III-c」の通称)をいじっていたのが強烈な印象だったんですよね。このMS-20 miniの音はモーグっぽいけど、よりキメ細かいなというのが僕の印象です。LFOのかかり具合も鋭く、シンセベースや飛びもの系の音に向いていますよね。次のアルバムで使ってみたいなと思っています。

2

KRK「ROKIT 10-3」

KRK「ROKIT 10-3」

新作『LUCKY』や、その前の3作品はほとんど、白のメインスピーカーGENELEC 8040AでミックスしていたというTEIさん。しかし低音のチェックをするときは、東京にあるDOMMUNEのスタジオまで行き、そこのスピーカーで鳴りを確認していたそうです。そんなとき、知り合いのエンジニアに勧められたのがKRK「ROKIT 10-3」でした。

TEI:価格は10万円前後なので、もっと高価なスピーカーもあるんですけど、コストパフォーマンスは高いと思います。曲の成分に余計な低音が入っていると、このスピーカーで鳴らしたとき、テーブルの上の小物とかがカタカタって震えるからよく分かるんです。「低音が見える」というのかな。最近の音楽はどんどんローを足していく傾向にありますけど、僕の場合はいかに余計なローを切って気持ち良くしていくかにこだわっています。つまり、引き算の考え方なんですよね。

3

KORG「volcaシリーズ(volca keys、volca bass、volca beats)」

KORG 商品詳細ページはこちら>>KORG「volcaシリーズ(volca keys、volca bass、volca beats)」

まだ最近手に入れたばかりという、KORG「volca」シリーズは、シーケンサーを内蔵したリードシンセ、ベースシンセ、リズムマシンの3モデル。電池駆動も出来るというコンパクトなデザイン、リアルタイムに音を変化させていけるツマミ、プロも唸る本格的なアナログサウンドが特徴です。電源を入れた瞬間から遊ぶように直感的な音作りが楽しめます。

TEI:僕、機材を買ってもまったく説明書を読まないんですよ(笑)。だからvolcaみたいに箱から出して、すぐに本格的に音を出せるような機材が好きなんです。音でいえば、特にvolca beatsはアナログシンセならではの芯のある太いサウンドと、ローファイで荒れた80年代っぽいPCM音源のサウンドの両方が再現されているのが気に入っています。アゴゴやクラップの音色をツマミでコントロールしたとき、音の可変幅が予想以上に広くて楽しいんですよ。

4

Urei「1620」

Urei「1620」

作業スペース横にあるターンテーブルに接続されたDJミキサーUrei「1620」。イコライザー部分はハイとローしかなかったため取り外し、代わりにALPHA MUSIQUE製イコライザー「ARS 5000」をつなげているという、TEIさんこだわりのカスタマイズが施された一品です。

TEI:海外のレコードショップからアナログ盤が届くと片っ端から聴いていって、「音ネタ」として使えそうな部分があったときは、「ARS 5000」で必要な帯域、余分な帯域を補正してからレコーダーに取り込む。そのwavデータをDJに持って行くんです。Urei「1620」を通した音は、他のDJミキサーと比べても輪郭や暖かみが違うので聴いていて楽しいですよ(と言いながら、実際に音をかけていただきました!)。DJの現場だけでなく、家でリラックスして聴くときにも向いていると思います。

いかがでしたでしょうか? この日のインタビューは、TEIさんのプライベートスタジオ内だけでなく、部屋の外に取り付けられた広いデッキの上でも行われました。大きなパラソル付きのテーブルを囲み、時折吹く風の涼しさと、終始聞こえる様々な鳥のさえずり、やわらかく降り注ぐ木漏れ日を感じながらのひとときに、思わず時が経つのも忘れてしまいそうでした。長野の研ぎ澄まされた静けさと、東京のむせかえるような喧騒。その両方を行き来しているTEIさんだからこそ、あの心地良くも刺激的なサウンドを生み出すことが出来るのでしょう。この部屋からこの先、生み出される音楽がどんな展開を辿っていくのかとても楽しみです。

  • コンピューター
  • Apple「MacBook Pro」
  • DAWソフト
  • M.O.T.U.「Digital Performer 7」
  • オーディオインターフェース
  • M.O.T.U.「896mk3」
  • 音源
  • KORG「MS-20 mini」
  • KORG「volca」
  • KORG「monotribe」
  • access「VIRUS TI2 POLAR」
  • Nord「NORD RACK 2X」
  • Moog「Moogerfooger」
  • Moog「Minimoog Voyager(カスタム)」
  • Roland「TR-808」
  • ARTURIA「MiniBrute」
  • ミキサーコンソール
  • YAMAHA「02R96」
  • モニター
  • GENELEC「8040A(白)」
  • KRK「ROKIT 10-3」
  • その他
  • TASCAM「DR-07」

TOWA TEI『LUCKY』(CD)

TOWA TEI『LUCKY』(CD)
2013年7月10日発売
価格:2,940円(税込)
WPCL-11516
1. RADIO with Yukihiro Takahashi & Tina Tamashiro
2. BLUE FOR GIRLS, PINK FOR BOYS
3. ABBESSES with Ayaka Nakata
4. KATABURI
5. LICHT
6. TERIMA KASIH
7. JUXTAPOSE
8. APPLE with Ringo Sheena
9. WARM JETS
10. GENIUS with Aoi Teshima
11. LOVE FOREVER

AMAZON

CINRA.STOREでは、TEIさんご自身がデザインしたオリジナルグッズも販売中

STORE

PAGE 1 > 2 > 3

あの人の音楽が生まれる部屋 連載もくじへ



フィードバック 3

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Article
  • あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.1:TOWA TEI|音だけでなく、デザイン面でも 厳選されたお気に入りの機材たち

Special Feature

Crossing??

CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて